日本の素晴らしい手仕事の魅力を世界へ!本当にやりたいことができない辛さを超えて。

ハンドメイド・手作り作品のマーケットプレイスの運営を行う吉田さん。学生時代から、「本当にやりたいことができないことの辛さ」を強く感じた吉田さんが、人生をかけて取り組みたいと感じたものに出会うまでには、どのような背景があったのでしょうか?

吉田 研三

よしだ けんぞう|ハンドメイド・手作り作品のマーケットプレイス運営
誰でもハンドメイドの製品を売り買いできるマーケットプレイス、
「tetote」のチーフプロデューサーとしてサービスの運営を行う。

ハンドメイド作品が売買できる日本最大級のWEBマーケット tetote (テトテ)

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熱中していたバドミントンを諦め、美大進学へ


私は、神奈川県で生まれ育ちました。
元々人との距離感を測って接するのが苦手で、
小学生の頃はいじめを受け、動物の番組をひたすら見るかゲームをするかという、
根暗な性格でした。

しかし、兄の影響で始めたバドミントンに打ち込むようになってから環境も変わり、
中学生では、バドミントン漬けの生活を送るようになりました。
その後、高校受験では、たまたま学力的にも一致した、
バドミントンでインターハイを目指すような高校に進学することにしたんです。
入学後も熱は冷めず、ひたすら練習に打ち込む日々を過ごしました。

しかし、1年生の秋に腰を壊してしまったんです。
それからリハビリをするも、なかなか治らず、

「こんなことをしていていいのか?」

という焦りがありました。
一緒に入部した友達が、どんどんうまくなっていく姿を見ているのがとても悔しかったですね。

しかし、ちょうど、そんな風に心が折れてしまったタイミングで、
ふと、ファッションデザイナーになりたいという思いを抱くようになったんです。

元々、中学時代はファッションへのこだわりなど皆無だったのですが、
高校生になり、修学旅行で私服を着なければいけないということへの焦りから、
渋谷・原宿で服を買うようになり、
結果的に、周りに「いいじゃん」と言ってもらえたんです。
そこで、ファッションに目覚めました。

そのため、高校卒業後は美大への進学を考えるようになりました。
しかし、インターハイを目指すバドミントン部と美大の勉強の2足のわらじを両立することは難しいと感じ、
結局、1年目の冬に、部活を辞めることに決めたんです。

正直、大好きなバドミントンからは逃げてしまった感覚があったので、
ファッションの道に力を注ごうと、退部翌日に、元に戻れないよう、髪を銀色に染め、ピアスを4つ開けました。

その後、調子に乗っていたこともあり、現役の受験は失敗してしまったものの、
1浪した結果、なんとか武蔵野美術大学に合格することができました。

2000人規模のファッションショー


元々、浪人中に武蔵野美術大学の芸術祭に足を運んだことがあり、
体育館で行われていた、30m規模のファッションショーに衝撃を受けました。
そして、もし入学するなら、自分もこれをやろうと思っていたんです。

そこで、実際に入学してみると、有志での運営だったこともあり、
言い出した私は、自然と運営の代表になりました。

舞台も照明もスクリーンも映像もデザイナーも全部自前、
モデルを併せて150名を巻き込んだプロジェクトの運営に、
完全にキャパシティを超えてしまっていました。

皆1年生で頼る人もおらず、予算は400万円にのぼり、
これを失敗したら、マグロ漁船にでも乗らなければいけないんじゃないか、
という不安がありましたね。(笑)

しかし、実際に当日を迎えると、お客さんは2000人以上入り、
評判も上々でした。
がむしゃらに準備してきたので、「やっと終わった」という感覚が大きかったですが、
自分の無力さも含めて本当に多くのものを学ぶことができました。

特に、組織作りや仕事の振り方等、
周りのメンバーが最大限能力を発揮できる環境を作ることが、
トップの役割として重要なんだということを強く感じることができました。

休学、海外旅行から就職へ


それからは抜け殻のような大学生活を送っていたのですが、
大学3年生を控えた春休みに、親友と海外旅行に行こうという話になりました。
それまで、海外など行ったことが無かったのですが、ベトナムにバックパック旅行に行くことになったんです。

2週間という期間ではありましたが、自分は全然世の中を知らないな、
と感じました。
そのまま3年生になっても、自分が働きたいのか分からないまま就職活動をしても意味が無いと思い、
親に頼み込んで、1年間休学をすることに決めました。
そして、アジア6カ国を旅して回ることにしたんです。

海外で様々な経験をし、色々な価値観に触れることで、
自分と合わないことはあっても、人を否定することはできないんだな、
という気づきがありました。
また、自分がおかれている境遇を改めて捉え直し、
生きることは感謝するということなんだと実感しました。

そこで、日本に帰ってからは、就職活動を行い、
社会に出て働くことに決めました。
しかし、ファッションはビジネスとしては携わらず、
1年生の時に行ったファッションショーのような、
プロジェクト的な仕事の仕方をしたいと感じたんです。

正直、自分はサラリーマンに向いていないだろうなと感じていたからこそ、
新卒のアドバンテージを利用したいという気持ちでした。
結局、関心を持った広告代理店やweb業界を周り、株式会社サイバーエージェントへの就職を決めました。

「これこそ自分のやりたいものだ」


元々、採用段階ではデザイナーとして入社したものの、
将来的に営業ができるほうが良いと考え、
一番厳しい環境に行こうと、立ち上がったばかりの子会社の営業担当にしていただきました。

しかし、びっくりする位成果があがらず苦しみました。
その後、ちょうど、会社自体の業態変更があり、
途中からはソーシャルゲームのディレクターになり、
幸いにも携わったゲームはヒットを記録することが出来ました。

ところが、自分の中では、ずっとモヤモヤした気持ちがありました。
元々苦手だった人との距離感を掴むのを避けるため、
相手に合わせて自分が変わるというのを長らく続けたところ、
あまりに自分を大切にせず、「本当の自分」との乖離が大きくなってしまったんです。

ついに、ある時から、会話の中身が入ってこなくなってしまい、
最終的には、数ヶ月、休職をさせていただくことになりました。

休職中は、ひたすら自分と向き合いました。

「そもそも、自分は今の仕事をしたいんだろうか?」
「いや、したくない。じゃあ何がしたいんだろう?」

と考えてたどり着いたのは、ものづくりに携わる人を支援するような、
セレクトショップのようなお店を開きたいということでした。

正直、就職活動のタイミングで、自分は創り手でないという判断をしながらも、
入社後も、どこかクリエイター気質が抜けていなかったんです。
しかし、休職中に創り手としての自分へ見切りをつけ、自分は創る人達をサポートをする人になろうという気持ちを固めることが出来ました。

すると、復職してからは、少しずつ成果が出せるようになっていきました。
また、ちょうど、社内で新しく「tetote」という、
ハンドメイドの作品を誰でも売ったり買ったりできるマーケットプレイスが立ち上がるということを知ったんです。

「これこそ自分のやりたいものだ。」

という衝撃がありました。
まさに、自分のやりたいと思っていたことが、web上で実現している、と。
そこで、会社に懇願し、運営に携わらせていただくことになったんです。

日本の素晴らしい手仕事の魅力を世界へ!


しかし、その後、「tetote」は手芸関連の会社の子会社に、事業譲渡をされることになりました。
配属されてからは、このサービスを世界に誇れるものにしたいという一心だったので、
自分の無力さを痛感しました。

ところが、tetoteの運営のトップをしていた上司からの計らいで、
サービスと一緒に会社を移る調整をしていただいたんです。

私自身、続けることができればどんな環境でも良いという思いがありました。
バドミントンも、新卒配属後も、本当にやりたいことができないことはすごく辛いことを身にしみて知っていたんですよね。
人数は激減し、環境も大きく変わりましたが、私は変わらずtetoteに情熱を注ぎ続けました。

それから3年経ち、現在は、tetoteのチーフプロデューサーとして活動しています。
tetote は今、以前ユーザーだったメンバーや、子供がいるママスタッフなども含めた25名の従業員とともに、社会に誇れるサービスとして、日々運営を続けています。

私自身、立場やミッションも変わり、今は tetote が更に飛躍するために一緒に未来を創る仲間集めに注力しています。

何よりも「人」が重要だと思うので、一緒の想いを持って働ける人と出会えるように色々な人と会うようにしています。

また、tetoteの運営を通じて、日本のものづくり、
特に伝統工芸の産業に貢献していきたいという気持ちがあります。
日本の素晴らしい手仕事の魅力を、世界に伝えられたらと思うんです。
そのためにも、現在は、「tetoteハンドメイドアワード」というコンテストの開催等も行っています。

極端な話、これが天職だという思いですね。
だからこそ、人生をかけて取り組めればと思います。

2015.02.12

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