九州の食材と、大好きなアメリカ文化の融合!ジャーケーキだからこそ伝えられる魅力。

アメリカ発のガラス密封容器「メイソンジャー」を利用して、九州の食材の魅力を伝えるジャーケーキの通販サイト「Cake In A Bottle」を運営する吉本さん。ファッションスタイリストとして東京で働いていた吉本さんが、突然熊本で暮らし始めるには、どんなきっかけがあったのでしょうか。また、暮らしたからこそ知ることができた九州の魅力とは。お話を伺いました。

吉本 圭美

よしもと たまみ|九州の食材を使ったジャーケーキの販売
九州の食材を使ったジャーケーキを販売するCake In A Bottleの通販サイトを運営する。

【クラウドファンディングで募集中】「ジャーケーキ専門店」
ジャーケーキ専門店「Cake In A Bottle」
ジャーケーキ専門店「Cake In A Bottle」Facebookページ
 

映画に関わる仕事に興味を持つ


私は熊本出身の両親のもと、名古屋で生まれ育ちました。

映画好きの父の影響で小さい頃から映画館に行くことが多く、物心ついたときからだんだんと映画の世界に浸っていきました。
映画は、2時間程と短い時間の中でもその中に生きる登場人物がいて、
それがたとえ架空の人物でも、人の人生を垣間見ているような感覚で、それぞれのバックストーリーを深く知れるところが好きでした。

特にハリウッド映画をよく見ていて、その世界を構成している音楽や文化、ファッション、時代背景にも興味を持つようになりました。
シンプルだけどポップな色使いや、アメリカの自由なライフスタイルそのものが好きだったんです。

また、ハッピーエンドで終わる映画を観た後は、なぜか私自身も幸せな気分になっていましたね。
どんなにつらいことが起きても、二転三転して最後には幸せな結果が待ち受けている展開をスクリーンの中で何度も観てきたからか、
私もどんなことも前向きに捉えるような性格になっていきました。

そして将来のことを考え始める高校生にもなると、映画に関わる仕事をしたいと考えるようになっていきました。
とは言っても人前に立って何かをするのは苦手だったので、女優になりたいとか監督になりたいなどと考えたことはありませんでした。
どちらかと言えば裏方から支える仕事をしたいと考えていて、
元々絵を描くことや洋服を選んだりコーディネートすることが好きだったこともあり、
漠然と「ファッションデザイナーとして映画に出るような服を作りたい」と思うようになりました。

そこで、高校卒業後は服飾の専門学校に進学することにしました。
通っていたのは大学の付属校だったので、大学ではなく専門学校に行くのは学年でも私くらいでした。
でも、自分が好きで興味を持っていることを学びたかったので、不安はありませんでしたね。

専門学校でファッションスタイリストの勉強をする


専門学校の1年目は、ファッションの基礎を全般的に学んでいきました。
デザインやカラーの知識だけでなく、ファッションの歴史や裁縫、テキスタイルについても勉強し、
ファッションの本質を理解しながら次の年から始める専門教育に備えていきました。
1年間の基礎コースを修了後、私は2年目からはデザイナーになる道に進みたいと考えていました。

ところが、ゼロからアイディアを出すのがどうにも苦手だと気付いてしまったんです。
絵を描くのは好きで特にデッサンや模写は得意中の得意でしたが、
自分でいざオリジナルの絵を描こうとすると、全く思い浮かばないんです。
そこでその悩みを先生に相談すると「ゼロから生み出さなくても、組み合わせて表現する方法もあるよ」と、
既存のアイテムを合わせてイメージや世界観をつくりだすファッションスタイリストのことを教えてくれました。
「こういう活かし方もあるんだ!」と感激し、2年目からはスタイリストになるための学科に進み、
同じ道を志す友人たちと感性を磨きながら実際に現場で生かせる専門の技術を身につけていきました。

毎日課題が出て忙しかったものの、自分が好きでやりたいことだったので苦ではありませんでした。
2年間みっちりと撮影の練習をしたりコーディネートの知識をつけてからの就職活動では、東京の会社への就職を希望しました。
ファッションスタイリストという職業上、テレビ局や出版社などが集中する都心部の方が需要があり、
またテレビや映画などの撮影自体も関東地方であることが多いのも理由の一つでした。

そして21歳の時、東京のスタイリスト事務所に就職することができ、家族を名古屋に残して一人上京することにしました。

家族といる時間か、自分の仕事を取るか


私が働き始めたのは、芸能人専属のファッションスタイリストの事務所でした。
主な仕事は、ショップからアイテムを借りてきてアイロン掛けを行い、
撮影に同行してスタイリングし、撮影後に返却準備をしてショップへ返すことでした。

入社して数ヶ月経つと、ついに師匠のアシスタントとして一緒に現場に行かせてもらえるようになりました。
テレビや雑誌、CMなど、今まで夢に見ていた世界の裏側がそこには広がっていました。
年に一度あるかどうかでしたが、ずっと憧れていた映画の仕事にも携わることができ、とても感動しましたね。
小さい頃からの夢が一つ叶ったんです。

アシスタントの仕事は雑用が多く寝る時間もあまりないし、給料だってかなり少なかったけど、
ずっと憧れていた世界に自分が関わっているというだけで、毎日が刺激的で楽しかったですね。
そして2年程働くと、今度は昔から憧れていたアメリカで働いてみたいという気持ちが強くなり、留学を考えるようになっていきました。

そんな矢先、母から一本の電話が入りました。
それは、同時期に母と祖母に癌が発覚したという話でした。

両親は比較的遅い年齢で私を生んだため、決して若くはなく身体の不調が出てもおかしくない年齢だったものの、突然の知らせで私はショックを受けました。
そして、母たち家族は病気の療養と祖母の面倒を見るため実家の熊本に引っ越して暮らすことを決めていて、
東京で働いている私は母から「どうしたいかは自分で選んで良い」と言われました。

数日間悩んだ末、私が出した答えは家族と熊本で一緒に暮らすことでした。
スタイリストとして仕事を続けたい気持ちや、アメリカに行きたい気持ちはもちろんありました。
しかし、今は母や祖母、家族と生活する時間を大事にしたいと思ったんです。
自分のやりたいことは、また将来追いかければいいと。

そして、2009年熊本での生活をスタートしました。

アメリカのメイソンジャーと、九州の美味しさを融合


周りを畑と山に囲まれた祖母の家での生活は、都会と比べると不便な面もあったけど、
それ以上に素敵なところばかりで逆に驚いてしまいました。
阿蘇のカルデラには牛が放し飼いされていたり、天草まで出向けば美味しい海の幸に出会えたり、熊本には誇れる観光名所が多く、
昔ながらのつくりの家々が並ぶ町並みは、都会ではなかなか出会えない素敵な景色で感動しました。

でも何よりも、九州の食べ物の美味しさに衝撃を受けたんです。
素材の味そのままでこんなに美味しいものがあるんだって。
福岡のイチゴや熊本のメロン、宮崎のマンゴー、大分の牛乳などたくさんの美味しい食材と出会い、
だんだんとこの魅力を多くの人に知ってもらいたいと考えるようになっていきました。

一方、仕事の面では、フリーペーパーや広告の撮影も行うデザインやブランディングの会社で働き始めました。
ここなら今までの経験を活かせそうだと感じたんです。
そこでは商用デザインやウェブ制作の仕事など今までにしたことがない仕事も多く、専門知識をつけながら色々と吸収させてもらいました。

また、社長の「デザインの仕事でハワイと関わりたい」という思いが実を結び、クライアントには多くのハワイの企業がいました。
そのため、入社して2年目からは私も出張でハワイに行くようになりました。
仕事なので遊べるわけではないですが、ずっと憧れていたアメリカの土地に足を着けた瞬間は言葉にならないほど嬉しかったですね。
地元のなんでもない普通のスーパーやコインランドリー、アメリカらしい町並みに道路の標識、家のデザインなど、
目にする全てが刺激的で感動しましたね。

その後も毎年何回かハワイに行くようになり、ある時「メイソンジャー」に出会いました。
これは、アメリカのお母さんたちご用達の密封性に非常に優れた瓶で、見た瞬間「アメリカっぽくてかわいい!」と思いましたね。
そして、その数年後の2014年の夏くらいに、この密封性の高いメイソンジャーを使えば、
九州の美味しい食べ物を鮮度を保ったまま日本中の人に届けることができる、と考えついたんです。

ずっと憧れていたアメリカ文化と、熊本で暮らし始めて抱いた九州の素晴らしさを伝えたいという思いが重なった瞬間でした。

九州の食べ物の魅力を伝える仕事


そして会社で企画を提案し、許可をもらって始めたのが「ジャーケーキ専門店」の通販ショップ立ち上げでした。
これは、メイソンジャーに九州の厳選素材を使った無添加スイーツが詰まった「ジャーケーキ」を販売するプロジェクトです。

ただ、メイソンジャーをアメリカから大量に輸入するための初期費用が必要だったし、どれだけの人にジャーケーキの需要があるか分からなかったので、
まずはじめにクラウドファンディングの仕組みを使ってみることにしたんです。

すると、ちょうどメイソンジャーが日本で大流行していることもあり、クラウドファンディングでは想像以上の反響がありました。
出資が集まっただけでなく、募集期間が終了した後に、
「すでに募集が終わっていて支援できなかったので、またやってほしいです」等のメッセージをもらえたこともあり、気持ち的にも後押ししてもらえました。

ジャーケーキに使用する食材には旬があるため長期間の募集が難しいといった理由もあり、
1ヶ月程度の期間での募集を行い、現在は3回目のクラウドファンディングに挑戦しています。
2015年1月には通販サイトも完成し、継続して販売する体制が整ってきました。

ファッションスタイリストになる夢、映画に携わる仕事をする夢、アメリカに行く夢。
今まで小さな夢を一つずつ叶えられてきましたが、家族やまわりの人たちが応援してくれて、
またたくさんの知識を与えてくれたお陰で夢が実現し、今日があると感じています。

今後も、このジャーケーキの販売をしていき、より多くの人に九州の食べ物の美味しさを知ってもらうことを、私の次の夢としたいと思っています。
具体的な考えはまだありませんが、日本だけでなくできればアメリカやハワイなど、
海外にも九州の素材の美味しさや魅力を伝えていけたら嬉しいです。

ファッションスタイリストとして身につけた知識も、
これからの夢の一つひとつに絡めていけたら最高だと思います。

2015.01.29

ライフストーリーをさがす
fbtw

お気に入りを利用するにはログインしてください

another life.にログイン(無料)すると、お気に入りの記事を保存して、マイページからいつでも見ることができます。

※携帯電話キャリアのアドレスの場合メールが届かない場合がございます

感想メッセージはanother life.編集部で確認いたします。掲載者の方に内容をお伝えする場合もございます。誹謗中傷や営業、勧誘、個人への問い合わせ等はお送りいたしませんのでご了承ください。また、返信をお約束するものでもございません。

共感や応援の気持ちをSNSでシェアしませんか?