知らないことが損をする社会を変えるために!相手の心とお金に向き合う仕事を。

子供の頃から持っていた、人の役に立ちたいという一貫した理念の下、資産管理や人生設計の専門家として、お客様に親身に寄り添うファイナンシャルプランナーの大内さん。大内さんが目指す「損をしない社会」とはどんなものなのか、また「楽しい人生」にするためのお金との向き合い方について、お話を伺いました。

大内 優

おおうち ゆう|ファイナンシャルプランナー
FP相談室マネー&キャリアを経営し、ファイナンシャルプランナーとして家計の見直しや人生設計の相談を受けている。

FP相談室マネー&キャリア

知らないことが損をする社会


僕は、福島県の郡山市で生まれ育ちました。
小さい頃から、世の中を変えたいという思いを持っていて、人と比べて正義感が強い子供だったと思います。
家族は、自分のビジョンを持ちながら塗装業を営む父と、母と弟、そして僕の4人でした。

社会や仕事について少し分かるようになった中学生の頃、
社長である父がもし怪我や病気で休んでしまったら、
父や僕たち家族、そして従業員を誰が守ってくれるんだろうと、ふと思ったんですよね。

自営業をしている父は、自分の好きなように仕事ができますが、
働けない状態になってしまった時、一般的なサラリーマンは会社が守ってくれるのに対して、
自分でどうにかしない限り、保障や手当などは一切無いんですよね。
また、税金なんて大抵の人が多く払いすぎているのに、自分で調べて申告しないと1円も戻ってこない。

このようなことに気付いて、僕は社会の仕組みを変える必要があるんじゃないかと感じるようになりました。
特に、

「知らないことが損をする社会を変えたい」

と強く思い、
高校に入学してからは、官僚や弁護士というような、
社会に対して影響力や発言力がある職業に就こうと考えるようになりました。

そこで、高校卒業後は都会に出て学びたいと思い、
東京の大学を受験し、1浪の結果、慶應義塾大学の商学部に入学しました。

人の役に立つことの楽しさ


大学では、経済について学んでいましたが、
1・2年生の時は、本当にバイトばかりしていました。
小学生を対象とした塾の算数の講師として、週に6回も出勤して、月に30万円ほど稼いでいましたね。
小学生といえど、中学受験で自分の人生を変えようと必死なんです。
そのひたむきな姿にこちらも真剣になります。
自分が教えることで、算数が苦手な生徒でも勉強してくれて成績が伸びる。
さらに保護者の方々にも非常に感謝していただける環境は、
とてもやりがいを感じることができ、夢中になっていました。

その後、3年生になってからは就職について考えるようになりましたが、
元々持っていた、「社会を変えたい」とか、「社会の役に立ちたい」という思いは変わりませんでした。
そのため社会のことを広く、深く知ることができる仕事って何だろうと考え、
マスコミに関心を持つようになりました。
特に、情報発信においては、テレビが最も影響力のある媒体だと思ったんですよね。

また、仕事を通じて、自分が会えないような方に出会えたり、世間の人が聞けないことが聞けたりすることも魅力的に思え、
僕はテレビ局に就職しようと考えるようになりました。

そして、結果的にいくつかのテレビ局から内定を頂き、地元の福島テレビ株式会社に入社しました。

自分の存在意義


入社後は、報道の部署に配属され、記者として仕事をしていたのですが、
入社3年目に新潟県中越地震が起き、僕も応援として取材に行くことになりました。

そこでは、人生で初めて震源の真上で震度7を経験し、衝撃を受けました。

また、山古志村という震災の影響を受けた地域があり、
その地域では、闘牛と錦鯉の養殖が盛んに行なわれていましたが、
地震が起きてしまって水が干上がってしまい、育てられない状況に陥ったため、
1匹300万円もする錦鯉をみんなで焼いて食べたという話を聞いたんです。

僕はその話を聞き、保障や蓄えはあるのか疑問に思い尋ねると、
住民の方々は、何もかも農協任せだから一切分からないし、蓄えもないと言うんですよね。
この時、やはりお金にしても、それに代わる物にしても、財産の管理や、
リスクに備えることは非常に大事だな、と痛感しました。

加えて、自分の仕事における価値観の変化もありました。
これまでは、報道記者という自分の仕事は、社会性があって、世の中の役に立っていると認識していたんですが、
こういう災害が起きても、

「目の前の困っている人のために何もできていない」

と感じてしまったんですよね。
それに、今まで仕事をしてこられたのは、全てテレビ局の看板があったからで、
自分1人では何もできないのではないか、
これからも自分がここで働くこと自体が世の中から必要とされているのか、悩むようになりました。

そして、改めて考えた結果、「世の中を変えたい」や「人の役に立ちたい」という、僕がずっと持っていた思いもあり、
もっと人の近くで寄り添える仕事がしたいと思うようになったんです。

そんな時に、ちょうどテレビ局の仕事で、ファイナンシャルプランナーの方に取材をする機会がありました。
そこで話を聞いてみて、とことん困っている人のために働くファイナンシャルプランナーは、
とても社会的意義があり、正義が貫ける仕事だと思い、

「自分の探していた仕事はこれだ」

と感じたんです。

これからの人生のために経験を蓄積する


僕は、決めるとすぐに行動してしまう性格なので、次の就職先も決めずに、
テレビ局を退社し、ハローワークに通いました。
そこで、未経験でも勤務可能なファイナンシャルプランナーの事務所を見つけ、就職することができました。

事務所で働き始めてからは、平日は働きながら実務経験を積み、
休日は資格を取るために自費で専門学校へ通い勉強するというようなハードな毎日でしたが、
なんとかファイナンシャルプランナーの資格を取ることができました。

その事務所で僕に与えられた仕事は2つでした。
1つは生命保険や損害保険の契約を預かる営業の仕事。
もう1つは僕と同じように金融未経験の人を採用し、育て、
銀行や保険会社に派遣する教育の仕事です。

小さな会社なので、収益を上げるためには1人何役もやらなくてはなりません。
もちろん、僕の身体は1つしかないので休む暇も無かったですね。

そんな時、社長から、
「もうどっちの仕事もやらなくていいから君が派遣先にいってくれないか」と言われたんです。

経営が苦しかったんですね。
今となってはその時の社長の考えも分からなくはないのですが、
これまで保険契約をお預かりしたお客さんはどうするのか、
今育てている社員はどうするのか、と熱くなって言い返してしまったんです。
それで会社を辞めました。

それでも、ファイナンシャルプランナーとして、もっともっと専門的知識を付けたいという気持ちは変わらなかったので、
僕が資格を取る時に通っていたファイナンシャルプランナーの専門学校を運営する会社で、
法人営業をしました。

資格を取った頃から、いつか独立して事務所を構えたいという思いがあったので、
知識も実務経験もある程度付いて、次は会社を大きくしていくためのマネジメントを学ぶ必要があると考えるようになりました。

そんな時、先輩から保険会社でマネージャー候補を募集していると聞いたんです。
保険会社のマネージャーというと予算の管理や人材の育成など、とてもきついイメージがありましたが、
この仕事をやりきることができたなら、今後どこでもやっていけるだろうと思い、働いていた会社を辞め、
保険会社のマネージャー候補として働くことに決めました。

ただ、以前に本で、人間は40歳までの経験で決まると読んだことがあり、
独立してからも経験を積む期間が数年間必要だと思っていたので、
この会社に勤めるのは35歳までにしよう、と決めて転職をしました。

実際に、転職の数か月後にはマネージャーになり、
20名以上の社員を採用し、自分を頼って仕事に励んでくれる仲間もたくさんでき、
本当にやりがいのある仕事でした。
そして、5年働いた後、計画通り35歳で独立を決めたんです。

より豊かな人生を送ってもらうために


現在は、ファイナンシャルプランナーの事務所を開業し、
お金の使い方について相談を受けたり、お金と人生について考えてもらうためのセミナーを行っています。

その中でも、今は僕自身が作った「経済寿命診断」というものに力を入れています。
人には、貯蓄や投資の仕方、お金の使い方に特徴があり、その傾向から、お金がいつまで持つのか、だいたい分かるんです。
この診断でお金の寿命を把握することで、今後の人生計画をお客さまと一緒に立てていきます。

今の日本の経済は上向いているように見えますが、正直言って中身はガタガタです。
状況を理解している人は、もうすでに準備していますが、
真実を知らない人は、スタートラインにさえ立てていないんです。
そんな人たちに、考えてもらうきっかけにしてほしいと始めたのが、経済寿命診断です。

今後も、知識や経験の有無で、格差は更に広がっていくでしょう。
なので、もっともっと世間に経済寿命診断を普及させていきたいと考えています。
また、ファイナンシャルプランナーという職業を、より多くの人に知ってもらえるようになりたいですね。

そうしていくことで、知らない人が損をするのではなく、
どんな人でも、生きがいを持って明るく楽しく生活できるようになればいいなと思います。

2015.03.09

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