自分の人生で何をすべきか考えている頃、民間と交流を深める中で社会起業家の方たちと出会う機会が増えました。彼らは、本当だったら公が解決しなければいけない課題を、自らの意志でリスクを背負ってまで取り組んでいました。尊敬を抱いたのと同時に、彼らのように人生をかけるものがほしいなと思いました。仕事では総務省で約50年ぶりの会計制度改革を担当させてもらっていて、やりがいを感じていました。それでも、自分はどこに向かいたいのかわからない日々が続きました。

2年くらい悩んだある日、ふと足元を見たら前に進んでいない自分に気がついたんです。仕事は精一杯やってたけど、でもなんか頭のなかでは悶々としてて。何かを探し続けて2年が経ってて。気づいたら、頭のなかで気持ちよくなってただけで、何も世の中に生み出してない。この想いをプラスにできてねえじゃんって思って。だから、そっからもう「やめよう」って思ったんです。頭のなかで考えてても何も変わらないって。それを受け入れたって感じです。

受け入れたら、むっちゃ開けてきたんですよね。たぶん、一生懸命理屈を整理しようとしてたんです。でも、理屈は誰かを説得して動いてもらうために必要でも、自分を動かすために必要なわけじゃないなっていうのに気づいて。だったら、動かせる自分を、自分が思いつくままにやってみようと。そうしたら次にやりたいことが出てくるんですよ。さらに次ってどんどん生まれていって。思いつくってことは、自分の中に、「言葉にはできないけれど何か感じてるもの」があるんですよね。だから、その自分の感覚っていうのを大事にしようって思って。それを続けて、死ぬ前に振り返ってみて「あ、俺こういう人生だったんだな」って思える人生も、それはそれでなんかハッピーなんじゃないかなって。

そんな想いから、仕事とは別で、全国の公務員を集める交流会を開催し始めました。もともと、周りの若手公務員と働く中で違和感があったんです。今後地方の中枢で働く、いわばエースである彼らが、たいした休みもなく、気合と根性で仕事をやり遂げている。でも、彼らにとって今必要なことは、課題を我がこととして捉え、どういう人たちと解決していくべきか考えること、色々な人との繋がりを作ることなんじゃないかって。とはいえ、勉強会に顔を出さない公務員に対して僕ができることはなんだろうって考えたら、飲み会だって。そんなきっかけでイベントを「よんなな会」と名付けて、公務員を中心とした大規模な交流会として開催するようになりました。