仕事を通じて自信を持つ機会をつくりだしたい

現在、EC関連のシステム開発やコンサルティングを行うスタートアップを友人二人と創業し、 エンジニアとして働く田中さん。小さい頃から、自分にずっと自信が持てなかったそうです。 そんな田中さんが自信を手にしたきっかけは、何だったのでしょうか?お話を伺いました。

田中 稔之

たなか としゆき|Webエンジニア
株式会社Tapitの共同創業者。
現在、EC関連のシステム開発やコンサルティングを行っている。

株式会社 Tapit

自分が性同一性障害だと気づいた


小さい頃から、自分が男であることに違和感があって、「男らしくなろう」と空手をやってみたり、
いま思い返せばずいぶんと悩んでいました。

大学生になって、仲良くしていた後輩の男の子が、なぜかとても気になって、
そんな自分に悩み、落ち込んでいた時期があったんです。

様子を見かねた友人から、精神科の受診を勧められました。
そこでは「性同一性障害の疑いがある」と診断されました。

性同一性障害とは、心の性別と身体の性別が一致しない病気で、
この時、はじめてその病名を耳にしたのでのですが、「なるほどー」という感じでした。
小さいころから感じていた違和感の正体がわかり、ほっとしたというのが正直な気持ちでした。

多くの方は、「女かもしれない」「男かもしれない」と自身の性別を疑うことはないと思いますが、
私はずっと、自分の身体がもつ性別に強烈な違和感を感じ続けていました。
精神的に辛く苦しい時もたくさんありました。

そんなバックグラウンドもあってか、
漠然と自分に自信を持てず、人間関係に関しても、怖がりで臆病な性格でした。

自分をありのままに受け止めてくれる場所はあるのか


日本ではまだまだ、性同一性障害を含むマイノリティを受け入れるカルチャーが成熟していないと感じます。
そのため、新卒で入社した会社では、性同一性障害のことは伏せて働いていました。

話せば、理解してくれたと思いますが、なんとなく、色眼鏡で見られるのが怖かったんです。
でも自分の素を出せず、息苦しさは感じていたと思います。

そんな中、大学生の頃に4年間働いていたベンチャー企業のことをふと思い出しました。
裁量も大きく、やった仕事に対するリアクションもダイレクトに見えました。
そして、自分のありのままを受け入れてくれて、みんなで同じ方向を向いて頑張っていたんです。

もう一度、あのときの楽しさを味わいたいと思い立ち、同期の一人と起業を決意しましたが、
「なんとなく自分たちには足りない部分がある」と感じていました。
そんなタイミングで、偶然出会ったのがもう一人の創業メンバーでした。

彼は未来に対してとてもポジティブで、リーダーシップがあり、また人間的にも非常に明るい人でした。
すぐに「この人だ!」と思いました。

人間関係に関してネガティブで、自身のバックグラウンドからしても非常に慎重な性格だった私が、
知り合って数ヶ月の友人を巻き込んで起業することに、周りからも驚かれましたが、なぜかそのときの私は積極的でした。

「裏切られるかもしれないし、うまくいかなくなるかもしれない。でも、そうなってしまっても後悔はしない。」

そう直感的に思い、三人で起業を決意しました。

自分なりの働き方を見つけた


いまの職場環境はとても快適です。

仲間は私のことを女性として扱ってくれていますし、男性として振る舞う必要もないため、
毎日のストレスが大幅に軽減し、のびのびと働けています。

自分のやった仕事のインパクトも直接見え、
自分の価値が認められているような気がしていて、自信もついてきました。

改めて感じることは、「自分の仕事に自信を持つことの重要性」です。

もちろん、人生は仕事だけではありませんが、どうせ働くなら、楽しいほうがいいし、
胸を張って自分の仕事について語れるほうが、未来に対する期待感がぐっと増すのではないでしょうか?

特に、私のように障害を抱える人、または家庭環境や経済的困難を抱える人にとって、
自分の仕事に自信を持つことは、一人間としての自信獲得にもつながることだと感じています。

私は幸い、社会で活かせる自分の能力と、それをのびのびと活かせる場所を見つけることができました。
同じように、自分の会社を通じて、そんな発見をしてくれる人が出てきてくれればいいなというのが、個人的な目標です。

大変なこともたくさんありますが、自分のできることをコツコツやっていきたいですね。

2014.03.24

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