働きながら旅をする!僕がワークスタイルの「実験」をする理由

自らの仕事・生活を以て、「ワークスタイルの実験」をしていると話す松田さん。 自転車で旅をしながら、会社経営・ライターの仕事を行う背景には、ご自身の原体験に基づく、社会へのメッセージがありました。

松田 然

まつだ もゆる|会社代表兼ライター
ライティング事業を行う、合同会社スゴモンの代表 、
ソーシャルメディアマーケティング事業を行う株式会社スゴログの取締役を務める。

合同会社スゴモン
株式会社スゴログ

やりたいことが急に降って来た


小さいころは、地元のプロ野球チームの西武ライオンズやサッカー J リーグなどの試合をよく見に行っていましたね。
お小遣いが少なかったのでスタジアムまでは自転車で。
そして、試合を見てすごく感動して、スポーツっていいなって感じたのを覚えています。

高校では、受験ギリギリまでバスケ部に注力し、大学も体育系の学校に入りました。
ほとんどの人が教員を目指す中、僕は小さいころから好きだったスポーツを、今度は提供する側になりたいと思い,
「スポーツ・マーケティング」という分野の勉強をしていました。

でも、スポーツ業界は狭き門。そのまま、流れで就職活動に入るのも嫌だったので、早くからいろいろな会社を調べていましたが、
一般企業は「なんか違う」と思ったんですよね。

一旦リセットして、就職活動を辞めて、旅に出ることにしたんです。
今考えれば若気の至りに近いのですが、自転車で旅をする中で、いわゆる「自分探し」をしていました。
タイムリミットも迫って来ていたので、大学4年の4月になってもやりたいことが見つからなければ、
もう一度就職活動をして、どこかの企業に就職しようと思っていましたね。

やっぱり現実はドラマのように行くわけもなく、期限通りにはやりたいことが見つからなかったのですが、
4月7日の夜、寝ていたら急に降って来たんです。
仕事・趣味問わず、とにかく一気に湧き出て来て、一生懸命ノートに書き出したんですよ。
自分がやってみたいと思うことが、ついに見つかった瞬間です。

その第一歩として、海外で働き、本場のスポーツ・マーケティングを体感したり、
好きな自転車で海外を旅することにしました。
現地では、スポーツのスタジアムで働かせてもらい、自分がやりたいことに近い経験ができたんですよね。
夏のカナダも自転車で心ゆくまで走りました。

そのまま現地で働きたいというという気持ちもありましたが、日本のスポーツを盛り上げたいという気持ちから、
1年間のビザの期間を終えて、日本に戻ることに決めました。

働くって大変だな


日本に帰って来てからは 、スポーツ系のシンクタンクで働くことになりました。
初任給は6万円からスタートでしたが、お金より好きなことをやりたいという思いが強く、
スポーツ業界に入るための求人サイトやイベントの立ち上げなど、色々と裁量を持って仕事をさせてもらいました。

ところが、色々挑戦させてもらう中で、自分の力不足を痛感したんです。
スポーツを好きな気持ちはあるものの、好きだけじゃうまくいかなかったんですよ。
立ち上げたイベントの失敗も重なり、まずは力をつけなければと思い、
成長を求めて人材業界に転職することに決めました。

転職してからは、自分のスキルアップのため、泥臭く働きました。
今でこそ環境は変わっていますが、月曜日会社に行って、金曜日まで帰らないこともよくありましたね。
ところが、入社直後にリーマンショックが起こったんです。

自分の周りにも影響はありました。
同僚や部下で、働くモチベーションに悩む人や、後ろ向きに辞めていく人が増えたんですよね。

なんだか、働くって大変だなって思いました。

出世はあまり興味がなかったのですが、自分の力をつけるためにモチベーション高く働いていた私にとって、
周りの人がモヤモヤしているのが、すごくもったいなく感じたんですよね。
もっと前向きな、新しいチャレンジが生まれるようになればいいのに、と思ったんです。

そのためにも、もっと個々人にあった働き方をすることが大事なんじゃないかと感じたんですよね。

そこで、何か新しいチャレンジを応援するようなwebサービスを作れないかと考えました。
ところが、リーマンショック後ということもあり、会社はすぐに利益になるかもわからないことはやりずらい。
それなら、自らが新しいチャレンジを外でしてみようと。
元々フリーランスとして働いてみたいという気持ちもあったので、独立して自分でやることに決めました。

自分らしさの先に


フリーランスになってからは、自分で全てやるからこそ、得意なこと・苦手なことが段々分かってきました。
たまたまそのタイミングで、前職の同僚と意気投合したこともあり、
一緒に会社を作ろうという話になり、フリーランスから起業することに決めたんです。

ところが、起業したのはいいものの、最初は苦戦を強いられることになりました。
自分たちが作りたいものにフォーカスしていった結果、
本来の「チャレンジする人を増やす」というミッションから離れていってしまったんですよね。

なんとかするために、自分自身でも色々な働き方を試してみることにしました。
立ち上げた会社と並行して、他の会社の社員になったり、NPOを手伝ってみたり。名刺が同時に4枚位あったかと思います。

そして、そうやって働いている内に、少しずつ見えてくるものがあったんですよね。
テクニック的な面で言えば、やはり、働き方の可能性を広げるためにはITのスキルが必要だということを学びました。

そして何よりも、

自由なワークスタイルの実現は、自分らしさの先にある

ということに気付いたんですよ。

その人が好きなことの方が強いし、そうじゃないと続かないと思うんです。
ただ、好きなだけではダメで、自らのスキルを知ることと、社会が何を求めているかを感じること。
そうやって自分らしさを追っていった結果、自分にとって自由なワークスタイルにつながっていくんじゃないかと思うんです。

僕の場合は、旅と自転車という「好き」と、文章を書くという「できる」、
そして、ブログやソーシャルメディアなどの影響でコンテンツを作ることが社会的に「求められている」ことを感じました。

また、自転車で日本・世界を旅しながら仕事を行い自分らしさを発信することで、
そのような自分らしいワークスタイルを実現する人を増やすことができるんじゃないかと思ったんですよね。

まさに、「やりたいこと」・「できること」・「社会から求められていること」が初めて重なったような気がしました。

これまでの仕事はどこかが欠けて足りなかったり、余分な物があったりしたんです。
でも、今はライティングに特化した会社も立ち上げ、その三つを結ぶ三角形の中に入るものだけを、
シンプルに追求できている気がします。

仕事が障壁じゃなくなるために


今はまだワークスタイルの実験の期間だと思っています。
新しい働き方を始めてみて気付いたのは、自分らしさを追求した働き方って、すごく生産性が高いんですよ。

自転車で海を見ながら走っている時の考えごとからいい企画が生まれるし、
旅先のおいしい物を食べながら机に向かう方が仕事も全然はかどるんです。
それに早く仕事をこなさないと、旅本来の楽しみを味わう時間も減ってしまいますしね。
都会にいる人に会いにくいこと以外は、すごくうまくワークしている気がします。

僕は、このような自分の活動を通して、周りの人にも、好きなことをして、
自分らしいワークスタイルを実現してほしいと思っているんです。

小さなことでも、チャレンジしたい人ってたくさんいるはずなんです。
でも、仕事が障壁になってできないでいる人がすごく多いと思うんですよ。
だったら仕事とライフスタイルを分けるのではなく、バランスを取ることで、
少しでもその障壁をなくすことができたらいいのでは、と。

個人的には、仕事と旅だけではなく、将来は農業や育児など、
新しいことも含めて両立したライフスタイルに挑戦してみたいですね。

これからの時代にあった方法は色々あると思うので、まずは自らを実験台にして、働くことを楽しんでみます。

2014.04.02

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