人の生活に寄り添うような仕組みを!「デジタル×教育」で見つけた、人生のテーマ。

日本を代表する教育事業を営む企業に勤め、デジタル×教育のサービス開発を行う傍ら、ゲーミフィケーションの研究も行っている古野さん。個人や会社で様々なサービス開発に関わっていく中で見つけたご自身の生きるテーマと、その背景についてお話を伺いました。

古野 了大

ふるの りょうだい|デジタル×教育サービスの開発、ゲーミフィケーションの研究
株式会社ベネッセコーポレーションにて、デジタル領域の教育サービスの開発に携わりながら、
ゲーミフィケーションの研究にも力を注いでいる。
また、プライベートで様々なWebサービスの開発や、企業で働くイントラプレナーが集う勉強会「新宿360°大学」の運営にも携わる。

株式会社ベネッセコーポーレーション
 

デジタルオタクだった少年時代


僕は、子供の頃からいわゆるデジタルオタクでした。

福岡で生まれ育ち、小学生の時は特にクラスメートくらいの範囲が自分の世界のほとんどだった中、
世界中の見ず知らずの人と繋がれることが、とても刺激的だったんです。

そんな理由で、小学校高学年の頃から、どんどんパソコンやインターネットにのめり込んできましたね。

また、中学校では3年間バレーボール部に所属し、比較的熱心に部活動に打ち込んでいましたが、
これと言って、将来の夢などはありませんでした。

その後、進学した高校は、入学する段階で文系か理系のクラスを選択する学校で、
デジタル領域に興味があり、理系の科目が好きだったため、理系のクラスを選択しました。

そのクラスでは、やっぱり自分と同じようにデジタル好きの仲間がいたので、
常時インターネットにつながる環境を手に入れるために、入学してすぐにパソコン部を作り、
部活という体で、毎日好きなことを好きなようにやっていましたね。

そんな中で高校生活を送っていたので、卒業後は、高校のクラスと同様に、
大学の理系の学部に進学するつもりでした。

また、高校で本格的に理系の勉強をしていくうちに、
インターネット・パソコンなどのデジタルの領域だけでなく、ロボットに関する分野にも興味を抱き、
大学は両方の勉強もできる所に行きたいと考え、最終的に神戸大学の工学部に入学することにしました。

デジタル技術で社会に良い影響を


大学に入学してからは、中学生の頃にやっていたバレーボールのサークルに所属し、
積極的にイベントや練習に参加したり、そのサークルの友人とルームシェアをしたりしました。

一方、授業では、プログラミングやロボットについての勉強など、
自分が興味を持ったものについて様々な勉強をしました。

ところが、入学前に自分が憧れていたロボットを作るためには、
幅広い技術が必要で、複雑な物理を扱うハードウェアの分野は自分の志向とは違ったんです。

そこで、より様々な分野の研究が横断的に絡んでいる、人工知能などの基となる、
認識工学に興味を抱き、音声認識の研究をする研究室に入ることにしました。

やはり研究が始まると、それまでに比べて忙しくなりましたが、
夜中まで研究室に残って、皆で遅くまで研究をすることは面白かったですね。

その後、少しずつ卒業後の進路について考えるようになっていったのですが、
大学でプログラミングの勉強などをやってみて、周りの圧倒的な技術を持った人の力を見て、
自分が技術者になり、その人たちと戦っていくことの大変さを感じていました。

また、僕自身がやりたいのは、技術そのものを身に着けることではなく、
技術を使って、社会に良い影響を与える仕組み作りをすることだと気付いたんです。

そこで、理系では比較的一般的な、大学院に進学して専門性を高めるという道ではなく、
なるべく早い段階で就職をしようと思い、学部の時に就職活動を始めることにしました。

チャンスを待つ


会社を受ける際、自分のやりたいことを実現するためには、
デジタル技術を生かせそうな領域で、なおかつ、BtoC向けのビジネスを行っている企業であることが重要だと思い、
最初の段階でかなり的を絞って会社を受けることにしたんです。

そして、縁あって最初に内定をいただくことができたベネッセ―コーポレーションに就職し、
入社してからは、研修を受け、1年目は模試の編集の仕事を担当することになりました。

正直、自分が関わりたいデジタル事業とは異なるものでしたが、
大手の企業で、新卒がいきなりやりたいことを任せてもらえるとは考えていなかったですし、
そう遠くないいつか、必ずチャンスがやってくるという確信もあったので、
不満などは一切ありませんでした。

その代わり、プライベートの時間を使って自分のやりたいことに挑戦しようと思い。
自分でいくつかwebサービスを作っていました。

僕自身もサービスの創り手になってみたいと思っていましたし、
世の中のクリエイターの人が報われないということや、
「感謝」や「愛」などの人の温もりを、デジタルを通して伝えたいことなど、
取り組みたいと思っていた課題がたくさんあったんですよ。

そうやって実際に自分でサービスを作ってみたことで、企画や開発の段階からPRまで、
全ての行程を体験することができたのは、ものすごく勉強になりましたし、
企業でやるべきか個人でやるべきかは、領域や規模など、その事業ごとに異なる、
ということも身をもって感じることができましたね。

その後、僕が確信していた通り、入社2年目の時に新たにデジタルの事業の開発チームができることになり、
率先して手を挙げて、かねてからやりたかった事業に関わらせてもらえることになりました。

ゲーミフィケーションの可能性


その後は、会社の基幹事業である「教育」と「デジタル」という領域で、
様々なサービスの開発を経験しました。

そんな中で、ある時Eラーニングのサービス開発に関わる機会があったのですが、
現実的な問題として、ユーザーの子どもたちが、学習の効果を実感する前に飽きてしまい、
サービスを使うことを辞めてしまう、という課題がありました。

続ければ必ず効果が出るようなサービスを作っている自信があったからこそ、それが悔しくて、

「どうすればユーザーに前向きにサービスを使ってもらえるのだろう?」

と考える中で思いついたのが、
子どもたちみんなが好きな、ゲームを散りばめることでした。

そこで、まずはサービスを使ってもらうキッカケを作るために、
Eラーニングサービスの中にミニゲームを沢山設置してみることにしました。

しかしそうすると、最初は面白がってもらえるのですが、
次第に子どもたちは段々そのミニゲームにすら飽きてしまうんです。

人が勉強をする際には、何か勉強以外のインセンティブがあるからするような「外発的動機」と、
学力が向上することが楽しくて勉強する「内発的動機」というものがあるのですが、
ミニゲームを設置する施策は、あくまでも「外発的動機」の誘発しか生み出せず、
それでは結局長続きしないんですよね。

そこで、もっと「内発的動機」を生み出すための方法を考えようと思い、
キッカケを探している中で目を付けたのが、ちょうど流行り始めていたソーシャルゲームでした。

学習という行動は、なかなかレベルアップが可視化されにくく、成長を実感しにくい領域で、
自分の学力が伸びていることが実感できる前に、
勉強を辞めてしまうということが本当によくあります。

だからこそ、もっと成長を実感できる段階を細かく設定してあげるべきだと気づき
そのためには、一問問題を解くことによってキャラクターがレベルアップしていったり、
褒めたり、アドバイスをしたり、というようなソーシャルゲームの様な仕組みが有効だと思ったんです。

そういった「ゲーミフィケーション」と呼ばれる仕組みを、Eラーニングの中に組み込んでみると、
今までに比べてより多くの方に、継続的にサービスを使ってもらえるようになっていきました。

結果として、見る見るうちに学力を伸ばしていく子供たちの様子を目の当たりにした時は、
これまで救うことができなかった人たちを、ようやく救えたような気がして、とても嬉しかったですね。

そして、このケーズで効果が実証された「ゲーミフィケーション」という仕組みを、
今回の単発で終わらせてしまうのはもったいないと感じ、
しっかりとしたメソッドにしていきたいと考えるようになったんです。

人の生活を豊かにし、自分も成長していきたい


そこで、実際に色々な場で活用できるような再現性のあるものにするべく、
元々関わっていたデジタル×教育サービス開発に加えて、
ゲーミフィケーションの研究を始めることにしました。

会社やサービスによって、それぞれ重要とされるポイントや追うべき数値や目標は変わりますが、
学習サービスでは

「どれだけサービスを使ってもらい、どれだけユーザーの学力を伸ばすことができたか」

ということが非常に重要です。
なので、時にはユーザーの行動を分析したり、時には心理学的な勉強などをしたりしながら、
そのようなより良いサービスを作るために、日々研究に励んでいます。

人の内面に関わることの研究なので、難しい部分もたくさんありますが、
考えれば考えるほど奥が深く、非常にやりがいを感じながら活動していますね。

もちろん、そういった現在の活動もしっかりと行っていきますが、僕自身は

「人の生活をより豊かにする仕組みづくりをする」

ことを目指していきたいと考えています。

今まで、自分で作ったwebサービスや会社の事業を通じて、何よりも喜びが大きかったのは、
それらを使ってもらったことで、人が成長してより良い方向に変化していく様子を見ることでした。

その中で、人の生活に寄り添うことをしていきたいと感じるようになったんですよね。

会社の事業の関係もあり「教育・学習」という領域に一番力を注いでいますが、
人が成長をするキッカケには、人と人との出会いや、コミュニケーションなど、
様々要素があると思うんです。

なので、これから先は一つの分野にはこだわらずに、人の生活をより豊かにして、
一生学びながら成長していける方を増やしていきながら、
その活動を通じて自分自身も一緒に成長を続けていきたいですね。

2014.10.26

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