「やりきった!」と思って終われる人生を。平々凡々、大企業勤めだった私が起業した理由。

一般消費者のブログによって商品・サービスのプロモーションを行う『レビューブログ』というサービスを中心に、あらゆるマーケティング関連サービスを展開し、「世の中により大きな影響を与える」ということを追及されている福島さん。大学院を修了後に大企業に就職し、非常に満足した環境で働く中、「起業」を志した背景には、一体どのようなキッカケがあったのでしょうか?

福島 範幸

ふくしま のりゆき|クチコミプロモーションサービスの運営を行う起業家
日本最大級のブログプロモーション『レビューブログ』など、様々なマーケティングサービスを提供している株式会社アイズの代表取締役を務める。

株式会社アイズ
レビューブログ

平々凡々な学生時代


私は学生時代、目指したいものが全くありませんでした。

小学生の時に親に買ってもらったパソコンに興味を持ち、それをいじって遊ぶことが好きでしたが、
特に将来の夢や目標はなく、本当に平々凡々な学生時代を過ごしていましたね。

その後、中学・高校はそのまま地元の学校に進み、大学は地元の三重県からほど近い、
愛知の工業大学に入学し、情報通信工学科という学科で、
プログラミングなどの技術系の勉強をしていました。

大学に入って初めてインターネットというものに触れたのですが、
それまでやっていたパソコン通信とは違い、世界中のネットワークが繋がる、
ということには非常に衝撃を受けた気がします。

しかし、大学でも具体的なやりたいことは見つからず、
就活の際にセミナーなどに参加してみても、あまりピンと来るモノには出会えませんでした。

ただ、漠然と就職するなら大企業に行きたいと思っており、
理系職で大企業に入るためには大学院に行くのが一般的だったため、
卒業後は、石川県にある北陸先端科学技術大学院大学に進みました。

そこは、日本で初めての独立大学院だったのですが、ネットワークが整備されており、
寮にもLANが引かれていることが魅力的だったんです。

ただ、入るのはあまり難しくなかったのですが、進級や卒業するためのハードルが高く、
周りに何もない山奥の中に、ポツンとラピュタのように存在していたので(笑)
毎日ガッツリ勉強や研究に明け暮れていました。

そんな忙しい環境だったので、就職活動はほとんどしていなかったのですが、
学部時代から画像処理についての研究をしていたこともあり、教授に推薦をしていただき、
大学院を修了後は、念願だった大企業である、大日本印刷に入社することになりました。

人生これでいいのか


入社後は、印刷から離れたIT部門に所属し、
商品をデータベース化して、 より簡単にカタログを作るためのシステムを担当するデータベースの部署で、
システムを実際に現場に導入する仕事を担当していました。

仕事もかなり自由に沢山のことに挑戦させていただきましたが、
何よりも、保養所がありしっかり教育をしていただいたり、社内に病院があったりと、
想像よりもはるかに充実した福利厚生にはとても驚きました。

私はちょうど虫歯があったので、治療の際は社内の病院に大変お世話になりましたね。(笑)

その様に、仕事の内容、そして環境も素晴らしかったので、しばらくは

「なんていい会社に入ることができたんだ!」

と非常に満足しながら働いていました。

ところが、仕事をしているうちに、ここで働き続けても、
どこかの部署の課長や部長になり、人生が終わっていくという、
将来の姿が想像できてしまうことに、違和感を覚えるようになっていきました。

また、その頃はITバブルと呼ばれる時期で、自分とそんなに歳が変わらない、
サイバーエージェントの藤田さんや、楽天の三木谷さんが起業家として活躍をしており、
彼らと自分を比べてみたときに、凄いなと憧れる反面、

「俺の人生、これでいいのか?」

と、現状に満足して大きな挑戦をしていない、自分の人生に疑問を抱くようになってしまったんです。

とはいっても、そう簡単に今の様な大企業には入れるわけではないので、
会社を辞めることに対する怖さもあり、今後も続けるべきか、辞めるべきかすごく悩みましたね。

でも、やはり「自分も起業に挑戦してみたい!」という気持ちが強かったので、
不安を断ち切るために、一度今までの人生を終わったものと考えて、
会社を辞めたことを後悔しそうな自分と決別することにしました。

そして、これからやり直す新しい人生では、いつか自分が死ぬ時に

「俺の人生、やりきったな!」

と思えるように挑戦を続けることを志し、
「将来起業したいんで会社辞めます」という言葉を告げて、
大日本印刷を退職しました。

ベンチャーの世界へ


いざ、将来起業をするために会社を辞めてはみたものの、
どうやって起業すればいいのか、具体的な方法がわかりませんでした。

そこで一度、ベンチャーと言われる企業で働いて、修行しようと考えていたところ、
大日本印刷時代に同じ寮で生活をしていた友人から、
とあるシステム開発系のベンチャー企業に誘って頂いたんです。

いざ、その誘いを受けて会社を受けてみると、
いきなり社長と飲みに行くことになり、その場で「いつ来てくれんの?」と言われ採用が決まったり、
教育もへったくれもない仕事環境だったりと、前職の大企業とのあまりの違いに

「ベンチャーってスゲーな!」

と感じましたね。

その会社ではBtoCのシステムの開発を中心に、幅広い業務に携わらせていただき、
すごく楽しみながら働いていました。

ところが、入社して1年も経たないうちに、会社の事業が立ち行かなくなり、
いつ倒産してもおかしくない状況になってしまったため、
やむなく会社を辞めて転職活動をすることにしたんです。

今まで、推薦・紹介という形で就職をしてきたため、実はこの時が初の正式な転職活動でした。

そもそも、求人媒体というものを使うことも初めてで、不安ばかりの転職活動だったのですが、
幸い、沢山のベンチャー企業からオファーをもらうことができました。

複数の選択肢の中で実際に転職先を決める際は、より様々なことに挑戦したい、
という気持ちが強かったので、社員が20人しかおらず、エンジニアが一人もいなかった、
マクロミルという会社に入社することを決断しました。

組織を大きくする、という経験


マクロミルにとって、私がエンジニア第1号だったこともあり、
入社した時には、まだグループウェアやファイルサーバーなども無く、
業務上で必要な仕組み作りをすることから始めました。

また、当然それだけでなくサービスに関する業務や、採用面接など、
ベンチャーなのでやることは探せばいくらでもある環境だったので、
仕事量は凄まじく、正月を会社で迎えたこともありました。

でも一方で、自分が頑張っただけ会社の成長を肌で感じることができ、
何より楽しみながら仕事をしていました。

特に、マネージャーに昇格した際などは嬉しかったです。

その様に、マクロミルでは非常に充実した経験ができ、目の前のことに精一杯だったこともあり、
一時は、当初の目的であった「起業をする」ということを忘れかけていたこともありましたね。

会社はその後も順調に成長し、私が入社して2年後の2004年1月に、
目標のひとつであった東証マザーズ上場、
その1年後の2005年4月に東証一部への鞍替を果たしました。

ようやく気持ちが一段落し、改めて自分の今後について考えてみたんです。

そこで、いつか自分が死ぬ時に「やりきった!」と思えるような人生を歩むために、
マクロミルの一社員で終わるのではなく、自分の力で起業に挑戦しようと思いました。

また、「起業する」ということを目標にしていたため、日常的に様々な事業プランを考えており、
ちょうどその頃に、ブログを用いて口コミでサービスや商品のプロモーションを行う、
クチコミプロモーションのサービスのモデルを思いつきました。

マクロミルの仕事はやりがいもあり、給料も非常によかったのですが、
挑戦する決意とやってみたい事業プランが揃ったこともあり、
入社して5年ほど経った頃に、マクロミルグループを退職して起業にチャレンジすることにしました。

世の中に大きな影響を与えられる会社に


その後、2007年の2月にオフィスを借り、同月の中で一番覚えやすい日にちということで、
2月14日のバレンタインデーに株式会社アイズを立ち上げました。

独立の際に考えていた、クチコミプロモーションの事業モデルは『レビューブログ』と名付け、
企業から広告という形で一方的に仕掛けられるプロモーションではなく、
ブログを用いて一般消費者から口コミで広がって、消費者の購買行動を促進する仕組みとして、
現在多くのクライアントやブログ会員を抱えるまでに成長しています。

今後、この『レビューブログ』は業界トップを目指し、サービスをさらに拡大していきたいと思います。

またそれ以外にも、新規事業として様々なサービス開発に取り組んでおり、
その中の一つである『メディアレーダー』という、あらゆるマーケティング資料の検索プラットフォームは、
全てのマーケティングに関わる人にとって、無くてはならないサービスにしていきたいですね。

私の目標は、いつか自分が死ぬ時に「やりきった!」と思って人生を終えることですが、
そのために自分にとって何が大切なのか、ということを考えてたどり着いた答えは、
大金持ちになることでも、有名になることでもなく、

「世の中により大きな影響を与える」

ということでした。

なので、これから先はその目標に向かって株式会社アイズをより大きくしていき、
一人でも多くの人に喜びや感動を与えていく、ということを追及していきたいですね。

2014.09.24

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