コミュニティに出会い、救われました。「居場所」が繋がり生み出すイノベーション。

様々なコミュニティに関わる人が集まり、共感・共演・共創の空間を作るイベントを運営する杉本さん。自らを「社会に受け入れられない存在なんじゃないか?」と考えた幼少期を経て、「コミュニティ」に価値を見いだした背景には、どのような背景があったのでしょうか?

杉本 篤彦

すぎもと あつひこ|コミュニティの共感・共演・共創空間運営
様々なコミュニティに関わっている人が 一同に集まり、
「共感」「共演」「共創」空間を生みだすイベントを主催する『COMx』の事務局長を務める。

社会から受け入れられない存在なんじゃないか?


神奈川県横浜市に生まれ、教育熱心な親のもとに育ち、
特に母の教育への考えから、感性を大切にするシュタイナー幼稚園に入りました。

ところが、小学校に入ってみると、周りと自分の行動が違うことに気づいたんです。
マイペース過ぎて期限を守れなかったり、遅刻をしたり、
ルールに対し疑問を持ち、自分で考えてみたいようなタイプでもありました。

そんな風に、「周りと同じように楽しむ」ということが苦手だったため、
変わり者扱いされて喧嘩をしたり、受け入れられずモヤモヤしたりしていましたね。
そして、合わせるのが苦手だからこそ、自分から主導権を握ろうとするようなコミュニケーションも増えていきました。

また、親の転勤が多かったこともあり、転校を繰り返していたのですが、
そういった性格で環境に適応するのが早いが故に、小学5年生で広島に転校した際に、
「転校生のくせに生意気だ」といじめをうけるようになってしまったんです。
転校先で学級代表を務めたり、クラス全員を家に呼んだりという行動が目立っていたことが原因でした。

そんな反応を受けても、最初の方は対等に揉めていたのですが、
次第に、「自分が悪いのかな?」と悩むようになり、いつしか、

「自分は社会から受け入れられない存在なんじゃないか」

と思うようになってしまったんです。
小学6年生のことでした。

それからは自分に自信をなくしてしまい、人と関わりたくないという気持ちから、
中学に入っても不登校になり、フリースクールに通っていました。

それでも、根本的には自分を信じていましたね。
大河ドラマで武士に憧れて以来、歴史を好きになり伝記等を好んで読んでいたのですが、
歴史上で成功するような人物の、逆境から自分を磨いていくスタンスを学んだんです。

そんな歴史上の人物との対話で救いを感じたからこそ、
自分も同じように、この社会の仕組みのために悩む人を救いたいと思うようになり、
初めて社会に対して関心を持つようになりました。

自分が弱いからこそ、人の痛みもわかる気がしたんですよね。

自分と家族を救ってくれた「コミュニティ」


ただ、中学2年生になると、そろそろ行かなきゃという気持ちもあり、
思ったよりもすんなり学校に通い始め、
高校に入ってからは一番関心が強かった歴史に没頭していきました。

書籍を読んだり、京都に一人旅をする中で、
自分も歴史上の人物と同じように、仲間を募って何か起こしていく側に回りたい、
という漠然とした気持ちを強めていきましたね。

その後、大学では政治の勉強をしたいと考え、明治大学の政治経済学部に進学しました。
また、より政治の世界を深く見るため、総理大臣も輩出した部活である雄弁部に所属し、
政治家の鞄持ちや選挙の手伝い等も行うようになりました。
大学3年の時には代表も務め、体育会気質の組織にフルコミットしていましたね。

ところが、大学生活は決して充実した側面だけでなく、
父親が難病を患ったことで、明るくなりきれない心境もありました。
親の面倒をずっと見ながら、どうやって生きていくんだろう?という不安があったんですよね。

そんな折、たまたまその病気の「家族の会」のコミュニティに出会い、
その会に参加してみることにしたんです。

すると、会に参加し交流をする中で、家族の心に余裕が生まれるようになったんです。
自分自身、正直家族から逃げていた時期もあったのですが、
同じような状況の人たちが集まるそのコミュニティに出会い、なんだか救われたような気がしたんですよね。

同時に、こういうコミュニティって絶対必要だな、と強く感じ、
コミュニティが無いと世の中がまずいんじゃないかとすら思うようになりました。

どうしたら世の中を変えられるか、探求の日々


その後、大学では雄弁部の代表を終えると、地元の政治家さんの選挙ボランティアのリーダーを務める機会もいただき、
選挙のトップ当選に立ち会う経験をさせていただいたのですが、
周りの皆とがんばって勝ち取った達成感と同時に、
実際に世の中が変わったことを実感できないギャップも感じていました。

その経験をしてからは、世の中をよくする手法として仕組み自体を作りなおす必要があるんじゃないかと悩み始め、
漠然とですが、今は自分が政治がしたい訳じゃなく、
異なるアプローチで世の中に関わりたいのではないかと考えるようになったんです。

そんな思いから就職活動をはじめ、自分の好きな「人と人をつなげる」ことを仕事にしたいと思い、
大手人材サービス系の企業に就職することを決めました。

就職活動を終えて卒業までの期間は、「今、世界はどうなっているのか。」この目で見てみたいという思いから世界一周を思い立ち、
理解ある家族、教授、仲間の支えもあり、自分と世界とのつながりを深く考える機会を得ました。
これもひとえに、支えてくれるコミュニティがあったからこそ成し遂げられたことでした。

その後、社会人になってからは、自分の至らなさを学びながら、
本当に自分がやりたいことは何かを真剣に考えながら送る日々でしたね。
営業職として入社し、仕事にほとんどの時間を割いていました。

ところが、その後バックオフィス系の部署に異動になってからは、
仕事の仕方も変わり、自分の時間も作りやすくなったことで、少しずつ状況が変わっていきました。

学生時代から始めていた読書会や、新しく始めた経営者の方との読書会、
旅好きの異業種交流会など、関心をもっていたコミュニティの活動にも力を注げるようになっていったんです。

コミュニティで社会を良くしたい


そんな風に生活が変わったある時、一緒に読書会を運営していた経営者の方から、

「君は人をつなげたり集めたりすることが上手いから、コミュニティ活動をやってみたらいいじゃん」

と言っていただき、人を紹介してもらったんです。
そこで、せっかくの機会だと思い、コミュニティをテーマにした場所作りを行おうと思ったのですが、
良いコミュニティが集まる場所ってどんな所なんだろう、というイメージが湧かなかったこともあり、
まずはコミュニティが集まるイベントを開いてみて、
それを活性化するための検証・実験をしようと考えるようになったんです。

そんな背景から、『COMx』という名前で、
様々なコミュニティに関わっている人が 一同に集まり交流することで、
「共感」「共演」「共創」空間を生みだし、
社会にイノベーションを起こすためのイベントを始めました。

活動の根幹にあるのは、世の中のコミュニティ活動を活性化させ、
社会をよりイノベーティブに、そしてハッピーにしたいという思いであり、
自らの小学生時代や親の病気の話のように、
既存の枠組みでは包摂できない困っている人、より自分らしく生きたい人への受け皿を広げたいと考えています。

自分自身、コミュニティという居場所を持てたことで救われた経験があるからこそ、
既存の括りに囚われないで、様々なコミュニティ活動をやっている人、
コミュニティ活動に関わりたい人をみんなで応援する場を作ろうと思っています。

これからは技術革新により、より個人の影響力が大きくなっていくからこそ、
そんな個人が仲間をみつけて、自分に合ったコミュニティと複数接続していく時代なんじゃないかと思うんです。

そんな時代の流れを加速させていきたいと思い、10月末に会社を辞め、
世の中のコミュニティ活動を活性化させる場作りに自分の20代を捧げようと決心しました。
まだまだ実力なんて何もないですが、場作りを通して、
「多様性を包摂できる社会のしくみをつくって誰もが笑って暮らせる世の中にしたい。」
という自分の気持ちを少しずつ体現していきたいと思っています。

2014.11.01

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