店舗での仕事を経て、通販事業の立ち上げも行った後、私の仕事は百貨店の「付加価値」を創造する企画業務に変わっていきました。世の中では通販ショップが台頭していて、同じ商品でも価格が高い百貨店は、その価値を問われるようになったんです。商品ラインナップや内装など以外で付加価値を生み出すのが私の仕事でした。アイディアを出さなければと躍起になり、アイドルを呼んでイベントをしたり、休みの時期に地元の小学生向けの社会科見学を行ったり、色々していきました。

しかし、ある時、自分ひとりでできることには限界があることに気づいたんです。むしろ、付加価値はお客様と関わる一人ひとりのスタッフが発揮するべきもの。そのため、自分がするべきことは、付加価値を創造できる人を育成することだと感じたんです。

店舗には、高島屋に雇われたスタッフだけでなく、テナントとして入っているメーカーさんからの派遣の方などもいて、むしろ、ほとんどが外部の人でした。そこで、その人たちを巻き込んで付加価値を創造するための教育研修を行おうと考えたんです。しかし、メーカーとしては、売り場でひとつでも多くの商品を販売するために派遣しているわけで、貴重な時間を研修には使いたくないというのが正直なところでした。そのため、結局、その施策はうまくいきませんでした。

その後、私は社長直轄の部署で会社の長期計画を作ることになりました。そこは社長を始め、経営陣が身近な部署でした。彼らは会社の重要な方針の意思決定をしていて、次第に私も「自分で決められる」仕事に惹かれていきました。

しかし、大企業なので、自分がその立場になれるとしても20年以上先。しかも、経営陣になることが約束されているわけでもありません。

それなら、自分で起業しようと考えたんです。そのために、まずは小さな会社での経営を学ぼうと考え、高島屋での経験を活かせると感じた「体験ギフト」を扱う社員1名のベンチャー企業に入ることに決めました。