デジタル時代に、アナログで心の通う司会を。引退間際に気づいた、やるべきことへの思い。

これまで1800人以上の芸能人・著名人との共演してきたラジオパーソナリティ、番組プロデューサーという実績を持つ傍ら、現在は司会者として結婚式をはじめ、様々なイベントの司会を務める一ノ瀬さん。そんな一ノ瀬さんのこれまで、そして、司会に対する思いについて、お話をお伺いしました。

一ノ瀬 務

いちのせ つとむ|イベント司会者・ラジオパーソナリティ
株式会社トークロアに所属し、“プラチナ司会者”として、イベントの司会進行役としてオールラウンドに活動中。

オフィシャルサイト
PLATIME

インターハイ出場後にまで思い出した、放送の面白さ


私は小さい時から前に出たがる、目立ちたがり屋な子どもでした。

小学生のとき、学級の担任の先生に声をかけてもらったことがきっかけで、
その先生が顧問をしている放送クラブに入って活動するようになったんです。
休み時間にその日の気分で選曲したBGMを流したり、色んな企画を考えたりして、
マイクを通して多くの人に喜ばれる放送は、すごく面白く感じました。


なので、中学校に進学してからも放送することを続けたかったのですが、放送部がない学校で、
モテそうだという理由でテニス部に所属したんです。(笑)

運動神経はさほど良い方ではなかったのですが、部活は朝から晩まで真剣に練習に取り組み、
中学では関東大会、高校ではインターハイに出場するまで上達することができました。

テニスを通して、目的を持って努力すれば、夢は叶うものなんだだと心から感じましたね。


そんな高校生活も終わりに近づき、卒業後の進路を考えた時に、小学生のころの放送の楽しさを思い出したんです。
中学高校とテニスに打ち込みながらも、マイクに向かう楽しさを忘れることができなかったんですよね。
放送局で働くことが自分の夢だと思い、日本大学芸術学部の放送学科に進学することにしたんです。

そうして始まった大学生活は、父の友人から紹介いただいた、ラジオ番組の制作プロダクションでのアルバイトに費やしました。
そこでは、番組制作のお手伝いから編集の作業まで、全て1から教わりましたね。

そんな仕事が本当に楽しく、ますます放送の世界に引き込まれて、そのままその会社に就職することに決めました。

「つながり」を大切にしたラジオと、反応が直にくる司会業


その制作プロダクションでは、番組で話す仕事に加えて、
こういう番組がやりたいんです、と会社に掛け合い、番組制作にも携わりました。

ラジオって、テレビのように絵がない分、想像の世界なんですよね。
ただ、それが人によって感じ方が違っていて、面白いものでした。
そうして、益々仕事に夢中になり、24歳のときにはFM東京開局の第一声を務めるという大役も任せていただきました。

そんなある時、放送局の方から頼まれて、イベントの司会をすることになったんです。
それまで司会をしたことがなく、初めての試みでした。
しかし、いざやってみると、私の発する言葉を聞いているお客様の顔が見えたり、
拍手や笑いなどの反応がすぐに返ってくることが、すごく面白いなと思ったんですよね。

ちょうどテレビが急速に普及していき、番組のスポンサーが次々とテレビに移り、
ラジオの衰退をとても辛く感じるようになっていたこともあり、
自分自身のキャリアのもう一つの軸として、司会業にも関心を持つようになりました。

節目を迎えて感じた、やるべきこととは


それから、独立し、フリーでラジオの番組制作とアナウンスに加え、司会業を行うようになりました。
ラジオの方は、それまでの仕事を続ける形で行い、司会業は知人の結婚式の司会から始まり、
イベントや記念パーティーなど、司会の仕事が次々と入ってくる状態でしたね。

そんなある時、ラジオ番組のリスナーの方から、結婚式の司会をしてほしいという連絡があったんです。
私はラジオ番組で話す際、顔が見えないからこそ、人とのつながりを意識していて、
リスナーの方から送ってもらった写真を見ながら放送していたりしていたんですよね。
そんな中で、せめてどこかでつながりがあればなぁと思っていたので、
依頼を受けた時、私の想いが届いたような気がして、本当に嬉しく思いました。

途中、会社勤めも挟み、再びフリーとしてキャリアを重ねて行ったのですが、
65歳を迎えると、自然と周りの定年と合わせて引退を意識するようになりました。

ただ、そんな考えを身内に話している際、いつの間にか話題は私の司会観になり、
司会という存在を、もっと身近に感じてもらえる存在にしていきたいという思いだったり、
司会を添えることで、普段の場を更にきらめく時間にしていきたい気持ちを語っていたんです。
そして、そんな風に計らずも司会への思いを珍しく熱く語っている自分がいたことに、
仕事に対する未練があるんだな、と気づいたんですよね。

そうして、私がやるべきことはまだまだあるな、と思ったと同時に、
背中を押してくれる人の存在もあって、思いを実現させるために仕事を続けることにしたんです。

司会をもっと身近に


そんな思いから、2014年9月より『プラタイム』という名前で、企画段階から関わる司会を行うサービスを始めました。
これまでの司会は場があってそこに呼ばれるだけだったのですが、
企画段階から関わり、「こういう時に司会があったら素敵だよね」という演出の提案も含めて行っています。

司会のスクリプトはもちろん、会場のBGM等も準備をしており、
限られた素材を活かして人の魅力を伝えるという意味では、ラジオパーソナリティの経験がすごく生きていますね。

また、司会はもっと身近になっていいんじゃないかという思いから、
結婚式やパーティーなどといった公的なイベントだけではなく、
カラオケ大会や米寿祝いなどでの司会をはじめ、私的なイベントにも積極的に参加をしています。

デジタル時代の中でも心はアナログだというのが自分の信条なので、
実際に司会を務めたお客さまが喜んでいるのを見ていられるのはすごく幸せですね。

今後は、私が想像できないような場面で司会が出来たらいいなと思いますし、
そのように「喜んでくれることを喜ぶ司会者」を増やしていきたいです。

2014.12.18

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