「決済」をもっと簡単に!思い立って、飛び込んで、見えてきたもの。

【女性起業家特集】「すべてはかんたんのために」という理念のもと、スマートフォンやタブレットを用いたクレジットカード決済サービス『Coiney (コイニー)』を運営する佐俣さん。昔から「えいや!」で決めて動くタイプだったと話す佐俣さんが、「決済を変える」という挑戦を決めた背景には、どのような思いがあったのでしょうか?

佐俣 奈緒子

さまた なおこ|モバイル端末用クレジットカード決済サービス運営
スマートフォンやタブレットを用いたクレジットカード決済サービス『Coiney (コイニー)』を運営する、
コイニー株式会社の代表取締役を務める。

コイニー株式会社

「えいや!」で決めて動くタイプ


自分が関心を持ったことには「えいや!」で物事を決めて動くような性格でした。

中学生の時に姉が持っていた漫画でアメリカに興味を持ち、
高校1年の時にアメリカに留学に行くことに決めたんです。

中学高校と国立の一貫校に通っていたのですが、
恵まれた環境ではあったものの、ある種ぬるさを感じることもあったんですよね。

「ここだけが世の中じゃないよね?」

という感覚がありました。

ところが、実際に留学が決まってからはトラブルの連続でした。
留学のプログラムを利用したのですが、ホストファミリーが決まったのが渡航の2日前で、
学校も決まらぬまま出発することになったんです。

また、実際に到着すると、一番近い公立高校から受け入れができないと言われ、
仕方なく、近隣の私立学校に直談判しに行き、受け入れてもらうことになりました。
英語もままならない中、いきなりバタバタの日々でしたね。

それでも、アメリカの生活で初めて日本を外から見ることができ、

「自分の常識は、誰かの常識と異なる」

ということに気づきました。

たまたま通っていた学校が敬虔なカトリックの学校で、
世界史の授業では自分が習ったものと全く違う歴史を教わりましたし、
ちょうど、2000年の大統領選の時期に居合わせたのも刺激的でした。

また、アメリカに関心を持ったもう一つの背景として、
小さい頃から、人への関心があり、精神科医や臨床心理学師に憧れていたんですよね。

そんな背景から、一度はそういった分野で先進的なアメリカの大学へ進学しようと考えたのですが、
どうやら、日本人とアメリカ人は違うという感覚から、
日本人の心理学を学ぶため、日本の大学に進学することを決めました。

経済の仕組みを知りたい


日本に帰ってからは大学受験に向けての受験勉強を始めました。
最初は、社会学や人間科学系の学部の受験形式に合わせて勉強を進めていたのですが、
ある時、世界史の授業で世界恐慌の話を聞いて、急に「経済」に関心を持つようになったんです。

授業で話を聴いても何が起きているのか良く分からなかったのですが、
一瞬で社会が変わることに強いインパクトを感じ、
その仕組みについて、もっとよく知りたいと感じたんです。

その気持ちは収まる事無く、センター試験1ヶ月前ながら、
志望校も学部も変更することに決めました。
またもや、「えいや!」での決断でした。

その後、センター試験が思うように行かず苦しんだものの、
なんとか京都の大学の経済学部に進学が決まりました。

入学したのはよいものの、大学2年くらいまではだらだら過ごしていた気がします。
中高とテニス部だったので、大学でもテニスサークルに入り、
家庭教師や飲食などのバイトをして、と一般的な大学生活でした。

ところが、アルバイトをするうちに、段々もっと割に合う仕事をしたいと考えるようになったんです。
時給制よりも、もっと効率よく稼ぎたかったんですよね。

そんな時、口コミサイトで評判がいいにも関わらず、販売店が限定された家電製品を、オンラインストアで売ってみたところ、
思ったより高く売れることに気づいたんです。
その他にも、海外ブランドの靴等でも同じことが起こったんですよね。
それに気づいてからは、いわゆる背取りを行うようになり、気づけば、月間数百万円売れるようになっていきました。

そんな風に、段々とビジネスの世界に足を踏み入れていったんです。

「決済への思い」の芽生え


実際にPayPalで働き始めてからは、ものすごく楽しかったですね。
なんの教育も無くいきなり最前線に投げ出され、役に立たないとクビも見えているので、
緊張感もあり、最初からフルスロットルで取り組みました。

一番歳が近い方で8歳以上年上という環境だったものの、一緒に働く人にも恵まれ、
仕事に飽きることは全くなかったですね。
何もかもが新しく、仕事も人もどんどん好きになっていったんです。

同時に、サービスとしての「決済」への思いも芽生えていきました。

利用者側から見ると、Suicaやお財布ケータイなど、先進的な側面はありつつ、
決済を導入するお店側から見ると、仕組みが難しく手も届きにくい、
世界と比べても「遅れている市場」だったんです。

実際に、仕事を通してお客さんの声を直接聞くうちに、
そのギャップにすごくもったいなさを感じるようになったんですよね。

「日本の決済市場はもっとよくできる」

という思いを抱くようになりました
そのためにも、もっと決済を簡単にしたいと考えるようになったんです。

そんなことを考えながら過ごしていたある日、
朝起きた時にひらめいたんですよね。

「自分でやりたい」と。

子どもを産む前に1回勝負をしてみたいという気持ちもありましたし、
直近で起こった東日本大震災で、「人間いつ死ぬかわからない」という感覚を持ったことも大きな一因でした。

そういったタイミングが重なった結果、

「自分がやらないと、日本の決済はもっと世界から遅れてしまう」

という思いにつながったんです。
気づけば、「本当にやりたい」と思えることに、飛び込む準備ができていました。

「決済を変えたい」


思い立った翌日に上司に思いを伝え、その数カ月後に退職しました。
一緒に取り組むチームが決まっていた訳でもなかったので、
退職後は、決済の勉強をしながら、チームを作ることに注力しましたね。

そして、2012年3月にコイニー株式会社を立ち上げ、
クレジットカード決済サービス『Coiney (コイニー)』をスタートしました。

「決済って難しい」という課題感や、中小企業の方にとってのハードルの高さに加え、
スマートフォンの台頭により、もっと決済もデジタルに置き換わっていくべきという思いから、
カード決済をモバイル端末でできるサービスを提供しようと考えるようになったんです。

今では、1人で始めた会社も30人まで増え、
「決済を変えたい」という思いは全くブレることなく走り続けてきました。

「すべてはかんたんのために」という理念のもとサービスを提供してきたことで、
お店にとっての便利さは少しずつ改善できている実感があります。
ただ、支払う人にとってはもっと便利にできると思うんです。

今の時代、お会計で財布を出して、というのはもう古いと思うんですよね。
いずれはキャッシュレスな世界を作っていきたいという思いがあります。

「決済」はお店のビジネスと繋がっている分、永続性を求められるサービスだと思うんです。
だからこそ、それを支えるような組織を作り、しっかりとサービスを提供していきたいですね。

2014.07.24

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