私は福島県で生まれました。父は公務員で転勤が多く、岩手、山梨、埼玉と引っ越していき、大学は早稲田大学の理工学部に進学しました。

大学に入った時にカメラを買ってもらってからは、写真を撮ることが好きで、将来は写真家の様に何かを表現したいと考え、プロの写真家の面接を受けたことがありました。その時、「クライアントから仏像の写真を撮影してほしいと言われたらどうするか」、と聞かれました。私はよく考えずに、「まず撮影しに行く」と答えたら、「君には才能がないから辞めたほうが良いよ」ときっぱり評価されてしまったんです。

人の心を動かすには背景にある思想や意思が大切で、まずはその仏像を撮ることで何を表現したいのかを考え、クライアントとすり合わせる必要があると言われました。

仏像と言っても、それぞれ作られた歴史があり文化があり、またその背景もある。それらを踏まえた上で、自分はどういう解釈をしたのか、だから朝なのか夜なのか、晴れなのか雨なのか、どんな表現をしたいかが先にないといけなかったんですね。

人を感動させる、動かすということは表面的なコトだけではなく、歴史も文化もあらゆる事を考え尽くして始めてプロの仕事なんだということを学ばされた出来事でした。

そして、就職をすることにして、いくつか届いた求人の中で、「モーレツからビューティフルへ」というキャッチコピーに惹かれて、富士ゼロックスに進むことに決めたんです。ものづくりも表現の1つとして興味があったからです。