誰かを励ますことができる女性になりたい。会社員ライターが実名で勝負するわけ。

中小企業向けにWEB支援を行う会社で働きながら、WEBライターとして執筆を行う松岡さん。幼い頃から女性としての自立を目指し、仕事が辛い時に自分を支えてくれたのは、雑誌や本で出会った輝く女性経営者でした。そんな松岡さんの半生を伺いました。

松岡 佑季

まつおか ゆき|インターネット会社の営業・ライター
中小企業向けにWEB支援を行う企業で働くかたわら、ライターとして多数のメディアで執筆を行う。

自立した女性を目指して


私は神奈川県川崎市で育ちました。母は教育関連の仕事をしていて、よく私に「自立した女性になりなさい」と言っていました。経済的に自立していれば、家庭内でも自立できると。

また、小さな頃からモダンバレエを習っていて、その先生も自分の名前でダンス教室を持つような自立した女性でした。そんなこともあってか、将来は専業主婦になるのではなく、働くイメージを持っていました。

高校の卒業を控えると、中学生の頃から英語が好きだったこともあり、英語の先生になるため大学の英語学科に進もうと考えていました。ところが、たまたま商学部の説明を聞いた時、商売に直結する学問があることに面白みを覚え、商学部に進み、マーケティングなどを勉強することに決めたんです。

また、大学生になってからは、家庭教師やスーパーのレジ打ち、試食販売など様々なアルバイトをするようになりました。その中でも、塾のアルバイトは、カリキュラム作成など、学生ながら様々な仕事を任せてもらえたんです。

そこで、卒業後も裁量の大きい仕事がしたいと考え、教育関連会社に就職することにしました。大学でマーケティングの勉強をしていたので、広告業界にも興味がありました。ただ、若いうちは厳しい仕事をした方が良いと思っていたこともあり、激務のイメージがあった教育業界に進むことにしたんです。

鉄道会社運営のWEBメディアでライターとなる


仕事はほとんど休みがなくて大変でしたね。ただ、思った通り任せてもらえることは多く、先生のマネジメントや集客のための説明会など、様々な仕事をすることができました。

一方で、仕事とは別に、WEBメディアでライターとして記事を書くようにもなりました。通勤に使っていた電車の中吊り広告で、その鉄道会社の運営するWEBメディアでライターを募集していたのを見てピンときたんです。大学時代、ライターとして働いていた友達がいて、ものを書くことは特別な仕事だと、何となく憧れもありました。WEBメディアはあまりない時代で、ライターといえば紙媒体での編集経験者の仕事だったのですが、運良く採用してもらえました。

そして、仕事が休みの時に記事を執筆をするようになりました。その鉄道沿線のおすすめスポットや、美味しい飲食店などを紹介するんです。取材に対しての謝礼はほとんどありませんでしたが、自分が書いた記事がWEBに載っていることや、その鉄道会社が出していたフリーペーパーで自分が書いた記事を紹介してもらえるのが嬉しかったですね。

その後、インターネットが身近になってきたこともあり、本業でも集客にWEBを利用したいと考えるようになっていきました。ただ、教育業界でWEBマーケティングを行うのは一般的ではなく、周りの理解を得るのは難しい状況でした。

そこで、WEB事業を行うベンチャー企業に転職し、新規事業である人材紹介メディアの立ち上げに関わることにしたんです。しかし、業績は上がらず、さらにリーマンショックが起きたことで採用市場は氷付き、わずか10ヶ月ほどでそのメディアは閉じることになり、事業部も無くなってしまったんです。まさか事業が撤退になるなんて考えてもいなかったので、衝撃は大きかったですね。

具体的にイメージできた、社会の中で輝く女性像


その後、WEBコンサルティングを行う会社に転職しました。前職の事業撤退の経験から、どんな状況でも自分自身が数字を作れることが重要だと思い、営業として働き始めました。

ただ、この会社の仕事は忙しく、大変なこともありました。そんな時は、あらゆる本や雑誌で女性経営者の記事を読み、自分を奮い立たせていました。それまでは、社会の中で自立して輝く女性をイメージできていませんでした。しかし、記事を通じてトレンダーズ創業者の経沢香保子さんなどの生き方を知ることで、自分が何を目指せばいいのか明確になり、指針になったのです。

仕事では、大企業ではなく中小企業向けにWEB支援事業の立ち上げをすることになりました。飛び込み営業など大変なことは多かったのですが、それまでの大企業向けの営業と違い、中小企業はお客さんとの距離が近かったので、個人的にはこちらの方が合っていると感じていました。

そして、2年ほどで転職を決意し、運良く中小企業向けのWEBマーケティング支援を行っている会社に出会い、入社することにしたんです。

ライターとしての書く力だけでなく、メディアを運営する力


様々な会社で働く中で、ライターとしての活動も続けていました。始めた頃はWEBメディア自体があまり無かったので、鉄道会社のメディアだけで記事を書いていましたが、次第に世の中にWEBメディアが増えてきたことで、少しずつ記事を書ける媒体も増えていきました。

また、SNSが普及したことで、自分が書いた記事への反応も見えるようになり、より楽しくなっていきました。ポジティブなコメントがあるとやっぱり嬉しいんですよね。また、ネガティブなコメントでも、それは次に書くときの学びになるんです。

そこで、フリーライターとして活動していこうかとも考えていました。しかし、現実的に生活していくのは厳しそうだと感じていました。また、私は書くことだけを仕事にするよりも、メディアを継続して運営する仕事に興味がありました。WEBメディアはお金が回らなくなって閉じてしまうこともあったので、メディアを収益化する力をつけたいと思ったんです。

そのため、現在の会社員として中小企業の支援をしながら、週末にライターとして活動するスタンスは、相乗効果を生み出せていると感じています。ライターは文章力を磨くだけではなく、ネタを探すこともかなり重要です。営業として外回りをして色々な人に会い、新しいものと出会うのは、ネタを見つけるのに非常に役立つんです。また、中小企業の支援をすることで、ビジネスを成長させる力を磨くことができ、今後メディアを運営する時に役立つと考えています。

実名を出して記事を書き、コンテンツに責任を


将来的には、自分で新しいニュースメディアを立ち上げたいと考えています。そこにはひとつのポリシーがあって、必ずライターが実名を出して記事を書くようにしたいですね。私自身が記事を書くときにもそうしているのですが、実名を出すことで、記事に対してしっかりと責任を持ちたいんです。

WEBメディアが世の中に増えたことで、取材もせず、文献を調べもせずに、他のサイトから内容をコピーするメディアもかなり増えました。その原因を考えると、ひとつは実名を出さずに書けてしまうことにあると感じています。そのため、個人名を売るためではなく、記事に責任を持つために、実名をしっかりと出していくべきだと思うんです。

また、しっかりと取材をして、真実を伝えていけるメディアにしたいと考えています。内容は、企業向けのWEBマーケティング支援になるようなものがいいかとも考えていましたが、今は対象も内容も特にこだわらず、幅広い分野で検討しています。

そして、私自身、自立した女性として社会で生きていきたいですね。よく、「女性のロールモデルがいない」なんて嘆かれることもありますが、それはある意味当然だと思っています。女性が社会の中で認められるようになってまだ日が浅いし、本当に社会で活躍したいと考えている女性も少ないので、自分で道を切り拓いていくしかないんです。

私は、自分が仕事で辛かった時、活躍している女性の姿を見て励まされてきました。今後は、私も誰かを励ますことができる存在になれたらと思っています。「ロールモデル」というよりも、私を見て、一部分だけでも役に立つ部分を見つけてもらい、何かプラスの影響を与えられたらと思うんです。そんな人間になれるように、これからも仕事に励んでいきます。

2015.08.18

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