仕事を楽しみ、「働いたら負け」が無い社会へ。逆張り・直感で泥臭く進む、目標への最短路。

【株式会社UZUZ提供:第二新卒・既卒の就活CH】既卒・第二新卒に特化した人材紹介サービスを運営する岡本さん。 物理の研究者を志し海外の大学に進学するも、紆余曲折を経てビジネスの分野で20代で起業することが目標に。新卒入社の企業を1年で退職し取り組む、「働くことを楽しむ人」を増やすための事業とは?

岡本 啓毅

おかもと ひろき|既卒・第二新卒の就職支援
第二新卒ナビを運営する株式会社UZUZの取締役副社長を務める。

※本チャンネルは、株式会社UZUZの提供でお届けしました。
著書:『既卒、フリーター、第二新卒の就活はじめの一歩』

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第二新卒・既卒・フリーターなどの20代向け就職/転職サイト|ウズキャリ

物理の研究者を目指してアメリカ留学


私は、北海道旭川市に生まれ育ちました。昔から理系科目が好きで、特に、物事の原理原則を追求する物理に関心がありました。同様に、宇宙の分野にも興味があったので、そういった勉強ができる大学に入ろうかな、と漠然と考えていました。高校3年生になってからは、付き合っていた彼女と遠距離にならないようにと、札幌市内にある北海道大学の物理学部へ進学しようと考えるようになりました。

しかし、実際に受験が始まると、札幌にある大学を目指していると思っていた彼女が、京都の大学を志望しているということを知り、「え、まじかよ」と驚くことに。正直、そこまで北大に思い入れがあった訳ではなかったので、それならもっと宇宙物理学に関して本気で勉強できる海外の大学に進学しようと考えるようになりました。元々、逆張り的に人が選んでいないものを選びたいという思いがあったのに加え、どこか悔しい気持ちもあったので、新しいことに挑戦しようと吹っ切れた感覚がありました。

そこで、知人に留学を考えていることを相談すると、留学斡旋機関の存在を教えてもらったので、その日に資料請求をしました。そして、アラバマ大学ハンツビル校という、NASAと提携で研究をしている航空工学や宇宙物理学に強い大学に入学することを決めたんです。そこまで深く考えぬいた決断ではありませんでしたが、「やらない後悔ならやる後悔」という気持ちで飛び込むことを決意しました。

現地では3ヶ月附属の語学学校に通い、それから大学の授業を受け始めたのですが、最初の1年くらいは楽しいことばかりでしたね。気の合う仲間にも巡り合い、毎日新鮮な日々を過ごしていました。特に、自由に単位が取れたため、速攻で単位を取り切ってしまおうと考え、1年目でオールAで多数の単位を取り、2年目には大学3年生になることができました。

しかし、環境に慣れて英語もできるようになると、モチベーションの停滞期が訪れました。加えて、遠距離だった日本の彼女と別れてしまったことも重なり、大学に行かなくなり、ハマってしまったオンラインポーカーで生計を立てていく日々を過ごすようになりました。それまでとは打って変わって単位を多数落とすようになり、最初に稼いだ単位でなんとか卒業まで至れるような状況でした。 親にお金を出してもらって留学までさせてもらったのに本当にダメ人間の生活になってしまったんです。

また、元々物理の研究者を目指して大学に入ったものの、上のクラスにいる人は四六時中物理のことを考えるような人ばかりで、すごいなあという尊敬の念と同時に、自分は彼らのようになれないなという感覚もありました。そんな背景もあり、将来どうしようかなと振り出しに戻ることになりました。

20代で起業をするため、「1年で辞める」就職活動へ


そんな時に『サラリーマン金太郎』という漫画を読んで、「うわ!これだ!カッコイイ!!」と自然と思いました。仕事に全てを捧げて、世の中に大きなインパクトを与える、そんなビジネスパーソンになりたいと思うようになりました。

実際に就職活動を迎えると、周りでは銀行やメーカーなど大手企業に入る人が多かったのですが、自分は大きい組織で働くことに向いていないという感覚がありました。「みんなと同じ」が苦手なことに加え、組織の力ではなく、まずは自分の力を高めてインパクトを生み出せるようになりたいという思いがあったんです。

そんなことを同じ留学先にいた今村という友人と話していると、それなら自分でビジネスを作ったほうが良いのではないかと、意気投合していきました。元々、一緒に寮で生活している中で信頼関係もあり、彼となら失敗しても後悔しないと感じることができたんです。そこで、20代で一緒に起業するため、まずは一度力を付けるため、ベンチャー企業に行こうと考えるようになりました。

また、お金を稼ぐ力を付けなければいけないから営業に携わりたいという考えも加わり、営業・ベンチャーという二軸で就職活動を進めていきました。そして、面接では「1年で辞めて起業します」と言って回ったんです。正直、1年という期間に特別な意味は無く、起業の分野が固まっていた訳でもなかったですが、なんとなく直感に従って動いていました。

そんな条件で回っていたこともあり、案の定選考には落ちまくりましたね。目をつぶって走るような感覚で、最初に受かった企業に行こうと決めていました。 すると、ありがたいことに株式会社ベインキャリージャパン(現:ギークス株式会社)で内定をいただくことができ、入社を即決しました。

泥臭く走った新卒1年目


入社してからは、ITエンジニアの派遣を行う事業の営業担当として、業務委託先の開拓やフォローを行うようになりました。社員の方々も良い方ばかりでしたし、仕事は初めてのことばかりですごく楽しかったです。しかし、ある時とても仕事のできる先輩から、「岡本さあ、あなた頑張っているつもりなのかもしれないけど、その頑張りは1%も伝わらないよ」と言われたことがありました。

正直、頑張っている「つもり」ではいたので驚きましたが、これは何か変えなければという課題感を抱きました。そして、よく考えてみると、長く海外にいたことで言葉もマナーも非常に怪しいもので、自分がズレていることに指摘していただくまで気づけていませんでした。

「ああ、俺こんなにできないんだ」と感じるとともに、どうしようか考えた結果、すぐに数字を出す実力はなかったので、誰でもできる頑張りが伝わることから取り組むことに決めました。一番最初に出社して一番最後に帰る、朝は会社の掃除をする、名前を呼ばれたら秒速で大きな声で返事をする、という自分ルールを作り、業務に取り組むようにしていきました。そんな風に働き続けていくと、次第にあいつは頑張っていると言っていただけるようになっていきました。泥臭い方法ではありましたが、求められていると感じた振る舞いに徹していったんです。

また、一緒に起業しようと話をしていた今村が「第二新卒ナビ」という、新卒入社してから3年以内で転職を考える社会人向けのエージェントで働き始めたことを知り、私もその手伝いをさせてもらうようになりました。その会社自体、代表の方と今村の2名体制だったので、そこに自分が入社できれば20代で起業するという目標に近づけるのではないかという思いもあり、手伝いに力を入れていきました。

人材業界の知見はありませんでしたが、就職せずに卒業した既卒の方や第二新卒の方が、「新卒でない」ということだけで急に市場価値が下がってしまう構造に、違和感を感じていましたし、そういった社会の違和感を改善することにより深く関わっていきたいという気持ちもあったんです。

そんな背景もあり、非常に素晴らしい会社に大変お世話になりながらも、1年という短期間で退職し、第二新卒ナビの事業にフルコミットで働くようになりました。会社に対しての不満は全くありませんでしたし、人には本当に恵まれましたが、目標がより具体的になった今、一度決めたことを覆すつもりもありませんでした。

第二新卒ナビではもう一人抱える余力は無いということで、「3ヶ月は無給」という条件で働かせてもらうような状態だったのですが、自分にとっては、今村と20代で起業するという目標に最短距離で行くための選択肢だと感じていたので、後は迷わずに全力で走るだけだ、という思いで飛び込みました。

第二新卒ナビへの思いと25歳のスタート


それからは、今村と2人でルームシェアをしながら第二新卒ナビの事業を軌道にのせるため、仕事に没頭していきました。そして、どうにか回るようになるかというタイミングで、代表から話があると呼び出され、「2人は今月末で解雇しようと思っているんだよね」という話をされたんです。第二新卒の就業支援をしているのに、まさか自分が第二新卒になるのかと驚きましたね。

しかし、色々と状況を聞いていくと、経営からは引退して海外に住むとのことで、サービス自体も他の人に任せようとしているとのことでした。そこで、色々と話し合った結果、「第二新卒ナビ」の事業を引き継ぎ、今村と新しい会社を立ち上げて再スタートを切ることに決めたんです。

他の人に任せるなら自分たちがやった方がいいという感覚がありましたし、ただでさえ人口が減っていく日本において、若者であるにも関わらず既卒や第二新卒というレッテルが貼られて働けないのはもったいなさすぎるという課題感がありました。

そして、2012年2月25歳のタイミングで、株式会社UZUZを設立し、今村ともう1名の役員の川畑を含め、3名の会社として引き継いだ事業で再スタートを切りました。「よっしゃ、ここからやるぞ!」という思いでしたね。

若者が働くことを楽しめる社会に


創業期はお金も無く、求職者の方との面談も間借りしているオフィスの近くにある古い喫茶店で行っていましたが、とにかく毎日が楽しかったですね。創業して3ヶ月で残りのキャッシュが数十万というところまできたものの、絶対に何とかなるという感覚もあり、事業に打ち込んだ結果、なんとか黒字転換に至ることができました。

現在は社員数が16名に増え、その社員全員が元既卒・第二新卒です。既卒・第二新卒だけで構成されるUZUZが会社として成長し続けることで、新卒じゃなくても活躍できる人材はいる!ということを世の中に発信し続けたいと思っています。

また、これから新たに社会に出る既卒者や再挑戦する第二新卒者の方に対しても、仕事の厳しさも含めた楽しさを伝えることが大切だと思っています。辛いことや厳しいことがあるからこそ、それを超えた時の達成感を感じることができたり、越える為に取り組んでいる道のりを楽しめるようになるのではと思っているんです。

また、現在は1人の求職者の方に約20時間程かけて丁寧にサポートをしているため、個別の効果は出ながらも、サポート出来る方の人数が限られているという側面もあります。数を追いかけられないと「若者が働くことにウズウズしている世の中を作る」という会社の目標は達成できないため、直近では新しく既卒・第二新卒・フリーター向けの就活ノウハウ本として、『既卒、フリーター、第二新卒の就活はじめの一歩』を出版しました。

近年、市場は大きくなりながらも、新卒以外の若手人材向けに就活ノウハウを紹介する書籍が少ない状況でした。正しい情報を伝えるための方法として、既卒・第二新卒としての就活に不安を抱えている方に読んでいただければと考えています。そうすることで、今までお会いできていなかった既卒・第二新卒者の就活のお役に立てればと思っています。

20代で起業するという一つの目標を達成した今、若者が働くことを楽しむことができる社会を作ることが次の目標です。「働いたら負け」とか、翌日から仕事の日曜日に憂鬱になる「サザエさん症候群」という状況を無くしたいんですよね。仕事は人生の多くの時間を費やすのに、それを楽しめないのはもったいないと思うんです。だからこそ、働くことに前向きな人を増やしたいですし、そのための情報や、インフラ環境を整えるために、これからも全力で挑戦し続けます。

2015.08.24

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