幼い時から、身体的な性別と自分の認識している性別との間に違和感がありました。あまり記憶がなくて親から聞いた話ですが、スカートをはきたくなかったり、髪を伸ばしたり結んだりするということを嫌っていたらしいのです。

幼いころは、その違和感はあまり大きくなかったのですが、小学生の高学年から中学生にかけて、第二次性徴が始まると、自分の身体的な性別に対しての違和感は強くなり、自分に対しての嫌悪感が大きくなっていきました。

特に、中学生は、男性であること・女性であること、というものを強く意識させられる時期でした。たとえば体育の授業が男女別だったり、制服も女子はスカートをはかなければいけなかったり。そういう性別に対する一般的な認識に対しても嫌悪感がありました。

性同一性障害という言葉や、そういう人がいるという事実は、そのころ放送されていたドラマで知っていましたが、まさか自分は違うだろう、と思っていました。中学生の時期は携帯電話を持っていなかったこともあり、自分のように性別に違和感を持っている人のことについての情報があまりなかったので、性別による不安を感じ始めました。

そんな中で私の支えになってくれたものは音楽でした。小学生のころから姉の影響で吹奏楽を始め、中学高校と、吹奏楽部に入って部活に熱心に取り組んでいました。音楽に触れている時間だけが、性に対する不安を感じずにいられて、自分らしくいられる時間でした。

また、単純に家族が演奏に感動してくれたり、ほかの部員と一つの音楽を創ったりしていくことが楽しくて、部活に熱中しました。中学校では都大会で終わってしまい、部活の成績で姉に負けたことが悔しくて、高校進学も部活のレベルを考えて選びました。

高校でも部活に励んで、今度は全国大会に出場することができ、結果が得られたのでとても満足しました。とはいっても、性別による不安は解消されませんでした。高校生になって携帯電話を持つようになり、性同一性障害などについての情報などが得られるようになってからも、不安が肥大するばかりでした。ケータイで調べても、当事者たちが生きづらさを感じているネガティブなブログばかりで、他にもLGBTの人々に対する嫌悪のコメントも多くあったからです。高校3年生になって進路を考える中で、「自分は生きていけるのか」と自分の将来に対してとても大きな不安を抱いていました。