仕事は忙しかったです。朝9時から深夜まで神戸市内の病院を営業して回り続けるんです。それでも、お客さんの先にいる患者さんのために働いていると思うと、やりがいを感じられました。自分が使って欲しいと思っている医療機器が、病院で新たに導入されることが決まった時は、いつも本当に嬉しかったですね。

ただ、3年目を迎える頃には、仕事に違和感を覚えることも多くなってきました。メーカーとして、時にはトラブルがあった機器も勧めないといけません。患者さんのために最適な機器を使ってもらいたいのに、それが提案できないときは心苦しかったですね。

また、ある病院では、患者さんのことは全く考えずに、自分たちの都合ばかり押し付けられました。こんな人たちのために私は働くのかと、落ち込むこともありました。人のために働くという理想とのギャップに悩み、転職を考えるようになりました。

仕事がどんどん溜まって長時間勤務が続き、休日もお客さんからの電話やメールが気になって仕方がない。ワークライフバランスを取るために奮闘しましたが、改善しませんでした。

このまま同じ職種で転職をしても、結局は同じ働き方になってしまうんじゃないか。それなら、ライフスタイルを180度変えて、全く違うことをしようと考えました。

自分の生き方を大きく変えるために、海外でワーキングホリデーをするアイデアが浮かびました。ただ、ワーホリの期間中は楽しくても、日本に帰ってきてから何をしたらいいのか。その後日本で仕事に就けずに苦労する人が多いと聞いていたので、海外に行くのはやめようと思いました。

じゃあ海外にまで行かなくても、日本でワーキングホリデーのようなことはできないだろうかと考えました。都会での仕事中心の暮らしから離れて、全く違う環境で、のんびりとした暮らしを体験したい。人と人の距離が近いところで暮らしたい。そう思って、離島や地方の村での暮らしをリサーチしました。

そんな時に、伊豆諸島の三宅島での暮らし体験イベントを発見しました。他に移住体験を募集している地域はほとんどありませんでした。島の暮らしを知る数少ないチャンスだと思って、参加することにしたんです。