日本の良さを、世界に!経験と研究から感じる、テキスト学習の可能性。
チャット英会話アプリ「Eigooo! 」を運営するピーターさん。きっかけは、日本への留学時の何気ない友達とのやりとりからでした。「日本の良さを世界に!」という考えるまでには、どのような経緯があったのでしょうか。お話を伺いました。
ピーター・ローゼンバーグ
ピーター ローゼンバーグ|英会話アプリ運営
チャット英会話アプリ「Eigooo!」を運営する株式会社Eigooo設立者、代表取締役。
Eigooo!
いつかこの子と話せるようになりたい
私はアメリカのカリフォルニア州にある、ロングビーチという場所で生まれ育ちました。
小さいころからサッカーや野球、陸上、ホッケーなど、様々なスポーツをやったり、
兄の影響でトランペットやピアノを演奏したりと、アクティブな少年期を過ごしていました。
アメリカの小学生の夏休みは長くて3ヶ月間ほどあったため、夏のキャンプがたくさんあるんです。
私も毎年、科学や数学のキャンプにも参加しましたね。
初めは、みんな知らない人同士で緊張しているのですが、キャンプの終わりが近くなるにつれて
同じ課題に取り組んだりして仲が深まる体験が、毎年の楽しみでした。
小学3年生のころは、兄がトランペットを演奏している姿に憧れて私もトランペットを始め、
州のユースのトップバンドで演奏したり、色んなアクティビティの中でもトランペットが自分の興味の中心にありました。
また、高校生のころには自宅に16歳の日本人がホームステイに来たんです。
その子は上手く英語が話せず、自分も日本語がわからなかったので、
上手くコミュニケーションを交わすことができませんでした。
ただ、色々な場所に行ったり、一緒に時間を過ごす中ですごく楽しい時を過ごし、
「いつかこの子と日本語で話せるようになりたい」と思ったんです。
大学生になったら日本に留学して日本語を習得したいと考えるようになりましたね。
そんな高校生活を送り、大学は、一番力を入れていたトランペットで有名な先生がいる上に、
世界のトップスクールの一つである、カリフォルニア大学ロサンゼルス校に音楽専攻で入学しました。
音楽から言語学専攻、日本への留学
大学でも幅広くアクティブに色んな部活に所属をし、楽しい大学生活を送っていたのですが、
専攻である音楽の授業だけは、理論ばかりで関心が持てずにいました。
ただ、自分の専攻だけでなく、アメリカの大学は必修科目が幅広くあるため
なんとなく言語学の授業を取って受けけるようになりました。
その授業は人間の発声を科学的に理解する内容だったのですが、
周りの友達は難しいと言う中、私はどんどん言語学の理論の面白さに惹かれていったんです。
人間が無意識的に使う、ことばの中にある複雑な原理が面白く感じました。
これは、自分に合った学問なんじゃないか?と思いましたね。
元々人が動くことや、本などを読んで無意識的な動きに対して関心があったこともあり、
言語学の面白さに引き込まれ、大学2年生の頃に言語学専攻に転部しました。
それから大学3年生の2007年には、念願だった日本留学が決まり、
国際基督教大学に1年間留学することに決まったんです。
留学中に見つけた、テキスト学習の可能性
留学中もアメリカと同様、自転車、サッカー、吹奏楽部の部活に入りました。
日本の友達には、「ピーター、そんなに入ったら練習日程が被る日あるし、だめだよ」と言われましたね。(笑)
そして、驚いたことに、どの部活も自分のために歓迎会を開いてくれたんです。
それがすごく嬉しくて、日本人のおもてなしの心を感じました。
ただ、そんな日本の良さを感じつつも日本にいる外国人や、英語を話せる日本人はとても少なく感じ、
世界にこんなに良い日本を発信できないのはもったいないと感じたんです。
「日本人に英語を教えるのが自分の役目だ」
と思いましたね。
もちろん、部活動だけでなく本来の目的である日本語の勉強にも力を入れていました。
部活の友達とチャットをしている間、
その日に習った日本語を突然メッセージして、復習していたんです。
例えば、「~すればするほど」を習った日は、
突然、サッカー部の友達に、帰りの電車などで「サッカーを練習したらするほど上手くなる」と送ってみました。
その自分のテキストに対して、間違っている時は、
友達から「ピーター、違うよ。こういう風に使うんだよ!」と教えてくれたりしたんです。
そのおかげで、日本語の理解が一気に進んだんですよね。
それまでは、会話ではわからない単語があっても、意味を聞くタイミングを掴めず流してしまうことがあったのですが
テキストでのコミュニケーションであれば、会話をしていても、わからない単語があれば
一度自分で調べて意味を理解し、習得することができることに気がづいたんです。
そんな背景もあり、テキストでの言語学習を広めていきたいと考えるようになりました。
そこで、アメリカに帰国してからはテキストでの語学学習の研究をし、改めてその効果を感じましたね。
特に、日本のような、人前で話すことに苦手意識を持ったり、
完全に習得するまで話したがらないアジアの人たちに有効だという考えに行きつきました。
それから、将来日本でテキスト学習を多くの人が使うサービスとして発信したいと考え、
サービス名を「Eigooo!」として、eigooo.comでサイトも取ったんです。
ただ、チャットはあまり親しみのないツールで、メールの方が流行っていたため、
タイミングが来た時に必ずやろう、と時期を見計らうことにしました。
そうしてアメリカ帰国後は、言語学の研究に励み、5年間通った大学を卒業しました。
コミュニケーションとしての英語を!
卒業後は、当初の目的であった日本での英語教師になるために
日本の文部科学省が主催する外国人に向けた日本語教員プログラムに参加し、
群馬県の嬬恋村の小学校で英語を教えたり、学習プログラムを作成したりしました。
授業は楽しくコミュニケーションができるように教えることを心がけましたね。
そういうこともあって、全く英語を知らなかった生徒でも、卒業時には自分が教えたあ英語を楽しく話せるようになったんです。
しかし、中学生になるとみんな口をそろえて「テスト対策」と言うようになったんです。
その現実を目の当たりにして、一生懸命に単語や文法を覚える日本の英語教育に違和感を感じました。
国が決めた教育方針を見ても、何年後もその制度としてやっていくということを知り、
日本人が日本の良さを発信できるほどのコミュニケーションができる英語教育は難しいと考えたんです。
それならば自分ででやった方が早いと考え、教師を辞めました。
ちょうど、スマートフォンの普及が重なったことも有り、今こそチャットのタイミングだと考え
2013年に「Eigoo株式会社」として起業し、
2014年には「Eigooo!」という、いつでもどこでもチャットで英会話ができるアプリをリリースしました。
実際に起業してからは、正直思うようにいかずに苦労するこの方がが多いのです。
ただ、ユーザー者が増えた瞬間や、実際アプリが使われている様子を知ることが励みになっています。
これからも私は、日本の良さを日本人が世界に発信できるお手伝いをしていきたいと考えています。
2020年に開催される、東京オリンピックには2000万人の外国人が日本に来ると言われていますが、
そうした外国人に日本の友達ができるようになったらいいなと思っているんですよね。
2014.09.20