人を支え、サポートするプロになりたい。自らの葛藤を、誰かの力に繋げるために。

【another life. × team RICOH THETA特集】1回のシャッターで、取り囲む全ての景色を簡単に撮影することができる360°全天球カメラ「RICOH THETA」を生み出したチームの特集です。3人目はサービス&サポートに携わる坂本さん。仕事と子育ての両立に悩んだ時期がありながらも、現在はTHETAのサポート業務の責任者を務め、プライベートでは自宅でネイリストの活動も行っています。「悩み葛藤したからこそ人の力になれる」と話す坂本さんにお話を伺いました。

坂本 佳子

さかもと けいこ|RICOH THETAのサービス&サポート
株式会社リコーにて、1回のシャッターで、撮影者を取り囲む全ての景色を簡単に撮影することができる「RICOH THETA」のサービス&サポートに携わる。

※この特集は株式会社リコーとの協力でお届けしました。

現在、リコーは、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所と共催した「RICOH THETA」のアプリケーションまたはガジェットを開発するオープンコンテスト「RICOH THETA デベロッパーズコンテスト」を開催中です。
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海外への憧れと母子家庭の葛藤と


私は東京に生まれ、都内の中高に通って育ちました。小さい頃から人が好きだったこともあり、高校生になると、英語で外国人と会話をすることに関心を持つようになりました。特に外国人の友人がいたわけでも無いのですが、逆に日本語しか知らないことで、日本人としか話ができないことを不思議に感じていたんです。

そこで、高校と並行して個人経営の英会話スクールに通い、将来は留学をできたらいいなと考えていました。そして、高校3年の卒業前に念願叶って、オーストラリアに4週間ホームステイをすることになったんです。

それが初めての海外だったこともあり、新鮮なことばかりですごく楽しかったですね。幸いにもステイ先が様々な国籍の方が集まるシェアハウスのような場所だったので、全くしゃべれずに苦しみながらも、ずっとリビングに居座って色々な人と話をすることを続けました。

すると、最初はひたすら聴き続けるだけだったのが、最終的には色々な人と話ができるようになり、小旅行に一緒に行くまでになったんです。また、戦争や歴史など、日本にいる時は積極的に目を向けなかったようなことも話す機会があり、視野が広がっていく感覚がありました。

そんな背景もあり、1ヶ月の滞在を終える頃には、「また行きたいな」と強く感じられる成功体験となりました。しかし、母子家庭だったこともあり、金銭的に大学進学は検討せず、卒業後は就職をしようと考えていたため、一度働いてお金を貯めた上で、3年くらいで辞めて海外に留学しようと考えるようになりました。

周りの友人は大学進学者が多かったこともあり、自分の中で葛藤もありましたが、幸いにも、就職活動が売り手市場だったこともあり、学校に届いている求人の中から、輸出入業務があり、海外に携われるという理由で、株式会社リコーへの入社を決めました。正直、あまりやりたいことは明確でなかったので、海外に関わることだけを基準にしていましたね。

ところが、入社時に希望は伝えたものの、TOEICの点数等も踏まえ、入社後の配属は通常の高卒社員と同じ配属となりました。そこは、プリンターの事業部で予算系のとりまとめを行うバックオフィス機能の部署だったのですが、置かれた環境に順応していくタイプだったこともあり、そこで吸収して打ち込んでいこうという気持ちで業務に取り組んで行きました。

子育てと仕事の両立に思い悩む日々


その後、入社3年目に結婚をし、4年目のタイミングで子どもを授かりました。正直、元々留学を考えていたこともあり、早いタイミングで結婚をすることに迷いもあったのですが、最終的には結婚して、仕事と家庭を両立しようと決めたんです。

その後、産後10ヶ月お休みをいただき、会社からの配慮もあり、家の近くにあった研究所で庶務業務に携わるようになりました。ちょうど、産休前にバブル崩壊の影響もあり、最初の部署から庶務に回ったのですが、サポートの雑務という役回りに、後ろ向きな面もありました。それでも、新しいやりがいを見つけようと気持ちを切り替えることにしたんです。

しかし、子育てをしながら働くということは思った以上に大変なことでした。保育園のお迎えの時間もありとにかく時間が無く、仕事は常に後ろ倒しになっていき、かといって帰りが遅くなってしまうと、子どもは疲れて寝てしまっている。早く結婚をしていたこともあり、周りに見本になるような友人もおらず、育児書を読みながら必死に子育てをしていました。

本には良いケースしか書いていないこともあり、自分の状態が当てはまらないこともあり、不安な気持ちで毎日を過ごしていました。

正直、「サポート業務だから」というような甘さも出てしまい、仕事への優先順位は新入社員時代よりも下がっていました。

35歳の“新入社員”


その後、3児の子どもに恵まれながら、31歳のタイミングで離婚をすることになりました。また、子どもが引き取れなかったこともあり、それまでとは一転、時間に余裕ができるようになったんです。

そこで、今まであまり注力できていなかった仕事に打ち込もうと、社内で機会を探すようになりました。しかし、それまでの働き方の認識もあり、いくつかチャレンジしようと思うも実らず、やる気があるが故にもどかしさを感じるようになりました。

そんな時、たまたま知人から「ネイリストの資格を取ってみない?」と誘っていただいたんです。元々、3人目の子育てをしている中で、ある日ふと鏡に写る自分のやつれた顔を見て危機感を抱いたことがありました。あまりにも疲れた顔をしていたんですよね。それ以来、エステやネイルサロンに通うようになったんです。

そんな背景もあったので、自分が感じたような喜びを他の人にも感じてもらいたいと思い、仕事と並行して学校やサロンに通い、勉強をしていきました。社外ではあったものの、ようやく打ち込むものが見つかり、手に職をつけることができることにも充実感がありましたね。

すると、ちょうどネイルの資格を取得できた後、社内でコンシューマー向けの新規事業のサービス&サポートの部署で社内公募があることを、会社の先輩から教えていただいたんです。社会人になってからも変わらず人が好きだったため、つながりを大切にしていたことでいただいた機会でした。

ネイルを始めたことで以前より充実はしていたものの、やはり仕事でもチャレンジしたいという思いは変わらなかったんです。特に、ネイルの施術をするようになってから、直接お客さんに感謝の言葉を貰える環境にやりがいを感じていたからこそ、公募の職種はまさに理想のものでした。

そして、実際に公募に申し込むと、なんとか選考に通過することができ、35歳にして、全く新しい環境で挑戦する機会を得ることが出来たんです。

新しく配属されたのは「クオンプ」というオンラインストレージサービス(インターネット上でファイルを共有するサービス)で、リコーの中でも珍しいソフトウェアのサービスでした。初めて会議に参加した時は、他の人が話しているIT用語が全く分からず、とにかく知らない言葉をメモすることから始めました。

まるで新入社員のような気持ちでしたが、同時に、新しい環境での挑戦に、大きな希望を感じていました。

「やっと自分の経験を活かせる」


実際に業務に携わってみると、やはり利用者の方が問い合わせ時に抱えていた問題が解決できた時にいただく、お礼の言葉がすごく嬉しかったですね。メールのやりとりではあったものの、非常にやりがいを感じました。それまでの部署でもやりがいを見つけるよう、自ら行動をしていましたが、利用者の方の一番近くにいるからこそ味わえる感覚がありました。

ところが、ある時、携わっていたクオンプがサービス終了を迎えることになってしまったんです。実際に便利だと感じて利用していただいている方がいるため、心苦しかったですね。会社の決断なのでしょうがないものの、悔しさがありました。

しかし、同時に社内で新しく360°撮影できる全天球カメラの「RICOH THETA」という商品の開発が行われ、元々クオンプの室長を務めていた上司がTHETAの室長も務めていたので、新しくTHETAのサービス&サポート業務立ち上げのために、チームに参加する機会をいただいたんです。

私自身、初めてTHETAに触れて360°を撮影した時に感じた感動や驚きがあったからこそ、その気持ちを多くの方に伝えていきたいという気持ちがありました。

また、何より、その室長から

「会社にいる時間は長いのだから、楽しまなければもったいない」
「与えられた仕事のプロになりなさい」

という言葉をいただいたことが印象に残っており、「サービスサポートは坂本だ」と言ってもらえるようになりたいという思いがあったんです。

また、クオンプで携わった新規立ち上げの経験を活かせる自信もあったんです。ようやく自分の経験を活かせるという感覚がありました。やる気にみなぎったチームのためにも、少しでも貢献したいという思いでサポートの構築を行っていきました。

自分の経験を活かして、他の人のサポートをしたい


現在はTHETAのサービス&サポートの責任者として、問い合わせ窓口となるコールセンターの支援や教育を行っています。元々、カメラとアプリというハードとソフトを両方扱い、360°撮影できるという新規性が高い商品であることもあり、サポートの体制を築いていく中では困難も多かったですね。それでも、やはりお客様の一番近くで評価をいただけることはすごく嬉しいですし、お客様の話を伺う中で、新しい使い方に気づいたり、勉強することもたくさんあります。そして、私自身が行くわけではないのですが、海外にもサポートチームがあり、その構築も行っているため、気づかぬ間に学生時代の夢も叶えることができていました。

また、プライベートでは変わらず自宅で友人にネイルをしてあげています。私自身が感じていたように、子育てや仕事の忙しさで悩む人でも、指先まで奇麗にしていられることは自信につながると思うんです。それが仕事や他の活動など、良い循環に繋がっていったらと願って活動を続けています。

今後はその他にも、自らの境遇に悩んでいるような若者の支援なども出来る範囲でしていけたらと考えています。私自身、色々な経験をしたことで、葛藤を持つ若者の気持ちがわかる部分もあると思うんですよね。また、会社に様々な経験をさせてもらったこともあり、「高卒でもここまで色々できる」ということを伝えていきたいと考えています。

苦しく悩むこともありましたが、その経験を活かして、仕事もプライベートも、人をサポートしていくことにこれからも携わることができたらと思います。

2015.05.25

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