「毎回、起業する気持ちで支援する。」生み出す楽しさを求め切り拓く、連続起業の道。

【ビジネスノマドという、新しい働き方】専門家のスキルと企業の課題をマッチングし、マイクロコンサルにより課題解決する 「X-book」との協力でお送りする「新しい働き方」の特集です。  ビジネスノマド3人目は、女性向けの事業や商品を中心に新規事業支援を行う原さん。新卒1年目で新規事業責任者になり、最年少マネージャーを務めた後、出資を受けての起業も経験した原さんが、新しい働き方に挑戦する理由とは?お話を伺いました。

原 麻由美

はら まゆみ|新規事業コンサルティング・連続起業家
NYに本社を持つISK INTERNATIONALにて、日本企業の海外展開支援を行う傍ら、大企業の女性向け新規事業や、女性向け商品のブランディング等を中心に、複数社で事業立ち上げの支援を行う。

※この特集は、株式会社サーキュレーションの提供でお届けしました。
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入社1年目から1人で新規事業立ち上げ担当に


私は神奈川県小田原市に生まれ、横浜で中高時代を過ごしました。高校生の頃から漠然と、将来は社会に対して何かインパクトを与えたいという思いがあり、大学では関心を持った政治について学ぼうと、卒業後は立教大学の法学部に進学しました。

ところが、大学1年で政治の授業に出てみると、教科書で扱うのはどうしても理論的な部分が多く、具体的な実務に紐づく内情が学べないことに物足りなさを感じるようになったんです。そのため、国や地域よりも、もっと小さな単位から学んでいこうと考えるようになり、ビジネス分野に関心が移っていきました。

そこで、2年生からは経済学部の授業を受けてみたり株式投資を始めてみたり、独学で四季報を読みあさったりもしましたね。(笑)自分の興味があることには打ち込むタイプだったので、株式投資や経営数字の分析等にひたすらのめり込んでいきました。

また、株式投資を学んだ影響で次第にベンチャー企業にも興味を抱くようになりました。経営数字を見ていくうちに、「自分で経営したらどうなるんだろう?」と純粋に関心を持ったんですよね。

そうして迎えた就職活動では、デザイン性の高い商材の製造・卸売り事業を行うベンチャー企業、株式会社イデアインターナショナルへの就職を決めました。

社員の雰囲気や、入社後の成長スピードを考えても、ベンチャー企業の方が合っているだろうなという感覚がありましたし、いつかは自分で経営がしてみたいという思いがあったので、経営陣の近くで働ける環境は非常に魅力的でした。また、何故だかこの会社の選考の時だけ緊張をしなかったんですよね。そんなご縁もありました。

内定をいただいてからは、在学中からインターン生として働き始めました。他の会社でもインターン自体は経験したのですが、それに比べても仕事が非常に楽しく、やりがいを感じましたね。扱っている商品を人に薦められる納得感があり、結局卒業までずっと働かせてもらうことになりました。

その後、実際に入社をして新卒研修を終えると、いきなり一人で新規事業の立ち上げを任されることになったんです。

元々卸売り中心の業態だったのが、直販を始める一環として、オーガニック化粧品や、インテリア雑貨を扱うEC事業を立ち上げることになり、その担当を一人で任されることになりました。正直、突然の話に驚きは隠せませんでしたが、「やるしかないんだな」と感じましたし、急速に成長したいというモチベーションを持って入社していたので、ありがたい機会だと思いました。

それからは一人でひたすら顧客対応・店舗運用・業績を上げるための改善活動を行いました。本当に、何から何まで初めての経験でしたね。

「君は自分で会社をやった方がいい」


実際に事業を始めてみると、毎月着実に売上が上がっていくことに手応えを感じることができ、すごく嬉しかったですね。そして、開始から半年で黒字転換を達成。その後は周りの人も巻き込んで成長を続けることができ、気づけば他のどの事業よりも利益を生むまでに至りました。

EC事業の成長が早く施策の検証サイクルが短いこともあり、コピーライティングやクリエイティブのパターン等、ノウハウを蓄積することができました。そのノウハウを他の事業にも活かすようになり、2年目には最年少マネージャーとして、採用からチームの育成を任せて頂きました。

ところが、順調に会社が成長して上場を迎えた直後、リーマンショックで大きなダメージを受けてしまったんです。

どこか会社全体の雰囲気も変わってしまったような印象があったので、経営企画室を兼務し、経営陣と従業員の間に立ち、なんとか組織を鼓舞するように仕事に打ち込みました。会社が好きでもっと成長に貢献したいという思いがあったため、事業横断的に、より広い範囲で経営に関わりながら販売全体の施策を企画する仕事は非常にやりがいの大きなものでした。

しかし、方向性に納得感を持てなくなってしまった時期があり、4年目を迎えた25歳のタイミングで退職をすることに決めました。正直、次に何をするのか決めないまま辞めたような形でしたね。

退職後、改めて将来のことを考えると、もう一度経済学を勉強し直すことや、他の業界への転職、自分でECを立ち上げること等、様々な選択肢が頭の中にありました。

ところが、それまでせわしなく働いていたこともあり、会社を辞めて今後について考えていましたが、1週間程で仕事をしていない不安に耐えられなくなってしまったんです。前職で事業立ち上げ・経営企画の経験を積むことができたため、あとはファイナンスを経験すれば将来起業に近づくかもしれないという思いから、ベンチャーキャピタルへの就職を考えるようになりました。

情報収集を行っていると、サムライインキュベートさんというベンチャーキャピタルに出会いました。そして、代表の榊原さんとお話させて頂くと、キャピタリスト自体は募集していないものの、投資先の経営企画なら可能性があるかもしれないとのことで、何社かと面談をしているうちに、

「君は自分で会社を作った方がいい」

と言われたんです。「今投資を考えている人がいるから、3人で一緒に会社を作ろう」と。

正直、すぐに独立することは想定していなかったため迷いましたが、最終的には榊原さんと一緒に挑戦してみたいという気持ちになりました。結局、退職の1ヶ月後に出資が決まり、株式会社ファンブックを創業しました。

スタートアップの洗礼と訪れた転機


しかし、起業は、私がそれまで経験していた新規事業の立ち上げとは全く異なるものでした。まず、会社名が全く市場で認知されていないため、何をするにも前職の時とは勝手が違ったんです。

「スタートアップで事業を立ち上げるのって、こんなにキツいんだ」

と痛感する日々でした。事業自体は海外向けのWEBサービスだったのですが、中々成長の糸口を掴めず方向性を摸索する日々。気づけば、最初に調達した資金がショートする危機に陥ってしまったんです。

そこで、自社サービスの提供だけでなく、これまで培った知見を活かし、コンサルティング事業も開始しました。

すると、その事業がすごく自分の性に合っていたんですよね。色々な企業が抱えるマーケティングの課題を解決することで対価をもらうことができ、また、自分たちよりも大きな企業を通じて社会と関われるレバレッジの大きさにも、とてもやりがいを感じました。

そして、事業自体もうまく軌道に乗っていき、メンバーも増え、会社自体が成長していくようになったんです。

過去と未来をつなぐ、新しい働き方


ところが、会社が成長を遂げていくと、経営方針がすれ違う部分も生まれていきました。クライアントへの提供価値を上げるために、事業の幅を広げたいと私が考えていたのに対し、会社としては範囲を特化することで組織を大きくする戦略をとることになったんです。

そこで、会社としての推移は順調ながら、描く方向性の違いから、2014年28歳のタイミングで共同創業した会社を離れることに決めました。

それからは、今までに実現できていなかった、ブランディング・マーケティング・海外の3軸で企業支援を行う事業に携わりたいと考えるようになりました。そこで、海外事業立ち上げを目的に、NYに本社を持つISK INTERNATIONALに参画することに決めたんです。

海外事業の側面では、ターゲットを国内の伝統的な企業とし、海外のクライアント獲得のHUBになろうと考えていたため、事業としては非常に足が長く、それまで以上に時間がかかるものでした。

そこで、長期的な海外事業に投資する傍ら、これまで培った経験をもとに、個人として国内企業の新規事業支援を行うことにしたんです。

振り返ってみればこれまで、メーカーで直販EC事業立ち上げからプロモーション・経営企画を担当し、スタートアップでは提案とコンサルティング・マーケティング支援を行っており、尚且つ女性で起業経験者ということもあり、とてもありがたいことに、業界を問わず様々な事業の立ち上げ支援の案件に声をかけてもらうようになりました。

特に大企業の女性向け新規事業や女性向け商品のブランディング等を中心に、支援方法やコミット度合いは様々ながら、所謂コンサルティングではなく、一緒にメンバーとして働き、毎回を「起業」と捉える関わり方で支援を行っていきました。

新卒からベンチャー企業で働き、自ら起業をした後は、複数の企業の挑戦に一緒に手を動かして関わる、新しい働き方を行うようになったんです。

不安の中に見いだした、「連続起業家」という道


新規事業の支援を行う中でも、やはり事業が立ち上がったり、商品やサービスが具現化するタイミングは非常にやりがいを感じます。だからこそ、1社だけでなく複数社でそのやりがいを連続して感じられるのは非常に貴重な経験です。また、複数社と関わることで、新しい挑戦を始める際の知見は日々更新されていっています。

また、最近一番嬉しかったこととして知人から、

「どんどん連続起業家になっているね」

という言葉をもらったんです。まさに、当事者として一緒に取り組む支援を心がけて来たからこそ、そのように言われたことはすごく嬉しかったですね。

これまで、様々な環境で貴重な機会を得ることができ、幸いにも、すごく大きな挫折もせず、自分の思う挑戦に取り組み続けることができました。しかし、実は、自分の生き方は「これでいいのか?」という疑問を持つこともたくさんあります。

その時々で取り組むべきことにまっしぐらに走って来ましたが、必ずしも自信があったわけではありません。

そして、新卒時代では悩んだら経営陣に相談することもできていましたが、今はそういった相手も多くはいません。

でも、私の中で、自らの手で新しいものを創りだすことを楽しく感じることは、いつどんな時でも変わらないことなんです。

だからこそ、その原動力に素直に、たくさんの事業に携わりつつ、スタートアップとしての挑戦もしていきたいと考えています。そうやって、「連続起業家」として社会に関わることができればと思います。

2015.04.22

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