「若者が未来に希望を持てる社会を創る」たくさんの挑戦の先に見えたもの。

高校生の時から政治家を志し、そのために東大法学部へ。そして、リクルートへの就職、議員への挑戦、起業、現在では起業を考える学生向けビジネススクールを運営している黒石さん。これまでに様々な事業に取り組み、現在に至る背景にはどのような思いがあったのか、お話を伺いました。

黒石 健太郎

くろいし けんたろう|学生起業家育成プラットフォーム運営
起業を考える学生向けビジネススクールを運営する、株式会社ウィルフ代表取締役社長を務める。

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株式会社ウィルフ

世界で一番世のため人のためになることがしたい


小学校5年生から岡山の私立小学校に転校したのですが、
そこは自由で実力主義な校風だったため、自分の考えを発言したり、
勉強で友達と競争してみたり、何でもできる環境でした。

小学校卒業後は中高一貫の学校に入学しましたが、ここも同じように自由な学校でした。
教室の一番前の席に座って、先生の言うことにダメ出しするような子どもでしたが、
そういったことも含めて、自分の考えを出すことを歓迎してもらえる環境でしたね。

高校生になってからは、選挙が好きという理由で1年生の時から生徒会長に立候補し、
先輩たちに並んで演説などをしていましたね。

小さい頃から、自由で目立つことが承認される環境で育ってきたからこそできたのかもしれません。
高校2年生の時に初当選したのですが、この時はどうしたら選挙で勝てるか色々考えました。

関西のラジオ番組で「おもしろいネタを募集」というのがあったので、
自分の選挙演説を録音して送り、番組内でタレントに応援演説をしてもらったりもしました。

そんな高校2年生のある日、学校のOBで外務省出身の政治家が講演に来たのですが、
自身のミッションを掲げて生きているその人の姿が、とにかくかっこよかったんですよ。

その人のようになりたいと思い、自分の生きていく意味は何か考え、

「世界で一番世のため人のためになることがしたい」

と感じ、それができるのは総理大臣だと思ったんですね。
そのためにはまず政治家になる必要があると考え、大学は東大法学部に入学しました。 

これから必要な民間の考え方


大学に入学してからも政治への興味は変わりませんでした。

当時、東大には官僚を輩出するサークルはあったのですが、
他の大学のように政治家を輩出するサークルはありませんでした。

そのため、東大から政治家を輩出する団体を作るべく、
国会議員の先生を呼んだり、議員の方にサポーターの形でついてもらって、
勉強会などを開いたりしていました。

当然、そのまま官僚になろうと思い、国家公務員試験の勉強を始めたんですが、
先輩にアドバイスを頂き、官庁の面接対策のために就職活動も始めることにしたんです。

そこで官僚の方と民間企業の方と、それぞれ100人位の方に会ってみたのですが、
その2者では、思考回路が全く違っていることに気づいたんです。

官僚の方は、社会のためになることを、お金等の制約がなく純粋に追及できることが仕事の魅力だと語り、
一方で民間企業の方は、お金が回る永続的な仕組みを作り、
それを広げていくで社会問題を解決することができると言うんですね。

その思考回路の違いに気づいた時、社会問題を解決していくには、
民間での考え方が必要になる可能性が高いと感じたし、
将来政治家になるのであれば、民間企業での思考を身につけている方が、
自分の存在価値が高まるのではないかと思ったんです。

そのため、官ではなく、民に進もうと決め、内定を得ていた銀行に入社しようと考えていました。

しかしそんな時、クラスで自分が面白いと思っていた何人かの友達が、
有名な会社の内定を蹴ってリクルートという会社を選んだことを知ったんです。

当時はリクルートのことを何も知らなかったので、
どんな会社か知るためにとりあえず社員に会いに行ったのですが、
自分で事業を起こしている人も多く、面白い人や刺激的な人ばかりでしたね。

その人たちの魅力に惹かれ、銀行ではなくリクルートに入社することを決めました。

自分は何をしたらいいのか?


会社に入ってからは、企業の採用・求人に関わる仕事をしていて、
2年目からは、当時最も雇用が多かった場所である名古屋で働くことになりました。

良い仕事を紹介することができていたので、お客さんを幸せにしているという自負があり、
求人企業に対しても貢献できていると誇りを持って仕事していました。

そんな時、リーマンショックが起き、
派遣社員や契約社員だった若者たちが一斉にクビになり、路頭に迷ってしまったんです。

今まで幸せにしてきたと思っていた人たちが、
自分の仕事のせいで最終的にこんな状況になってしまったことに衝撃を受けました。

この状況を見た時に、「若者が未来に希望を持てる社会」を創ろうと決めたんです。

その後、入社3年目になった頃、父親の会社に戻ろうかなとも考え始めたり、
独立してやりたい事業も見えてきたので、退職して次の道に進もうかとも考え始めていました。

しかし、目の前の仕事もやりがいがあったので、どの道を選ぶべきか悩んでいたんです。
そんな時に、ある会社のトップセールスマンが書いた本を読みました。

その本には、著者も色々なことに悩みながらも選択、行動してきたということが書いてあり、
どにように意思決定すべきか相談するため、実際に会いに行ってみたんです。

すると、やりたいことがいくつもあるならば「全てやるべき」とアドバイスいただき、
「とにかくやってみるからこそ、本当にやりたいことが見えてくるのだ」という言葉をもらいました。

この時、考えていることは全て挑戦することに決めたんです。

動いたから得られたもの


まず、名古屋から東京の新規事業部への異動を希望しました。

そこにはアパレルの通信販売を行う新規事業があり、
そこで働くことで、自分が実家の洋服屋を継ぎたいと思っているのか見極められると考えたんです。

希望通り異動が決まり、久しぶりに東京で同期に会えると楽しみにしていました。
しかし東京に戻ると、入社時には60人以上いたグループ会社の同期が10人以下まで減っていたんです。

これもリーマンショックの影響で、名古屋にいた時には社会問題としてとらえていたことが、
自分事の問題に変わった瞬間でした。

また、会社では企業年金の変更も進んでいて、国の年金制度変更も含めて、
年金だけでは老後の生活を保てない事実に気づき、
若者が将来を見据えられない社会に向かって進んでいることを強く実感しましたね。

この頃に、「若者が未来に希望を持てる社会を創る」というミッションが固まりました。

実現するためには教育や政治の力は不可欠だと考えていたので、社外での活動も行っていましたね。
個人事業として中学1年生向けのキャリア支援講座を始めたり、
落選してしまいましたが、政治にも挑戦をしました。

様々な経験をしていき、そろそろ自分のミッションに向けて独立しようかと考えていた時、
「若者の厳しい雇用という社会課題を解決するサービスを立ち上げる人を募集します!」
という緊急社内公募が出たんです。

これは自分がやろうとしていることに近いし、個人でやるより、
会社の資産を利用する方が大きいことができると思ったので、
すぐに手を挙げたんです。

すると、社内の活動だけではなく社外で行っていた個人の活動も評価され、
多くの公募から責任者に選んでもらえたんです。

「やりたいことがいくつもあるならば『全てやるべき』」というアドバイスの意味を実感した瞬間でした。

若者が挑戦する絶対数を増やしていく


そして、若者が働ける社会を作るために「ホンキの就職」という新規事業を立ち上げました。

これにより、ニートや引きこもりの人を支援しているNPO法人などと組み、
既存のサービスでは対応しきれていなかった就職支援を提供しました。

これがどんどん結果に結びつき、2年間で全国に70拠点を構えるほどに拡大できました。

しかし一方で、若者が仕事を見つけても、なぜかその先に明るい未来が描けないという違和感も感じていました。
その理由を考えたときに、日本経済が中長期的に停滞もしくは衰退する将来しか見えないからではないかと考えたんです。

では、30年後、日本経済が成長し続けるためにはどうしたら良いか考えると、
単純ですが、やはり新しい産業を生み出さなければならないという考えに至ったんですよ。

しかし、30年後の成功やヒットなんて誰にも分からないはずで、
そうであれば成功する確度を高めるためには失敗も含めて挑戦・起業の数を増やすべきだと思いました。

そして、どうすれば起業の数を増やせるのか調べていくと、
学生時代に起業している人の方が、統計上、圧倒的に将来も起業しやすいことがが分かりました。

そこで、学生に起業体験の機会を提供するため、
「起業を考える学生向けビジネススクール」という形のサービスを始めることにし、現在の会社を立ち上げたんです。

今後も「若者が未来に希望を持てる社会を創る」というミッションと、
起業家率の向上に全力を注ぐことは変わりません。

今は、メイン事業であるビジネススクールの仕組みをとにかく拡大していきます。

またこのサービスが拡大して学生起業家のプラットフォームになれば、
新しい就職活動の形が生まれるとも考えています。
学生起業家を採用したい企業が学生の事業を買収する、
「M&A採用・就職」という仕組みを作ることができるのではないかと思うんですよね。

企業は優秀な人材を採用できるし、学生にとっても企業の資本を入れて事業を拡大できるので、
win-winの関係を構築できると考えています。
今後もミッション達成に必要なことであれば、政治家でも民間企業でも全て挑戦していくつもりです。

2014.06.25

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