住民が積極的にまちに関わる仕組みづくりを。
官民を繋ぎ、アイディアを形にする。

横尾 俊成さん/港区議会議員

地域活動に携わる中で、住民がまちづくりに積極的に関わる仕組みをつくりたいと考えるようになった横尾さん。港区議会議員になり住民とともに動く中で見えてきた、議員としての役割、新たに描く未来とは。お話を伺いました。

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住む人が積極的に関わるまちを

議員になってからやりたいと思っていたことは、住民が積極的に参加する地域づくりでした。住民同士がつながり、普段から楽しくコミュニケーションが取れて、震災などの非常時には助け合える。そんな地域社会を目指し、住む人に積極的にまちに関わってもらえる仕組みを作ろうと考えたんです。

そう思うようになったきっかけは、会社員時代にはじめたグリーンバードというNPOで赤坂のゴミ拾い活動をしていた時、タバコの啓発委員をしているおじさんから「ここは私たちがやっているので、拾わなくていいですよ」と言われたことです。その言葉を聞いてびっくりしたんですよね。

僕たちのNPOに参加している人たちは楽しくゴミ拾いをしていましたし、それが地域の人とも繋がるきっかけになっていました。また、ゴミ拾いをするとゴミの問題だけでなく、まち全体や、政治にも関心が出てくる。身の回りのことをちょっと良くする活動は、自分の住むまちや政治、理想の未来について考える気づきの場でもあったんです。

それなのに、その機会が奪われそうになっている。しかもそこには税金が使われている。行政は仕事を負担しすぎているし、それによって、住民の楽しみや交流、気づきを生むはずだった機会が失われているかもしれないと感じたんです。

そこで、港区議会議員選挙に立候補し、議員として行政がやっている仕事を民間に切り出そうと思いました。楽しく、無理なくできることは住民自らが行う形を作ることで、地域がより良いものになるはずだと。

議員になってまず行ったのは、公園を変える提案でした。行政が管理している公園は、「子どもが怪我をしたら責任が取れない」「近隣住民からうるさいと苦情がくる」などの理由から遊具がなくなり、ボール遊びもできない状態でした。

そこで、先駆的な公園づくりをしているNPOに話を聞きに行き、それをもとに、さまざまな禁止事項を無くして、各自が責任を持って自由に遊べる場をつくるべきだと港区に提案しました。地域の組織に運営いただいている遊び場には、「プレイリーダー」という子どもを見守る大人がいます。公園の近所に住む子育てに関心のある大人に関わってもらうことで、本人も楽しく、子どもたちも自由に遊べる、地域全体にとって良い形となっています。地域の大人と子どもたちの出会い、交流が醍醐味でもある遊び場です。

行政が過剰に関与しなくても、住民が自分たちで楽しく手間をかけて、子どもを育てる。クレームがなくなり、子どもが元気に走り回る公園を取り戻すことができました。

多くの意見を取り入れ、実装できる行政へ

他にも、地元住民に参加してもらって、赤坂のオフィスビルの屋上でみつばちを飼育したり、音楽ライブと一泊二日の宿泊体験を組み合わせたイベント型の楽しい防災訓練をしたり、子育て中のお母さんに一日ゆっくり休んでもらうためのイベントを開催したりと、住民にまちへ関わってもらうためのいろいろな取り組みをしました。

活動を続けるうちにだんだんと、NPOでの活動をやっている時にはわからなかった、議員だからこそできることが見えてきました。

NPOやボランティアだけでは、できることに限界があります。しかし行政と連携することで、たとえば道路の使用許可が出たり補助金の交付を受けられたりするなど、できることが広がるのです。行政と民間、両方の事情がわかる議員だからこそ、間に入って客観的に官民連携を進めることができると思いました。

そこで、まちに住む人が何かをしたいと思った時に、行政にアプローチできる仕組みや制度づくりに力を入れるようになりました。

例えば、幅広い住民の声を集め、それを政策やプロジェクトにし、まちの問題を解消するワークショップを定期的に開催するようにしました。行政も民間も関係なく港区に関わる人たちが集まって、まちをより良くするアイディアを出し合い、政策やプロジェクトにして実行します。これによって幅広い層の意見を吸い上げることができ、結果として自転車シェアリングやフリーWi-fiの設置などの新しいアイディアを提案し、実現することができました。

住民も、自分の意見をきちんと発言していれば、それが政策に反映されているのかわかるので、行政や議会が良いか悪いかの判断基準が持てますよね。結果として、自分の理想のまちを自分たちの手でつくることができるだけでなく、選挙の投票率も改善されるのではないかと思っています。

ほかにも、民間から行政に働きかけるにはどうすればいいか、議員になってわかった行政の都合ややり方などを踏まえながら話を通す方法を、体系化しようとしています。

港区から、世界に誇れる都市モデルを生み出す

今は、港区議会議員として2期目の終わりを迎えています。

個人的には、議会にずっと同じ人がとどまるのはよくないと思っています。議会に求められるのは、行政を改善する機能。そのためには、マイノリティの意見やこれまで行政の施策に十分に意見が反映されてこなかった方々の声に耳を傾け、新鮮な目線を持つことが必要ですが、長く議員を続けると、行政と目線が同じになり組織にハマってしまうと思うんですよね。

私自身、議員をどこまで続けられるかわからないので、たとえ自分がいなくなった後も、住民がまちづくりに積極的に関わる状態が継続するよう、次の4年では、これまで得た知見をナレッジ化すること、また条例や制度をつくることに力を入れていきたいと思っています。最近では大学院に通って、行政へのアプローチ方法、住民が積極的にまちづくりに参加できるようにするノウハウの体系化、制度化を目指しています。

議員として活動をすればするほど、まちを歩けば歩くほど、いろいろな問題が見つかるんです。見つけてしまったら、なんとかしないわけにはいかないですよね。だから一通りそれらを解決するための仕組みをつくることができるまで、議員として、自分にできることをしていきたいと思います。

今後は、港区というまちから、日本だけではなく、世界の都市のモデルとなるような事例を作っていきたいです。今の日本には、地方創生と同じくらい、新たな都市モデルをどうやってつくっていくかが重要です。世界にも先行事例がない中で、少子高齢化に対応した経済的にも豊かで、住む人の新しい生き方を実現できるモデルを作りたいと思っています。

港区は、大手企業が多く税収も豊富なため、他の都市ではやらないようなチャレンジができると思うんですよね。ここから、世界に発信できる都市モデルを作っていきたいと思います。

作成日:2019年03月29日

横尾 俊成/港区議会議員

早稲田大学大学院を修了後、株式会社博報堂に入社。退社後、港区議会議員(無所属)として、議会運営委員会副委員長、まちづくり・子育て等対策特別委員長、建設常任委員、保健福祉常任委員、東京オリンピック・パラリンピック対策特別委員などを歴任。2011年と2015年に、マニフェスト大賞を受賞した。認定NPO法人グリーンバード代表。著書に、『「社会を変える」のはじめかた』、『18歳からの選択 社会に出る前に考えておきたい20のこと』がある。最新の政策集は、『港区をもっとよくする20のアイディア』を参照。

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