世の中の良い循環を作っていきたい! 私がバージンココナッツオイルで挑戦する理由。

インドネシアのカポポサン島という島で生産したバージンココナッツオイルをフェアトレードで日本へ輸入して、販売を行っている藤原さん。長年、自分のやりたいことを追及してきた中で、いわゆる「社会起業家」と呼ばれる取り組みを行うようになった背景について、お話を伺いました。

藤原 愛

ふじわら あい|バージンココナッツオイルの生産・輸入・販売
インドネシアのカポポサン島で生産したバージンココナッツアイルを、フェアトレードで輸入して、
日本で販売を行う「Love's Gallery meets Kapoposang Project」という事業を運営している。

Love's Gallery meets Kapoposang Project Facebookページ
ブログ「はい、私は地球人です」

英語が話せる自分ってカッコいいんじゃないか?


中学・高校と進学校に通っていました。勉強してとりあえず大学へ進学することがスタンダードな流れでしたが、私は日本の大学へ行くことに興味がありませんでした。これといってやりたいことや将来の夢が無かったので、大学に通う情熱が持てなかったんですよね。

一方で、高校までをずっと兵庫県の田舎で過ごしてきたので、そこに漂っている保守的な空気感から逃げたい、という思いもありました。それは、次第に「海外に行きたい」という気持ちに変わっていき「英語が話せる自分ってカッコいいんじゃないか?」という漠然とした思いもあったため、卒業後はカナダへ語学留学をすることにしたんです。

現地では、英語を専門的に学ぶカレッジに入学して、韓国・台湾・トルコ・ブラジル・メキシコなど様々な国から集まった人たちと毎日ひたすら英語の勉強をする生活をしていました。母国語使用禁止というルールの中で、誰と話すにも英語しか使うことができなかったため、最初はなかなかコミュニケーションが取れず「言葉が通じないって、こんなに孤独なことなんや・・・」ということを強く感じましたね。

もちろん、自分と同じような日本人の留学生もいたのですが、せっかく留学した以上は甘えたくなかったので、誰と話す時も英語で話し、学校から帰ってもひたすら勉強をしてました。何よりも、やればやるほど英語が話せるようになっていくことが、楽しくてたまらなかったんです。
 
元々は1年間カナダに滞在する予定だったのですが、10か月ほどで「英語を話せるようになる」という目標を達成してしまい、何より飽きてしまったこともあり、予定を早めて10か月経った頃に日本に帰国することにしました。

帰国して感じた様々なギャップ


特に、明確に「何をするか?」を決めていた訳でもなかったので、帰国後は、運転免許を取ってみたり、色々なバイトをしてみたりと、実家でのんびり過ごしていました。でも、改めて日本で暮らしてみると、私がカナダの社会で経験してきたことと、日本社会との間でギャップを感じることが沢山あったんです。例えば、年齢に関係なく発言権があるカナダとは違い、日本では「年齢」でジャッジされる場面が多く、年上を「敬う」ことと「言いなりになる」ということが、混同されてしまっていると強く感じました。

10か月の留学生活で、ややカナダにかぶれてしまっていたこともあり、そんな部分が納得いかなかった私は、度々先輩や上司とぶつかってしまい、バイトを辞めてしまうことも少なくありませんでした。そして何より、日本では英語が無くても生きていけるんだ、ということを改めて感じ「私、留学までして何勉強しとったんやろう?」と、もの凄くショックを受けましたね。

そんな中、20歳になった頃にたまたま神戸のスペインバーで社員として働くことになったのですが、異国情緒で、スタッフも色々な国の方が働いていて、とても居心地がよく、ようやく自分の居場所を見つけられたような気がしました。また、会社もあまり大きな組織は無かったので、バーテンダーやバリスタなど、色々な仕事を任せてもらい、とても楽しく働くことができました。

自己犠牲の限界


とはいえ、長く働いていくうちに、その会社でも上司とぶつかることが増えていき、ある時「お前はこの会社だからやっていけてる。社会に出たら生きていけない。」と言われたことがキッカケで、自分の闘争心い火がつき、独立して自分のお店を開くことにしました。

お店では、好きでよく行っていたアジア旅行の旅先で買い付けた雑貨アクセサリーのショップとフェアトレードコーヒーや、ちょっとしたアジア料理を提供するカフェを融合させて、そこで英会話レッスンをやったり、演奏家を呼んで民族楽器のライブをやってもらったりと、好きなことを気ままにやっていました。

実際に自分が経営者という立場になってみると、今までの雇われる立場とは違い、全ての決定権は自分にあり、それが顕著に売り上げなどの結果に現れる、ということは特に大変でした。でも、全てが自分の招いた結果であるため、あらゆることに納得できましたし、一人でお店をやっていたため、他人を恨むようなこともなく、家賃や売上などの色々な心配事はあったものの、「お金は無くても幸せ」という、心が満たされた状態で日々を過ごすことができていましたね。

そんな中、東日本大震災が起こった際に、お店に支援物資を募り、チャリティーフリーマーケットを開いて支援金を集め、お店のお客さんと支援団体を作って、ボランティアに行くことになりました。でも、現地へ行くときはお店を閉めなければならず、当然その間の収入をゼロにになってしまいますし、あまりお金もなく、支援金の一部は売上金から捻出をしなければならず、結局、自己犠牲を払うことでしかボランティアをすることができなかったんです。

そんな状況では、どちらも続けていくことは難しいと感じ、そこで、お店もボランティアも自己満足でしかなかった、ということを実感したんですよね。その体験がキッカケとなり、次第に、「ただ自分がやりたいだけのことではなく、社会にいい影響を与えながら、誠実にお金を生み出せる仕組みを作っていきたい」と思うようになりました。

インドネシアで見つけた新しいキッカケ


その後、お店を3年ほど続けた頃に、日本のラーメン業界で働いている知り合いの方から、「インドネシアでラーメン屋を展開しようと考えているので、語学などのサポートをお願いしたい」というお誘いを受けました。ちょうど、お店もこれ以上伸びていかない、ということを悟っていましたし、何より新しい刺激に飢えていたので、お店を閉めてお話を受けることにしたんです。

その会社では秘書として、通訳を中心に様々なサポート業務に従事しました。海外で働くということは初めてでしたし、何より留学で学んだ英語を仕事に生かせる環境がとても刺激的でしたね。ところが、現地の生活水準は日本に比べるとかなり低いもので、様々な部分で身体に疲れが溜まっていってしまったんです。また、アトピー体質の私にとって、その環境はあまりよくなかったようで、次第に肌が途轍もなく乾燥がちになっていきました。

そんなある時、現地で仕事をされている日本人の友人に、カポポサン島というインドネシアの小さな島で採れたココナッツを使ったバージンオイルを紹介していただいたんです。それを使ってみると、とても肌の乾燥に効果的で、もの凄い衝撃を受けたんですよ。

漠然と「これでビジネスができないだろうか?」と思い、オイルをくれた友人に相談をしてみたら、産地のカポポサン島のおかれている、悲惨な現状について教えてくれました。そこはとても綺麗な海がある素敵な島なのに、島にお金がないために宿泊施設もなく、電波もないために観光客が長期滞在することが難しいんです。さらに、都会のホテルが企画しているカポポサン島のツアーでは、島民がガイドをやらされているにも関わらず、そのほとんどの費用が搾取されていて、なかなか島にお金が落ちていかない、ということを知ったんですよ。

そんな実情を知った時に、「このオイルを使えば、島のためになるような、社会にいい影響を与えながら、誠実にお金を生み出せる仕組み作りができるかもしれない」と思い、会社を辞めて再度挑戦をすることにしました。

社会起業家として伝えたいこと


その後「Loves Gallery meets Kapoposang Project」という、カポポサン島で生産したバージンココナッツオイルを、フェアトレードで輸入して、日本で販売する事業を立ち上げました。私は、この事業を進めていくことで、良いものを人々に提供することで、カポポサン島の島民の安定した現金収入を生み出し、やらされている仕事ではなくて、喜びを感じられる仕事というものをしてもらいたいと思っています。

とはいえ、現地の人から見れば私はあくまで外国人なので、その根底にあるインドネシア人の間に存在する「搾取」などの問題を直接解決することはできないとも感じてます。そんな中でも、キッカケを与えることはできると思うので、この事業を通じて、少しでもカポポサン島が抱える問題を良い方向に勧めていきたいですね。また、このプロジェクトをの最終目標としては、集まったお金で現地に学校を建設し、私自身も成功することを目標としています。

今までは、ただ私が好きなことをやっていれば満足で、特に「成功する」ということにこだわりはありませんでした。でも現在の世の中では「成功する」「お金を稼ぐ」ということに対して、あまり良いイメージがなく、「汚い」という印象を持っている人が多いように思えます。だからこそ私が社会起業家としてこのプロジェクトを成功させて、これから先、起業などの新しい挑戦をしていく人たちに、「世の中にとって良い影響を与えることで、誠実にお金を稼ぐことができる」ということを伝えていきたいです。

そういった思いを伝えていくことで、少しでも世の中の良い循環を作っていくような一部になれたら嬉しいですね。

2014.08.10

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