アジア発のグローバル企業を目指す!ITを通して豊かな人との関係を。

韓国に拠点を構え、カップル専用アプリ『Between』を提供するVCNCにて、ジェネラルマネージャーを務める梶谷さん。現在に至るまでに、中学生のころのアメリカでの生活、ベンチャーキャピタルとして働かれていた過去がありました。「アジア発のグローバル企業を目指しているんです」という言葉の裏にはどのようなエピソードがあったのでしょうか。

梶谷 恵翼

かじたに けいすけ|カップル専用アプリ運営
カップル専用アプリ『Between』を運営する株式会社VCNCのジェネラルマネージャー。

カップル専用アプリBetween(ビトウィーン)

世界中の人と仕事することに対する憧れ


私は、広島県倉橋島で生まれ、小学6年生まで東京の町田で育ちました。

反抗期がわりと早く、授業中はひたすらノートに絵を描いてるような小学生でした。(笑)
そんな学生生活を過ごしていた折、小学校を卒業する直前に、父の仕事の都合で翌年からアメリカに渡ることになったんです。
向こうに行けば、自分も憧れのパックンマックンのようにバイリンガルになれるんじゃないか、なんて考えていましたね。

その後、中学校進学と同時にアメリカへ渡り、
平日は現地の中学校に通って生物などアメリカの中学生と一緒に学ぶ生活を送りました。
ただ、Oneをオネと読んでしまうほど英語が全くできなかったんです。(笑)

会話にでさえついていくことができず、周りの子たちからは馬鹿にされていました。

精神的にはストレスを感じていなかったのですが、
学校に行く前にお腹が痛くなったりと身体が拒否反応を起こすようになったんですよ。
なんで自分は英語ができないんだろう、とばかり考えていましたね。

そんなアメリカの生活では、父の姿が印象的でした。

平日はアメリカに会社の支社立ち上げの仕事をし、週末はホームパーティーをしていたんです。
英語が上手く話せなくても、楽しく現地の人たちとコミュニケーションをしている父の姿を見て、
自分も世界中の人と仕事をするのって楽しそうだなぁと考えていました。

また、サッカーのクラブチームに所属していたのですが、
体格の良い子ばかりの中で私は圧倒的に小さくて、「リトル忍者」と呼ばれていました。
ただ、プレーをしていくうちに打ち解け合い、言葉がなくても通じ合える感覚が嬉しかったですね。

マネタイズとビジョンという両輪


そんなアメリカ生活も束の間、急遽高校2年生のときに日本へ帰国することが決まり、
帰国後は編入が可能だった国際基督教大学高等学校に通い始めました。

そこでもサッカー部に所属したのですが、部活より塾が中心の生活を送っていましたね。
本気で勉強したことがなかったので、塾に通うことが新鮮で、
1日12時間くらい勉強した帰りに、仲間とうどんを食べるという生活を楽しんでいました。

その後、大学受験の時期を迎えると、父の影響もあってビジネスに対して関心を抱き、
商学部を目指すことにしました。
経営ってなんだろう、マーケティングってかっこいい響きだなぁ、と漠然と考えていたんです。
それから目標としていた慶應大学の商学部に合格し、進学することになりました。

大学入学後はモテると思ってジャズバンドに入ったのですが、全然モテなかったので
もっと色んなことをやってみようと国際人権団体のNGOでインターンを始めるようになりました。
そしたらもっとモテなくなりましたね。(笑)

そのインターンでは、各国のNGOの活動報告などのレポートの翻訳をしたり、
団体の活動資金となる寄付金を企業から募ったりもしました。

ただ、活動自体はすごく素敵なのに、収入源とか仕組みがないために
自分たちのミッションが達成できないことに歯がゆさを感じました。
私自身、社会貢献性のある活動が好きなのですが、
ビジョンを達成するにはある程度の資金が必要だということを痛感したんですよね。

そんな背景から、マネタイズとビジョンという両輪があるベンチャー企業に関心を持つようになっていきました。

ベンチャーキャピタルとの出会い


そうしてNGOで1年間ほどインターンをし終えた時期に、就職活動が始まりました。

そして、コンサルタントを目指しているアルバイト先の先輩からベンチャーキャピタルという言葉を聞き、
なんとなく検索して一番上にあった会社を受けに行くことにしたんです。

そうしたら、そこの選考がすごく面白かったんですよね。

就職活動を通じて色んな社長に会う機会があったのですが、
会う人会う人、ビジョンに対する熱意がすごく、
多くの時間を費やす仕事をお金のためにするのはもったいないという考え方をする人ばかりでした。
そういう方々と触れていることで、自分の人生がポジティブになっているなぁと感じたんです。
そんな方々を投資を通して支援することができるベンチャーキャピタルに惹かれていきました。

ただ、「新卒でベンチャーキャピタルに入るのはどうなんですか?」とOBの方に聞きまわったところ、
3、40人ほぼ全員が「経営者の経験がないのに企業が成功するのかなんてジャッジできない」という風に、
口を揃えて辞めた方が良いと言われてしまったんです。

しかし、そんな意見をいただきながらも、
やってみないとわからない精神から、ベンチャーキャピタルに就職することに決めました。

投資する側から、起業する側へ


それからは、自分の進路となる業界についてあまりにも知識がなかったので、
既にベンチャーキャピタルで働かれている方に内定後に弟子入りし、基礎を学ばせていただくことにしました。

ただ、弟子入りしたのはいいものの、全然僕が仕事できなかったんですよね(笑)
そしてある時、ゼミで韓国へ行くことを師匠に伝えたところ、
韓国から優秀なベンチャーを連れてこいという無茶ぶりをいただくことになりました。

実際は現地大学との交換留学という名目での韓国行きで、ほとんど飲み会だったのですが、
その飲み会の時間を割いて色んな人にお会いして韓国の会社を紹介してもらい、
多くの韓国の社長たちとお会いする機会を得ることができました。

そこで実際に色んな方々とお会いしてみたのですが、彼らのハングリー精神に本当に驚かされました。
みなさん英語を話せるし、自分のビジネスを韓国だけで留まらせることなく世界に目を向けていたんですよね。

その高い志に圧倒され、「このメンタリティは日本の起業家も絶対持つべきだ」と思い、
帰国後、韓国と日本のスタートアップ交流会を開くことに決めました。

そしてその会で、『Between』というカップル向けのアプリを運営しているVCNCという会社と出会ったのですが、
ちょうど、大学卒業前に彼女が出来たことをきっかけに、そのアプリを使い始めることにしたんです。

正直、自分の中で新しいアプリは1回ダウンロードしても、
使わなくなってすぐに消してしまうものだったのですが、そのアプリは消すことがなかったんです。

なんだか、他の新しいアプリとは違うなぁと感じましたね。
 
また、偶然、卒業前にシリコンバレーに行った際にVCNCのメンバーと会い、アプリの感想を伝えたんです。
それからお互い連絡を取り合ったり、会ったりもするようになったのですが、
会う度に彼らのチーム力や一人一人の熱意に驚かされ、会社の成長も目に見えるほど感じるようになりました。

加えて、そうしているうちに、彼らから一緒に働こうと声を掛けられるようになったんです。
ただ、彼らと一緒に働いてみたいという気持ちは高まりつつも、
ベンチャーキャピタルで働き始めたばかりで、なかなか踏ん切りはつきませんでした。

そんな時、迷っている私をみて、お世話になっている方が韓国へスタートアップツアーに連れて行ってくれたんです。
そして、色んな企業を見回った後の飲みの場で、
「起業家とベンチャーキャピタルで鍛えられる筋肉は全然違うぞ」と言ってくださり、
今決断すればもっと自分を鍛えられるんじゃないかと考えた結果、
VCNCに加わることに決めました。

アジア発、グローバル企業として


それから、入社した直後から、日本に進出するために何十社分というような、ノウハウを勉強する期間をいただき、
3ヶ月程、トレーニング期間という名のチームビルディングのための飲み会が行われました。(笑)

現在は、同社のジェネラルマネージャーとして経営、採用、事業提携など全般の業務を行っています。

実際に働くようになってから、ユーザーの方からアプリを通して結婚、出産をしたというお知らせをいただいたことがありました。
数字にしか出なかった結果が、ユーザーからの声として報告をいただけたときはとても嬉しかったですね。

私は、何かくじけそうになったときは
EvernoteのCEOであるフィル・リービンが講演会で発した言葉をいつも思い出しています。
それは、「自身が起業をするのは、世界を変えることが仕事だからだ」という発言なのですが、
私自身もBetweenというサービスで世界を変えたいと考えているんですよね。

そして、今後も「大切な人との関係をITで豊かにする」というビジョンを実現させるために、
付き合ったらBetween、というのが当たり前になるよう世界に広めていきたいです。

2014.10.17

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