悩みを抱える人たちの「居場所」をつくる。
夢だった自分の店を閉めての再スタート。

「友達として相談にのる」がコンセプトの無料相談サービスを運営する大薗さん。 大学卒業後、ITベンチャーへの就職、カフェの開業を経験した大薗さんが、 悩んでいる人の居場所を作ろうと考えるまでにはどのような背景があったのでしょうか?

大薗 翔

おおぞの しょう|無料悩み相談&掲示板サービス運営
「友達として相談にのる」がコンセプトの無料相談サイト「ココトモ」、
過食に悩む女性のためのコミュニティサイト「集え!過食女子」の運営を行う他、
個人でも相談活動を行い、年間5,000人以上の悩みに触れる経験を生かして
「悩みを抱える人たちの居場所づくり」を行っている。

ココトモ
集え!過食女子
個人のweb制作サイト「ツクリバ」
「自分と誰かのためのあたたかい居場所づくり」STORY

欲求を出し切ると、やりたいことがみつかる


僕は横浜に生まれ、小学生になってからは広島で育ちました。
子供の頃からゲームがとても好きで、暇さえあれば遊んでいました。
あまり家族で旅行に行くような機会もなく、一人で遊んでいる時間が長かったんです。

そんな影響もあり、中学高校とゲームセンターに通うようになり、
大学も家から近く、ゲーセンが近くにあり、IT系について学べる学部がある学校に進学を決めました。
特別興味があることも無かったので、理系の自分が得意なこと、
加えて、新設学部だったこともあり、入学を決めたような感じでした。

入学後は、テニスサークルに入ったり、バイトをしたり、ゲームセンターに通ったり、
所謂普通の大学生でした。
しかし、大学3年生になり、いざ就活の時期を迎えると、
自分と同じように見えていた周りの学生が、意外と将来の方向性が決まっていることに焦りを感じるようになり、
僕自身、初めて自分の人生を真剣に考えるようになりました。

そして、悩んだ結果、本屋にたどり着き、
『本当にやりたいこと、見つかった?』という本に出会ったんです。

その中には、「得意なことの中でやりたいことを考えると自分の能力に縛られてしまう」ということや、
「本当にやりたいことは、もし自分が何でもできるなら…そう考えた先に出てくる」
というようなことが書かれていました。

そこで、物は試しとA4ノートに欲求を思いっきり書き出してみたんです。
すると、本当に自分のやりたいことが出てきたんですね。
まずは自分の欲が出て来て、その次に、不思議と他の人のための行動が出てきました。

僕が書き出したやりたいことは、大きく3つありました。

1つは、既存にない、もっと面白いゲームが作りたいということ。
色々なゲームに触れる中で、自分ならもっと面白いものを作れるような自信があったんです。

そして、2つ目は、自分のお店を作りたいということ。
元々、家族との思い出が薄かったこともあり、「家みたいな場所」が欲しいと思っていたんです。
「ただいま!おかえり!」と言い合えるような空間を作りたいと思ったんですよね。

最後は、1対1で人に相談するようなことがしたい、ということでした。
僕自身、集団で人と関わることが苦手で、変にプライドが高い部分があったものの、
人と関わることを欲していたのかもしれません。

こんな風に自分のしたいことが出て来た時はすごく嬉しかったですね。
「やりたいことあるじゃん!」という感じでした。

そこで、洗い出した結果を参考にゲームを作る専門学校に通うようになり、
自分の考えたものを形にすることが喜びなんだと気づき、
企画・開発両方に携われるような仕事をしようと考えるようになりました。

そこで、インターンを通じて魅力を感じ、
それらの軸に当てはまっていた株式会社ワークスアプリケーションズに入社を決めました。

自分の店を作るという夢の実現


実際に入社してからは、企業の勤怠管理システムの部署に配属されました。
そこでは、自ら機能を考え、開発まで行うことができ、自分のペースで仕事をさせてもらえることもあり、
仕事は非常に楽しかったですね。
ただ、個人作業ベースの仕事のため、横の繋がりはあまり強くなく、
そこには、やや物足りなさを感じていました。

また、社会人になってからも、大学時代の友人とは定期的に飲みに行っていました。
元々、数年経ったら自分の店を持ちたいと考えていたこともあり、
「自分のお店を作りたい」という話を、友人にしていたんです。

すると、他の友人5人も一緒にやりたいと声をかけてくれたんです。
それ以来、定期的にどういうお店にしようかを会議をするようになりました。
といっても、会議と称した飲み会で、将来のことを語り合うような感じでしたね。

ところが、社会人2年目になったある時、知人からお店を開く際に出資をしてくれるという話をいただいたんです。
店のコンセプトに共感してくれたということで、すごく嬉しかったですね。

それ以来、店を作る夢が一気に現実味を増し、
その後半年くらいかけて、店のコンセプトなど具体的な話を詰めていました。

しかし、そんな矢先、急きょ出資の話が無くなってしまったんです。
愕然とし、このまま独立すべきか、仕事を続けるべきか思い悩む日々を過ごしました。

そして1週間考えた結果、例え自分一人になってもお店を開きたいという思いが固まりました。
家みたいな場所を作りたいという思いは、自分の中でとても強くなっており、
もう、会社に戻ることはできないという感覚があったんです。

そこで、一緒に準備をしてくれた仲間に話を伝えると、
1人の仲間が残ってくれ、結局2人で高円寺にカフェをオープンすることに決めました。
元々の想定より小さな規模でしたが、ただ何かを提供するのではなくて、その場自体が温かい場所で、
いつでもみんなが帰ってこれるフレンドリーな空間にしたい、という思いを抱えてスタートを切りました。

完成した理想の場所に、自分はいない


ところが、実際に店を始めても、お客さんはびっくりするほど来ませんでした。
自ら責任を持って始めたので、誰のせいにも出来ず、悔しくて何度も涙を流しました。

また、お店の経営的にも、2週間でつぶれるというところまで来てしまい、
追いつめられてからは、売上をなんとかしなくてはと、ひたすら経営書を読み始めるようになりました。
自らの無知さを反省する毎日でしたね。

それでも、なんとか業績自体は持ち直し、2年目に黒字に転換をすることができました。
そして、それからは順調に軌道に乗っていき、3年目には僕がいなくても店が周る状態に至ることができたんです。

そうして、少し余裕が出来て立ち止まってみると、
お客さんと友達になれるようなお店、人から求められるような場所は確かに実現できていました。
しかし、気づけば、そこに僕はいなかったんです。
売上や経営のことばかり考えていた僕は、お客さんとの接点も少なくて、
家族のような関係性を築いていたのは僕以外のスタッフだったんですよね。

そこで、改めて自分がしたかったことを考えてみました。
すると、純粋に「自分の居場所が欲しかったこと」を思い出し、
目指していた場所と違う場所へたどりついてしまったっことに気づいたんです。
それからは、段々と仕事へのモチベーションが保てなくなっていきました。

経営に専念して売上を伸ばし、店舗数を増やしていこうと周りに見せている自分と、
自分の居場所が欲しかったことに気付いた自分のズレが日々大きくなり、
次第に仕事が手につかなくなりました。

そしてついにそのギャップを抱えきれなくなり、周りに打ち明けたものの、
自分の居場所が欲しくて作ったお店の常連たちからも「やると言ったことをやらなかった責任」を追求されて責められてしまいました。

すると、次第にお店に行くことも人と関わることも怖くなり、
仕事・夢・人間関係すべての自信を失い、4年経ったタイミングでお店を閉めることにしました。

そんな状況に置かれましたが、一緒にお店を始めた友人だけは何があってもずっと味方でいてくれたんです。
本当に、そのおかげで救われた面が大きかったですね。
お店を閉めてからは、その友人以外の誰とも関わることのほとんどない半ひきこもり生活になりました。

何かしていないといけない、という感覚はあり、熱中するものを探すのですが、
本を読んでも、インターネットで調べものをしていても、
あれだけ好きだったゲームでさえ、全く面白く感じなくなってしまったんです。

自分が好きなことを通じて人が喜んでくれた経験をしていたからこそ、
もう自分だけが楽しむゲームでは満たされなくなっていたんですね。

悩んだ人が受け止めてもらえる場所


そこで、改めて自分が好きで、人が喜ぶものを探そうと考えるようになりました。
そして思い浮かんだのは、お店の立ち上げから閉店までずっと支えてくれた友人の存在でした。
人に相談することをしてこなかった僕の話を聞いてくれていたことで、
自分自身少しでも救われたことが印象に残っていたんです。

同時に、インターネットで色々と探しているうちに、
自分と同じように悩んでいる人はいるものの、時に掲示板などで厳しい意見を突き付けられ、
傷ついている人を見かけることもあったんです。

そこで、次第に悩んだ人が誹謗中傷されずに受け止めてもらえる場所があったらいいな、
と考えるようになりました。
僕自身、お店が終わってからも一人の友人に支えられていましたし、
この活動であれば、自分の経験を活かすことが出来ると思ったんです。

「こんな過去が無かったらよかった」

と思わないようになるんじゃないかと感じたんですよね。

過去の自分と照らし合わせて作る、悩める人の居場所


そうして、2年弱のひきこもり生活を終えた29歳の僕は、
「友達として相談にのる」というコンセプトでWEBサービスを立ち上げることにしました。

自分も病んでいた時に、人に話を聞いてもらうと気持ちが軽くなる経験をしたので、
心療内科よりもっと気軽に、同じような経験をした人同士で、気持ちをシェアできる場所を創ろうと思ったんです。
そういう意味では、かつての自分をターゲットにサービスを作っていきました。

そして、2013年3月に「ココトモ」という名前で、
掲示板やメールで悩みを相談できるサービスをリリースしました。

実際にサービスを開始してみると、10代・20代の方を中心に、
予想以上のユーザーにサイトを訪れてもらうことができました。
サイト内では、恋愛や人間関係の悩みを中心に数多くの相談がされています。

また、メールのやりとりをするボランティアは180人を超え、
運営のスタッフ自体も増えていきました。

そして、直近では、WEB上だけでなくリアルの場での交流も始めるようになりました。
元々、ボランティアスタッフ間もWEB上でのやりとりを中心としており、
僕自身、過去の経験から、人と直接会うことに怖さを感じていました。

しかし、ある時、一歩踏み出して、メンバーを集めた会を開いてみると、
今まで会ったことがないくらい暖かい人達だったんです。
そこで話をしていく中で、自分でもなんだか新しい自信を得られたような感覚もありました。
何より、みんなでサービスを運営していこうという気持ちがとても強くなったんです。

そこで、自らの経験からも、リアルの場で接点を設ける仕組みを作ることに決め、
参加者同士で、過去や悩みを含めてお互いの人生を聴き合う場を創りはじめました。
もともと話すのが苦手な人も多いのですが、話をして認められる経験により、
変化していく点もあると思うんです。
今後は、少しずつリアルの場を増やしていこうと考えています。

今後は、自分自身が乗り越えて来た課題のステップをもとに、
悩んでいる人が一歩ずつ前に進んでいけるような仕組みを作っていきたいと考えています。

まずは人と関わるのが怖いというところから脱するための、WEB上の悩み相談、
そして、リアルの環境で、居場所がほしいということを満たす場作り、
最後に、仲間と何かしたいという思いを実現できる仕組み。

そんな風に、これからも、誰かが悩んだ時の居場所を作っていきたいですね。
意識していませんでしたが、気づけば就職活動で考えていた3つ目の夢も叶えることができていることにも気づきました。

自分自身のコンプレックスに加え、辛い時期を支えてくた友人への感謝の思いから、
自分のやりたいことが出来ているような気がするので、
これからも、仲間と夢を叶えていきたいですね。

2015.03.24

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