ベンチャーに出逢い、レールを作る生き方へ。全ての人が全てのベンチャーを知るために。

課題を抱え困っている人と、課題解決に取り組むベンチャーを繋ぐ納富さん。もともとは会計士でしたが、ベンチャーとの出逢いを機に、自らレールを作る生き方に進んでいきます。納富さんを動かしたベンチャーの魅力とは。お話を伺いました。

納富 隼平

のうとみ じゅんぺい|ベンチャー支援
1987年生まれ。2009年明治大学経営学部卒、2011年早稲田大学大学院会計研究科修了。在学中公認会計士試験合格。大手監査法人で大手電機メーカーを中心に会計監査に携わった後、トーマツベンチャーサポート株式会社に参画し、ベンチャー支援に従事。毎週開催ピッチイベントMorning Pitchをはじめ、300超のピッチ・ベンチャーイベントをプロデュース。2017年に独立して合同会社pilot boatを設立。現在もBtoCベンチャープレゼンイベント「sprout」、ベンチャーHow to紹介イベント「faces」を主催する。得意分野はFashionTechをはじめとするライフスタイル系BtoCサービス。 2016年NHK「日本のジレンマ」出演。 2017年よりASCII STARTUPでBtoCベンチャーのコラムを連載中。

【2017年10月12日イベント登壇!】another life. Future Life Style 〜新しい時代の生き方 #4 「自らレールを作る」〜

納得できないと先に進めない


神奈川県横須賀市で生まれました。弟が1人います。興味があることをなんでもやらせてくれる両親だったので、やりたいことに片っ端から手を出しましたね。

中学に入学して、始めは帰宅部だったんですが、2ヶ月ほど経った時、友達に誘われてバドミントン部に入部しました。そこから部活部活の日々でしたね。一方で、勉強も得意で真面目な優等生でした。公民が好きでした。

中学3年の時には、生徒会長に立候補し、当選しました。目立ちたがり屋で、前に立つことが好きでした。

進学校に進み、高校ではそのままバドミントンを続けました。相変わらず政治経済は得意でした。反対に、化学が苦手でしたね。化学って意味わかんないことが何個かあって。酸素の元素記号ってOじゃないですか。2つくっつくと酸素になって、3つくっつくとオゾンになりますよね。多分オゾンのほうが重いじゃないですか。でも酸素よりオゾンの方が上にあるらしいんですよ。意味わかんなくないですか?後からこの疑問は解決したのですが、自分の中でピンとこないと、先に進めないクセがあるんです。それに比べて、社会のメカニズムはシンプルなんですよね。困ってるから法律作った方がいいよね、みたいな。社会の方がわかりやすかったです。

将来については何も考えていませんでした。大企業へ就職するんだろうなくらいでしたね。大学の学部については、経営学部を選びました。政治と経済を分解して考えた時、経営に興味があったんです。本を読んで、世の中に影響を及ぼしているのは、大企業のトップの方々だったので、経営者になりたいと思いました。

経営者になるために必要なこと


大学はバイトと、バドミントンのコーチに時間を割いていました。母校に声をかけられて、3年コーチをやりましたね。大学にはあまり行ってませんでした。大学生活に期待して入学したんですけど、テキスト見れば内容はわかるし、真面目さが報われないという印象でした。楽しいのはゼミだけでしたね。

卒業後のことを考えた時、経営者への興味は変わっていませんでしたが、お金のことがわかんないと、ちょっと怖いなって思ったんです。経営するにしても、貸借対照表がどうのとか損益計算書がどうだとか、よくわかんないっていうのもよろしくないだろうなって。そこで、会計に一番詳しい会計士に短期的になろうと、大学院に進んで、会計の勉強をすることにしました。

大学院の成績も良かったですね。多分、人から見ると努力してるように見えたんでしょうけど、自分がやってることを努力と思わない節があって。10時間か、12時間勉強してたと思うんですけど、ゲーム好きな人がゲームやってるのと同じ感覚ですね。何時間でも没頭できるんです。

大学院2年生の時、会計士の試験に合格しました。一般的に、会計士の資格を取ると、監査法人に行く人が9割なんですよ。それで卒業後は、監査法人への就職を決めました。最終的に大手4社を受けて、唯一受かった監査法人に就職しました。

ベンチャーとの偶発的な出会い


監査法人での仕事は楽しかったですよ。知らなかった会社のシステムやビジネスを俯瞰して見ることができました。

監査法人に入社する前に、東日本大震災が起きました。求めていた情報がテレビにはなく、Twitterを勧められて、使い始めました。

面白かったですね。震災の余波が落ち着いてもTwitterは使い続けてて、そこには今まで知らなかったベンチャー企業や起業家の情報があって、彼らは魅力的なイベントを開催していました。

中でもよく見ていたのは、参加型のオンライン動画学習サイトで、ベンチャーの人たちが動画で1時間ぐらい講義するサービスなんです。あれって60分の授業だったら40分講義で20分質疑応答なんですよ。ある日、孫泰蔵さんが出てらして。ある種、芸能人っていうか別の世界の人だという印象でした。

孫さんの授業を受けて、なにか質問したんですよね。そしたら返してくれて。好きな芸能人とお話できたみたいな感じですよね。しかも、ライブに行って話せましたとか、願ってやったものじゃなくて、偶然ですよね。街中歩いてたら女優さんが歩いてたみたいな感じですよね。それにエキサイトしちゃって、興奮っていうか。それまでパソコンも全然わかんなかったし、エクセルも使えなかったんですけど、インターネットすげーみたいな。

それでベンチャーについて調べたり、ベンチャー企業の社長が登壇するイベントに参加したりしました。イベントには、面白い起業家がわっさわさいるわけですよ。今まで、企業っていうと、東証一部の、しかもBtoCのとこしか知らないわけなんですが、イベントには、あなた方どこにいらっしゃったんですか、みたいな方が出ていました。

それまで自分はある種決まったことをやってた訳ですよね。勉強もそうだし、会計士の試験もそうだし。監査も誤解を恐れず言えば、今までになかった全く新しいことをやるっていう仕事ではなくて。

レールの上を走ってるみたいな生き方してきたし、仕事してたわけですけど、その人たちは自分でレール作ってるし、インターネットで新しいことバンバンやっていたんです。ちょっと別次元の人たちですよね。


次第に彼らに惹かれていき、ベンチャーで働こうかなと思いました。会計士として3年働いたし、キリがよかったというのもあります。

その頃、会計士の業界内でベンチャーの勉強会が行われていました。ある時、トーマツベンチャーサポートの方が来て、ベンチャーとはなんぞやとかどんなサポートをしているのかについて、講演をしたんです。

それで気がついたんですが、僕はベンチャー企業に関心があったわけではないんですよね。興味関心の矛先は、面白いものがいっぱい世の中にはあるってことなんです。1つの会社に行ってそこのことだけをやるより、色々なベンチャーと幅広く触れ合えるほうがいいなと思いました。それでベンチャーサポートに興味が湧きました。

会計事務所のグループ企業ということで働くイメージが持てたのも大きいですね。トーマツベンチャーサポートへの転職を決めました。

最初はきつかったですね。成長を支援してほしい企業を発掘するのですが、見つけ方がわからなかったんです。目立っているベンチャーはすでにメディアに取り上げられていたので、そこに至らないベンチャーってどうやって探すんだろうと悩みました。でも楽しかったんで、あんまり辛さは感じなかったですね。

ベンチャーと課題を抱えた人を繋ぐ


会社でベンチャー支援のイベントを開催していて、あるときから責任者になりました。毎週開催することが決まっている程度で、あとは自由にやらせてもらいました。

ベンチャーって、課題を解決してる人たちなんで、いいことしてる人たちなんです。で、課題があるってことは困ってる人達がいるわけで。困ってる人が、課題解決してる人を知らなきゃいけないと思いました。調べられない、出会えないわけですよね。それってすごい社会の機会損失だなと思って。ベンチャーを知ってもらうことは日本が幸せになる。そんな思いで、イベントを企画しました。

ベンチャーの方が困っていることのひとつって露出とかPRなんですよね。なのでサービスを始めたばかりのベンチャーとユーザーを繋いだらいいんじゃないかと考えてイベントを開催、その次は人材を採用したいベンチャーと転職したい人を繋ごうと別のイベントを開催しました。

たくさんのベンチャーと話していると、大体同じこと言ってるケースがあるんですよね。多分それって業界共通の課題なんですよ。なので、そこを解決するのにどうしたらいいのかって考えて、イベントやコンテンツを企画して、運営しました。

ですが、責任者としてイベントを開催するうちに、会社として実施することやできることの限界を感じるようになりました。外に出た方がやりやすいのではないかと思いました。

そのためには、独立が一番いいと思いました。同じ業種への転職は考えませんでした。なぜなら、今の会社と同じようなことをしている会社は世界中探しても他にないからです。

自分の周りは幸せでいてほしい


現在は合同会社pilot boatで、ベンチャー支援を軸に活動しています。イベントやポッドキャスト、ブログなどを通じて情報発信をして、色んな人に様々なベンチャーを知ってもらう機会を作ろうという感じですね。

知ってもらうことで、自分の周りの人に幸せになっといてほしいんですよね。目に見える範囲でいいんです。知り合いのベンチャー起業家がいいことやってんだから、それを周りに知ってもらいたいぐらいにしか思ってないですね。だから、僕ベンチャー支援がしたいって、ほんとは語弊があって。いいことやってる知り合いを、もっとみんなに知って欲しいって思っています。


ユーザーには、仕事としてではなく、個人の課題を解決する手段としてベンチャーを知ってもらいたいですね。興味とか関心からしか人は動かないと思っています。感覚は、美味しいカフェを教えてくださいっていうのと一緒です。でもカフェだったら既知のものなので、探せるじゃないですか。ベンチャーは、まだ探し方が確立されてないんですよね。

なので、イベントなどで発信することで、ユーザーと面白いベンチャーが、偶発的に出会ってくれたらと思っています。全ての人間が全てのベンチャーを知るべきだと思ってるんで。

将来のことについては、ほんとなんにも考えてないんすよ。ばくっと、こうなったらいいなぐらいで。だって、ベンチャーなんて、5年ぐらい前まで知らなかったわけですよ。まさか会社辞めてベンチャー支援しようなんて、少なくとも5年前の時点では全く思ってないわけですよね。バドミントンもそうで、偶然やったら向こう10年くらいやってるんです。

なので、あんまり考えてもしょうがないかなって。結構、運命信じてる派なんですよ。それが必然なら向こうからやってくるっていうか。ぶつかったものが運命だみたいなところがあるんで、あんまり考えてもしゃあないかなって思っています。

2017.08.28

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