キーホルダーひとつで、社会の見方が変わるんです。

キャリア教育の変革と普及をミッションに掲げるNPO法人JUKEにて代表を務める岡崎さん。6年働いた人材系の企業を退職し、次の一歩を踏み出す日に、これまでの歩みと、これからの展望を伺いました。

岡崎 愛子

おかざき あいこ|高校生・大学生向けキャリア教育NPO代表
高校生・大学一二年生向けのキャリア教育・「ジョブシャドウイング」を実施する、
特定非営利活動法人JUKE(ジューク)にて理事長を務める。

特定非営利活動法人JUKE(ジューク)

ふやけてしまうんじゃないかと思うくらい水の中にいた


小さい頃から、水が大好きでした。親が水泳の先生だったこともあり、遊び半分で始めたのですが、結果が出ると楽しくなってなってくるんですよね。ピアノにお花にバレエに公文と、たくさん習い事をしましたが、ずっと続けたのは水泳だけでした。

高校時代は水泳の強豪校に入学する事ができ、ふやけてしまうんじゃないかというくらいプールにいました。特に、冬は強化月間のため、毎朝5時起きで朝練に向かい、体に負荷をかける時期があるのですが、本当に水泳が好きで、辞めたいと思ったことは一度もありませんでした。朝練に向かうため、まだ暗い中、車道の真ん中を自転車で楽しく歌いながら走っていたのを覚えています。

結果的に、目標としていた、神奈川県で団体として女子総合三連覇を果たし、インターハイに出場することができました。さすがに三年目の大会前日はプレッシャーを感じましたが、ずっと追いかけていたゴールを達成し、やり切った感覚がありましたね。

そして、高校卒業と同時に、ぴたりと水泳を辞めました。目標を達成した事で区切りがついたんだと思います。

世間知らずな事にコンプレックスがあったんです


水泳にひたすら打ち込んでおり、時間の全ては水の中だったので、大学からは、水泳よりも好きなことを探そうと、色々なサークルの新歓に参加しました。

テニスサークルにオールラウンドサークル、友達が誘ってくれた機会には全て顔を出しました。でも、色々と飲み会に参加するうちに、2週間程度で「このままだと私アホになる」と思ったんですよ。同じ会話の繰り返しで発展性がないというか、雰囲気に違和感を感じていました。

そんな時に、たまたま参加したイベントで、NPOカタリバに出会いました。代表のプレゼンやイベントの雰囲気、何をとってもとにかく熱量が大きかったんです。自分自身、当時勉強を始めたばかりのコーチングを活用できるという事もあり、学生スタッフ(現:キャスト)として、運営に携わらせてもらう事に決めました。

大学の前半はカタリバの活動に全力を傾けており、その活動に集中したいという思いから、一年休学もしました。仕事に関しては甘い点も多かったんですが、初めて「圧倒的な熱量」で人を動かす事ができると実感した、とても貴重な経験でした。

カタリバを離れてからは、ベンチャー企業でアルバイトをしたり、企業のプロジェクトに携わったり、ビジネスの仕組みを知ろうと、色々挑戦していました。

高校までずっと水泳しかしてこなかったので、世間知らずな事にコンプレックスがあったんです。焦燥感と好奇心で、とにかく新しいことに関心を持つようになっていきました。

大学後半で迎えた就職活動では、過去に一番楽しいと感じた時間から考えだしました。そこで、高校の水泳や、カタリバでの経験のように、同じ目標に向かっているチームに入りたいと思い、ビジョンや、自分たちの商品を好きかどうかで会社を選んでいました。

何をしたいか明確でなかった事もあり、100社以上説明会を聞いて、基準に当てはまった5・6社の選考をうけました。

今考えると、父が経営者だった事もあり、身の回りの大人は楽しそうな人が多かった気がします。そんな影響もあり、社会に出るのが楽しみでしたね。

社会人として働くイメージ


就職活動を経て入社したのは人材系のベンチャー企業でした。

入社以来、本当に色々な経験をさせてもらいました。一日に150本以上営業電話をかける日々を3ヶ月続けた事もありましたし、新卒採用の責任者を任せていただき、次世代の会社を担う人材の採用を行いました。

入社前から新しいことがしたいと伝えていた事もあり、新規事業の立ち上げに携わることが出来たのはとても楽しかったです。

大学一二年生向けのキャリア教育を行うNPO、「JUKE(ジューク)」に出会ったのは、社会人二年目の事でした。知人の紹介で、大学生の前で話をするイベントの登壇者として誘われたのがキッカケで、団体のビジョンには親しみをもったものの、仕事の忙しさもあり、深く携わる気はありませんでした。ところが、ちょうどその後、新卒採用担当になったこと、当時の代表と直接話す機会があったことで、関心が少しずつ増していきました。

そんな折、団体のメインの活動である、「ジョブシャドウイング」という、大学生が一日、企業で職場体験をすることで、仕事について理解するプログラムの報告会に参加する機会がありました。大手企業のジョブシャドウイングに参加した女子学生が、その会社の社員のロッカーの鍵についていたキーホルダーが、自分の好きなマスコットと同じだったのを見て、「自分も社会人として働いていけるイメージが持てた」と話していたんです。それがすごく衝撃だったんですよ。

そのエピソードが、大学生のリアルだったんですよ。社会にでることが楽しみじゃない学生がいること、そんな学生の人生にとって、この経験がすごく大きなキッカケになっていることに、その時改めて気付いたんです。

水泳を辞めた時の感覚


それから、活動に深くコミットし始め、JUKE(ジューク)の代表を務める事になりました。今は、団体や活動の信頼性を高める事で、受け入れる企業を広げていく事や、地方への展開、地域社会との連携をすすめていきたいと考えています。

あらゆる人が自分の言葉でビジョンを語れる社会をつくる、というビジョンのもと、考える機会を広めていきたいですね。

日本では、1つ目標を決めてその目標を人生かけて達成する事が“正”とされ、小学校の文集に書いた職業に就けている人を讃える風潮がありますが、全員に当てはめる必要はないと思うんです。

もちろん、それは素晴らしい事だと思いますが、その瞬間全力で取り組んでいれば良いのだと思います。目標は変わって良いんです。大人だって、この変化する時代に悩んでいるのに、学生の頃から世の中全ての仕事が分かっているはずはないのですから。

個人としては、新卒入社以来、6年働いた会社を退職することに決めました。たくさんの機会に挑戦する中で、会社の向かう方向性との違和感をもったこと、携わっていた業務に区切りがついた事が退職する理由です。

すごくいい会社だったという思いが強くありますし、なんというか、今はやり切った感がすごくあるんです。水泳を辞めたときの感覚にすごく近いんですよ。

今後は、一旦JUKE(ジューク)の活動に専念しながら、どんなことをしていくか、考えようと思います。新しい世界に踏み出すのが、今はすごく楽しみです。

2014.03.25

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