みんなで誇れるものを一緒に作っていきたい!上場、外資企業を経て僕が大切にしたいもの。

20代で上場の経験をし、その後も事業の立ち上げや外資系大手企業での企画などを経た結果、「個人ではなく、みんなで成長したい」と語る臼井さん。個人ではなくチームで結果を出すことにこだわる背景には、どんなものがあったのでしょうか?

臼井 教司

うすい きょうじ|ウェブコンサルティング(集客/解析/制作)
岐阜県出身。上場企業にて広報業務に携わったのち、創業時のジグノシステムジャパンにて、 初期メンバーとしてインターネットコンテンツサイトの企画/ディレクションを行い、20代にて上場を経験。 その後、香港にてSONYとの共同事業および、台湾での新規事業立ち上げを経て、
2003年からは、ウォルト・ディズニー・カンパニーにて、
ネットサービスの企画/ディレクション業務から、新規事業開発までプロデューサーとして7年間従事後、独立。
2011年10月より現職。

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挫折の劣等感


私は岐阜県で次男として生まれました。小学校4年生の時に父が脱サラして会社を立ち上げました。父はすごく努力する人だったので、会社も日に日に大きくなっていく姿を間近で見て、頑張れば夢は叶うんだと実感することができましたね。

また、中学生の頃の私は、あまり生活態度が良くなく、よく屋上に行き、一人でボーっとしていました。そのため、通知表も悪く行きたい高校に合格できなかったんです。この時、普通にみんなと一緒の高校へ進学にするという道が閉ざされてしまい、挫折感を感じて、何か自分自身で誇れるものを持たねばと思うようになりました。

そこで16歳の時、自分を変えなければと自身で手配して1年間ロサンゼルスに留学に行きました。学外のプログラムだったので、高校は留年という形になり、帰国してからは同じ学年のみんなに先輩と呼ばれるような状態でしたね。

しかし、留学から帰ってきてもあまり勉強に打ち込むこともできず、結局、高校3年生の10月の偏差値が、英語を除くと平均38しかなかったんですよね。ただ勘違いな性格だったので、何故か目標だけは高くて、地元で偏差値の高い大学に行きたいと先生に言ったら、「お前なんかに入れるわけないだろ」と言われて頭に来てしまって。

12月1日から猛勉強して、結局、目標の大学に入ることができたんです。ほとんどの生徒が就職する環境だったので、高校からは初めてその大学に入学した生徒になってたみたいです。

成長企業の光と影


大学は経営学部だったのですが、机上で語られる学問と、父が家で語る経営の現場とリアリティに圧倒的な違いがあり、あまり真面目に授業は受けていませんでしたね。

そうして迎えた就職活動では、総合商社を目指しました。海外で働けたらいいなという漠然とした気持ちがありました。

たまたま同じ大学出身の人が1人だけ総合商社で働いているのを知り、会いに行ったんですが、その人は、商社は学閥が尊重されるし、親のコネもモノを言う会社でもあるから、うちの商社は辞めておいたほうが良いと言うんです。全員が同じような人では無かったと思いますが、なんだかその先輩の自信の無い姿を見ていたら、商社で働くことに幻滅してしまい、いくつか内定をもらっていたものの、商社に就職するのは辞めました。

その頃、将来は父を超えたいという気持ちから、自分で会社を立ち上げた方が面白そうだと感じるようになり、まずはその力を付けるため、急成長している会社に就職することにしたんです。そこで配属された勤務地が東京となり上京しました。

就職した会社は、写真の現像を行うプリントショップを運営する会社で、女子高生の使い捨てカメラブームなどで市場も活性化されていて、社長も著名な経営者とも繋がりが深く、当時、最年少上場ともてはやされていて、世間でも話題の会社でした。

そこで私は社長室に配属となり、IRやPR、商品企画などの仕事を担当したのですが、メディアが近い仕事だったこともあり、会社の勢いを肌で感じることができましたね。

しかし、入社した年にデジカメが発売され、状況が一気に変わっていったんです。

同じ釜の飯を食べる仲間


デジカメはフィルムがなく現像が不要ですから、それまでと一変して業績は上がらず、店舗も減少するような状況になりました。社員の人はみんな頑張っているのにも関わらず、どうにもならない状況で、市場の変動の影響をまじまじと実感しましたね。

しかし、この変動する市場の中でも何かチャンスはあると考え、携帯のインターネットを利用して写真を表示させるサービスを企画し、社長に提案に行きました。ただ、やっぱり若手だったので社長の時間を取っていただくことができなくて、毎日社長の帰る時間にエレベータで待ち伏せして、エレベータ内で企画書を見せ、指摘されたことを次の日までに修正する、ということを繰り返していました。するとついに提案が認められ、子会社として事業を担当することになったです。

ただ、この子会社は失敗し、すぐに潰れることになりました。チームが3名から半年で30名ほどに急拡大したのに対して、ビジネスモデルも甘く、気持ちを1つにするようなマネジメントもできなかったんですよね。大きな挫折を感じ、みんなの前で号泣しましたね。

その後、今度は別の子会社に拾ってもらい、新規事業の立ち上げに従事することになりました。携帯電話の待受画面コンテンツの企画を行っていたのですが、市場の成長もあり、事業をはじめて半年程で10億円程度の売上が立つような事業でした。チームも、リアルに同じ釜の飯を食っていましたし、深夜まで楽しく仕事したりして、みんなで切磋琢磨している一体感が強かったですね。

そして2年後、この会社は上場することができたんです。みんなで肩を抱きながら喜んで、この時のチームでの達成感や高揚感は最高でしたね。

個人主義への違和感


ただ、上場してからは少し毛色の違うメンバーが入社してくるようになり、いわゆる安定志向の人が増えて、ベンチャー感が失われてしまいあまり面白く無かったですね。

その後は、香港SONYで携帯サービスを作ったり、台湾で新規事業を立ち上げを行ったりしました。そうやって大企業と一緒に仕事をするうちに、隣の芝は青く見えるというか、今までのベンチャーのやり方と違う、大企業でのしっかりとした仕事の仕方もしてみたいと思うようになってきたんですよね。

ちょうどそのタイミングで、ウォルト・ディズニー・カンパニーのメディア部門で働かないかと誘いを受け、転職することにしました。外資系企業で働くなんて想像したことがなかったので、お声をかけていただいて素直に驚きもあったし、世界で事業展開している企業での仕事を通じて新たに勉強できることが嬉しかったですね。

転職してからは、主に今まで培ってきた携帯キャリアとのコンテンツ企画をやった後、新規事業として、ディズニーのコンサートチケットをインターネットを利用して直販するプロジェクトを企画しました。このプロジェクトは、3ヶ月で販売計画を予測していたチケットが、2時間で完売するほどの反響がありましたね。

会社のメンバーも優秀で面白い人ばかりだったんですが、一方で外資企業特有の、個人プレー感に違和感も感じていたんです。

上場した時の会社で感じることのできた、「みんなでやれて本当に良かったよね」というあの一体感って、尊いものだったんだと思い出したんです。

そこで、自分にはやはりそっちの世界が性に合うと考え、事業の一区切りがついたところで7年ほど働いた会社を辞め、地元の岐阜に戻り父の会社を継ぐことにしました。

みんなで達成する


地元では父が30年前に設立したアクシスという会社を継ぎました。

昔は父を超えたいと思っていましたが、この頃は親孝行したいという思いが強くなり、私にとっては会社を継ぐことが一番の方法と思うようになっていましたね。とはいっても、これまでの事業内容などは全て刷新し、新たにインターネット事業を立ち上げてしまいました。

もともと、地元に帰ってきた時に、地方のインターネット制作会社が、何も知らない中小企業を搾取しているように感じたんですよね。
情報が行き届いていないことを良いことに、都会ではありえないような不当な額の請求を行う、似非コンサルタントみたいな会社があってビックリしたんです。

これはまずいと思い、地元の企業向けにインターネットコンサルティングを始めましたが、将来はこのナレッジをプラットフォーム化して、コンサルタントとして中に入って支援するのではなく、各企業が情報を活用して自走できる状態に持って行きたいと考えています。

今後は地方発の企業でも日本一、そして世界に羽ばたけることを証明していきたいですね。「地方発」と言ってる企業がこちらに多いのですが、ある意味都会を意識してる時点で負けてるのでは?と個人的には思っています。もはやそうではなく、どんな場所にいても目の前のお客様の利益を追求していき、最高の企業になった結果「きっかけは岐阜発の企業だった」という状況にしたいと考えています。

そのため、今はロサンゼルスや東京にもオフィスを出し、範囲を拡大しています。

そうやって集ったメンバーで誇れるものを、みんなで一緒に作っていきたいですね。結局一人が頑張っても自己満足だし、続けてくれる人がいないと終わっちゃいますからね。上場した時、自分がメンバーとして味あわせてもらったあの一体感や達成感を、今度は若い人にも体験させてあげたいんです。

だから、これからも「みんなで達成すること」にこだわっていきます。

2014.09.09

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