【イベントレポート】Sunday Morning Cafe〜あなたの未来を変える生き方〜ゲスト:田川啓介さん

10/16に開催されたSunday Morning Café。第3回目となった今回は、DeNA Games Tokyoの代表取締役を務める田川啓介さんをゲストにお迎えいたしました。ご参加いただいたみなさま、日曜日の朝早くから足を運んでいただきありがとうございました。簡単ではありますが、イベントの様子をレポートさせていただきます!

当日は秋らしい澄んだ青空が広がり、なんともさわやかな日曜日の朝。会場はおなじみのBook Lab Tokyo。「つくる人を応援する」というコンセプトのカフェを併設した本屋さんです。おしゃれな店内に漂うハンドドリップ・コーヒーのいい香り。店長さんの優しい笑顔に癒されます。



日曜日の朝にも関わらず、早めにいらっしゃる方が多く、イベント開始前から会場には活気が。田川さんによる自己紹介の後、another life.事務局の新條をモデレーターに、トークセッションが始まりました。田川さんは現在DeNA Games Tokyoの代表取締役を務めるかたわら、プライベートでは大学院時代から始めたカヌーを精力的に続け、世界大会にも出場。なんとこのイベント当日の早朝にも朝練をしてきたのだとか……!



幼い頃から野球やサッカーなどスポーツの日々だったそうですが、ベースにあるのは大学4年生まで続けていた競泳。もともとは、病弱だった幼少期に、からだを鍛えるために始めた水泳ですが、持ち前の負けず嫌いを発揮し、どんどんのめり込んだといいます。



“成果を出すこと、勝つことが好き。競泳を最後まで続けていたのも、勝ち負けが分かりやすかったから。環境に依存せず、常に自分との闘い。自己の成長意欲を高めてくれるんです。”


“根源的なところは、両親に大丈夫、元気に生きているよということを言いたくて。途中から勝つこと、賞賛されることの楽しさを感じるようになった。親はもう十分だと言っていたけど、自分は十分じゃないと思っていたんですよね。そこからは、人生の自己実現にシフトしていったかも。”



毎日練習を積みながらも、とりあえずオリンピックを目指す、というぼんやりとした目標しかなかった中学3年の3月。突然呼び出された父親との会話のなかで、自分の人生について改めて見つめなおすきっかけがあったそう。



“何のために競泳でオリンピックを目指しているのか、先生が言ったから、とかじゃなく「お前の人生として聞いているんだから今考えろ」と言われ、結果的に親父に内面を深掘られた。競泳を広めたいし、自分自身、競泳で病弱が治ったから、その体験をみんなにもしてほしい、というのが出てきた。他人の人生になにかしら貢献したい。究極、世界平和を目指してるのか?となったとき、親父が「目指していいんだよ」って言ったんです。「俺も世界平和を目指している。具体的な方法はまだ見つかってないけど、お前も自分の生き方で見つけていけばいい」って。”




その言葉を受けて、回り道をしながらも、模索し続けた自分の人生。軸を競泳に決め、ひたすら練習に打ち込んだ大学時代や、引退して冷静に自分の将来について考えた大学院時代、DeNAに入社するまでの経緯、またその後のステップアップなど、ひとつひとつ丁寧にお話いただきました。これまでの輝かしい経歴やそのストイックな姿勢から、順風満帆に進んできたように思えますが、入社後に経験した仕事での大きな失敗や挫折、ご自身が「黒歴史」と呼ぶエピソードも。




“海外向けのゲームプロデュースで、気合入れすぎて自分の短所が全部出て。チーム崩壊。コミュニケーションがうまくいかなかったのが一番きつかった。”



“リリース直前に、「田川にはついていけない」とメンバーのほとんどが離れていってしまった。それに気づかなくて。見かねたマネージャーによって田川に文句をいう会が開かれたんです。「でも・だって」はダメ、全部受け止めろと言われて。上司のおかげで建て直しを図れたけど、ゲームは売れなかった。チームも解散した。”



今まで関わったことのない分野の人とのコミュニケーションの壁。大きな失敗。入社して一番きつかったという出来事を、一体どのように乗り越えたのでしょうか?



“会社にもメンバーにもとにかく謝るしかないと思い、謝罪プレゼンをしたんです。真摯に謝りました。400人の前で自己分析。会が終わったあと、「田川さんだけが悪いわけじゃないよ」という声をもらえました。そこがスタートになって、自分の足りないところを積み上げていけばいいと思うようになりました。”



そうした経験も踏まえ、ご自身の失敗も欠点も隠すことなく、むしろ冗談を交えながらポジティブに語る田川さん。失敗する度に人に支えられてきた。だからこそ、周りの人の自分に対する意見は、いいものも悪いものも素直に受け入れる。その飾らない言葉とまっすぐな姿勢に、参加者のみなさんも真剣なまなざしを向けていました。


また様々なエピソードから感じるのは、田川さんの人生における家族の存在の大きさ。仕事とカヌーを両立するうえで、今も大切にしている両親からの言葉についても伺いました。



“母が言っていたのは、人の悩みは人にしか解決できないってこと。だから、人に相談し続けなければならないけれど、仕事の悩みは仕事仲間には相談しづらい。そういう時に、カヌーの仲間に相談します。もう一つは、父親に言われたことで、悩んだときの対処療法として、アクションをやめないこと。動いていれば、悩みもある意味では忘れる。カヌーのメンバーと話せば、いい意味で仕事だけが全てじゃないと思える。仕事は人生の中の一部。そう考えると、悩みが小さくなる。”



仕事だけでなく、複数のコミュニティに属することで自分を客体化する。うまくバランスをとりながら、仕事がどんなにつらくてもカヌーは続けると語る田川さん。そんな田川さんの「今後やりたいこと」は、大きなビジョンを持って活躍する同志を見つけて支援すること。その名も「ビッグビジョンプロジェクト」。分野を超えてチャレンジしている同志とコラボレーションし、渋谷から世界に熱を広げていきたいということです。




トークセッションを終え、参加者の方々からの質問タイムがスタート。負けず嫌いと熱しやすくさめやすい部分とのバランスのとり方や、田川さんが考える今の組織の課題と今後の展望についてお聞きし、最後に全員で写真撮影をしてイベントはおひらきに。その後の交流会も含め、ぎゅっと濃縮された学びの多い2時間となりました。



これまでに何度か開催しているanother life.のイベントですが、今回はいつもに増してノートとペンを手にたくさんメモを取る参加者のみなさんの姿が多く見受けられ、「学びとる」、「吸収する」という熱意を強く感じました。あらためまして、お越しくださったみなさま、田川さん、会場をお貸し下さったBook Lab Tokyoのみなさま、ありがとうございました。



another life.では、”Sunday Morning Cafe”と題して、今後も日曜の朝に「未来をつくる会」を月1回程度開催してまいります。ぜひご期待ください。

2016.11.15