「保護犬」を家族に迎えることを当たり前に!「やりたいようにしなさい」で固めた決意。

保護犬周知・殺処分犬ゼロのためのフリーペーパー事業・デザイン事業を並行して運営する木村さん。大手広告会社勤務から一転、経営者となった木村さんですが、どのような考えをもって新たな道へと踏み出したのでしょうか。お話をお伺いしました。

木村 環

きむら たまき|デザイン事業・保護犬周知ためのフリーペーパー事業運営
デザイン業(エディトリアルデザイン・ブランディングデザイン・ビジネスコンテンツ制作)と並行して、
保護犬周知・殺処分犬ゼロのためのフリーペーパー『Wan!!ピース』を発行するジャパンスタイルデザイン株式会社にて、共同代表を務める。

ジャパンスタイルデザイン株式会社

両親の仕事に影響を受けた学生時代


私は東京に生まれ育ち、教育熱心な両親の指導の元、小学校の時は勉強に励み、
父親がスキーのインストラクターだったこともあり、スポーツへの関心も強く、
小学校はテニス、中学、高校では陸上部に所属していました。

その後、高校を卒業してからは、元々起業したいと考えていたこともあり、
内部進学で同じ大学の経済学部経営学科に進学することにしました。
両親が共働きで、昔から二人が働いている姿がすごく楽しそうで、
私も将来は自分の好きな仕事をやりたいと思っていたんですよね。

「どうせ人生、同じ時間を過ごすなら、楽しい!と思う仕事をやりたい」

という思いがありましたし、
そのためには、経営を学び、自らビジネスをするのが良いのではないかと考えていました。

ただ、大学に入学してからは、体育会ラクロス部に入部したこともあり、
完全に部活メインの生活で、あまり勉強をしませんでしたね。(笑)
関東制覇を目標に、朝4時30分に起きて、6時の開門と同時に学校へ入って授業がない時は昼過ぎまで練習するという毎日を過ごしました。

そして大学3年生になり、就職活動の時期を迎えると、 自分はどんな分野で働きたいのか考えるようになったのですが、
両親が働いていたメディア業界か、叔父・叔母が働いていた建築業界のどちらかで働きたいと思ったんです。

どちらも私自身がやりたいなと思える仕事だったのですが、
建築は本腰を入れて勉強をしていなかった事、そして広告会社にご縁があった事でそちらに入社することを決めました。

「やりたい事をやりなさい」で固めた決意


実際に入社をしてからは、仕事がとても楽しかったですね。
様々な方と関わる中で、人との接し方やお金の仕組みなど、多くの事を学ぶことができました。

ところが、社会人2年目の時に、母が体調を崩してしまったんです。
父が単身赴任していたこともあり、私は母の看病のために、
母の体調が良くなるまで会社から休暇をいただくことに決めました。
それからは、母となるべく一緒にいたかったこともあり、ずっと母と過ごしていましたね。

また、少し時間ができたこともあり、自分を見つめなおす良い機会になりました。
そんな中、今の仕事は楽しいものの、いずれ、自らビジネスを作ったり、建築の勉強をしたりしたいという思いが、
社会人になっても自分の心の中にあり続けていることに気づいたんです。

そこで、なんやかんやこれまで喧嘩をしながらも、今までの人生、母の言う通りにしてきた私は、この思いを母に相談してみました。

すると、

「これからはあなたのやりたい事をやりなさい」

という意外な言葉が母から返ってきたんです。

それからは、思っているだけでは始まらないと考え、具体的な行動を考えるようになっていきました。
ただ、いつまで休むか分からない私を受け入れてくれた会社にすごく感謝していましたし、
会社のために頑張りたいという思いもありましたし、
あと3年間は会社で働き、退職しようと決意したんです。

そんな風に決めて仕事に復帰してからは、 決めていた通り、入社から5年働いたタイミングで退職し、
元々の知人が立ち上げていた会社に共同代表という形で参画することに決めました。

年間3万8千頭という衝撃


現在働いているデザイン会社の共同代表という形で経営に携わるようになってからは、
既存のデザイン事業と並行して、元々やりたいと考えていた新規事業の立案を行うようになりました。

その際にたまたま知人から、 保護犬・殺処分犬についてお話を伺う機会があったんです。
「保護犬」という言葉は知りながら、実際どういう犬であるかや、
「保護犬」を取り巻く実態など詳しいことは全く知らなかった私ですが、
話を聞いてみると、年間に犬だけで約3万8000頭も殺処分をされているという事実に衝撃を受けました。

私も犬を「家族」の一員として飼っている身として、この「可愛い」「幸せ」な犬が沢山いる反面、
人の身勝手な理由で捨てられて、そしてそんな犬が沢山いるという事実をみんなに知られないまま、殺されていくという現状を、
どうにかして知ってもらわなければと思ったんです。

殺処分自体もそうですし、里親譲渡会等、それを防ぐための手段を「親しみやすく」「分かりやすい」形で世の中に発信することで、
多くの殺処分犬を助けることができるのではないかと思ったんですよね。

実際「保護犬」の事を詳しく知らない人は日本の全人口の80%以上いて、
その人達にこの情報をどのようにして知ってもらおうか考える中で、
検索しないと出てこないネットではなく、手軽に尚且つ元々デザイン会社だという強みを使って、フリーペーパーを作成することにしたんです。
名前は『Wan!!ピース』、その創刊の資金集めと周知のために、クラウドファンディングも行いました。

2つのやりたいことを融合していきたい


実際にクラウドファンディングを行ってみると、
反響がすごく大きく、 認めてもらえたような感覚があり、すごく嬉しかったですね。

そうやっていただいた支援をもとに作成したフリーペーパーは、
犬関連の施設だけでなく、全く犬とは関係のないお店等に置いてもらい、
なるべく親しみやすく手に取れるよう工夫しています。
「保護犬」の事を詳しく知らない方も大きな対象にさせてもらってますからね。

また、今後は『Wan!!ピース』を継続的に発行することで殺処分犬の問題を周知していき、
保護犬を家族に迎え入れることが当たり前の世の中になる事を目標にしています。

そのためにも、イベントの開催等、フリーペーパー以外の発信手段も広げていこうと思っていますし、
自治体や保健所、保護団体など、もっといろんな人を巻き込んでいこうと思っています。
4月からはある大学でも講義させていただく予定です。

また、個人的には今の会社と並行して、建築士の資格を取るための学校にも通っています。
まだまだ、建築に関しては勉強中という段階ですが、ずっとやりたいと思っていたことなので、
2年間学校に通った後は、建築士として働くことも考えています。

ただ、今の『Wan!!ピース』の取り組みは続けていきたいと思っているので、
例えば、自分の作ったお店などのスペースで保護犬に関する座談会や譲渡会を企画したり、
いずれは、2つのやりたいことを融合していけたら良いなと思っています。

これからも、自分が好きな仕事をしたいですし、自らその仕組みを作っていきたいですね。

2014.12.09

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