インフラになるようなアプリを。デザインからアプリに携わるまでの道のり。

大手製品メーカーからSNSのmixiを経て、スマートフォンのアプリを中心にデザインを行うデザインスタジオの代表を務める佐藤さん。 数回の転職を経る中で、「アプリ」に可能性を見い出した背景には、どのような思いがあったのでしょうか?

佐藤 斉昭

さとう なりあき|デザインスタジオ代表
キサカタ合同会社代表。スマホアプリのUIデザインを受託しながら、生活を便利にするアプリを開発している。
鎌倉のIT支援団体カマコンバレーに所属。

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バウハウスに衝撃を受けた


私は静岡で生まれ育ちました。いわゆる普通の家庭です。
大学への進学も、親や教師の言われるままに理系の大学に進学しました。

大学時代のある時、たまたま世界遺産に関するテレビ番組を見たんです。
その日は、バウハウスというデザイン活動の基になった、デザイン学校が世界遺産となっており、その特集でした。

そこで見た学校のデザインに衝撃をうけたんですよね。
その学校が建てられたのは第二次世界大戦以前だったのですが、
そんな時代に生まれたとは思えないほど、機能的でモダンなデザインでした。

当時はまだ、世界的にデザインに対しての興味が薄かった中で、
そういったモダンなデザインの学校が作られていたことに、感動しました。
それまでは、デザインに対して興味を持っていなかったんですが、
そのテレビ番組がきっかけとなり、興味をもつようになったんです。

自分の強みを活かせると思った


それからはデザインを学ぶため、ダブルスクールでデザインの専門学校に通いました。
バウハウスの家具のデザインが好きだったこともあり、専門学校では家具のデザインコースを専攻しました。

他にも、クラブイベントのフライヤー作りや、ホームページ作成も行っていました。
お金をもらえて、デザインする機会もあるということで、
よくデザイン関係のアルバイトをやってましたね。
画像編集ツールなどの使い方も、実際にものを作りながら独学で学びました。

そんな背景もあり、大学卒業後は就職をせずに、
そのまま千葉大学のデザイン学科に研究生として入学したんです。

1年間の研究生の期間終了後は、千葉大大学院のデザイン専攻に進学し、
「デザイン研究システム」という、デザインを効率的に創りだすシステムを研究していました。

もともと、バウハウスの影響から製品デザインに興味があったのですが、
自分がデザインに触れたのは大学からだったということもあり、
親がデザイナーで、小さい頃からデザインに触れている人たちに、感性ではかなわないと思いましたね。

ただ、自分は理系の大学を卒業していることもあり、
分析といったような感性とは違ったところで、強みを活かせると考えたんですよね。

千葉大学院卒業後はデザイン事務所に就職しました。

モノ作りの上流へ


そのデザイン事務所ではウェブのデザイン制作を請け負っていました。
大手電機メーカーのウェブ上の管理画面のデザイン、といったようなものです。

しかしそのデザイン事務所で働いているうちに、
もっと自分のやりたいことがコントロールできるところで働きたいと思いが生まれ、
中堅製品メーカーへ、さらに転職し、今度は大手製品メーカー本社のデザイン部門に入社しました。

デザイン側からの提案ができる会社だったこともあり、
ようやく自分の仕事をコントロールできる仕事を見つけた、という感じでした。

例えば、来期の製品デザインを提案するといったように、
前の職場ではできなかったことができるようになったこともあり、
たくさん提案をしましたね。

そんなタイミングで、3.11の震災が起こりました。

デザインのスピード感に驚く


震災の時に感じたのは、既存インフラの弱さです。
電話が機能しなかったりと、様々な弊害がありました。
しかしそういった中でも、インターネット上のSNSでは情報のやりとりができていたんです。

そういった現状を目の当たりにし、FacebookやTwitter、国内ならmixiというような、
インフラになりうるSNSの会社に希望を感じたんです。
そんな思いから、mixiに転職しました。

転職前までは製品のUIデザインをやっていたこともあり、
mixiでのスピード感の違いに驚きました。

それまではハードウェアありきだったので、
年2回の新製品発表に間に合うように仕事を進めていました。
しかしmixiでは、1週間後にデザインが変わることなど日常茶飯事だったからです。

そして製品を作っていた際は、顧客の要望も聞いていたものの、
半年後に発表する製品に盛り込むことが、時間的にできないこともあったんです。
それに対してmixiでは、顧客の声を即座に反映させられるところに魅力を感じました。

他にもABテスト等で、数値でデザインを判断するなど、大学院時代に研究はしていたものの、
仕事に活かせていなかったものを活用できたりと、新たな発見がありましたね。

アプリで食べていく


mixiで働いていたのと同時期に、プライベートでスタートアップのデザインの相談を受けるようになりました。
何度か相談を受けているうちに気づいたのが、スマホアプリのデザインの相談をできる人があまり存在しない、
ということでした。

その時に、mixi時代に得たスマホアプリのデザインノウハウを使えるんじゃないかと思ったんです。
そして震災時に感じた、SNSがインフラになる、ということをより確信したんですよね。
とくにLINEの普及の勢いを見て、確信は強まりました。

LINEもほんの数年前から生まれたものだということを考えると、
現在のスタートアップが開発しているアプリが、数年後のインフラに成りうると思うんです。
そこのデザインの手助けをするということに魅力を感じ、mixiを退職して独立することに決めたんです。

人の生活を便利にするアプリを


立ち上げた会社の初めの立ち位置は、スマホアプリのUIデザインの受託開発でした。
しかし現在は、自社サービスの開発も行っています。
自社サービス開発のきっかけが、サンフランシスコで現地のアプリに触れたことでした。

もともと仕事の一環として、サンフランシスコが拠点のスタートアップに会いに行ったんですが、
スタートアップが活発な土地だけあり、そこで多種多様の便利なアプリに出会いました。

アプリでハンバーガーの注文と決済ができるものや、道路脇の駐車スペースがアプリで決済出来るものもありました。
そういったものを見ていく中で、人々の生活を便利にするようなアプリを作りたいと強く感じたんです。

FacebookやLINEのようなインフラになるようなものほど大きなものではないですが、
人々の生活の基盤に影響するような、生活を便利にするようなアプリを作りたいですね。

自分の関わったアプリで人々の生活を便利にしたいと思いますし、
関わっているアプリの中から、今後のインフラになるようなものが生まれて欲しいです。

2014.07.06

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