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身体の痛みで困っている人を治してあげたい。
理学療法士として歩む、身体探求の路。

辻井 洋一郎さん/理学療法士・マイオセラピスト

はてぶ

「マイオセラピー」という独自の治療法を用いてリハビリテーションを行う、理学療法士の辻井さん。自ら新しい治療法を生み出すに至った背景とは。リハビリテーションの世界に入って50年間の歩みに迫りました。

周りに溶け込めない子供

三重県松阪市で生まれました。父は、太平洋戦争の無謀な作戦で有名なインパール作戦の生き残りで、僕の名前、洋一郎の「洋」は、太平洋の「洋」から取ったものだそうです。


小さい頃から、周りの人に溶け込めないのが悩みでした。今でも覚えているのは、小学校の音楽の授業での出来事です。先生が『野ばら』という曲を、二つのパターンで弾いてくれました。ひとつはシューベルト編曲のアップテンポな曲調で、もうひとつはヴェルナーのゆったりとした重たい雰囲気の曲調でした。


「みんなはどっちが好きかな」と聞かれた時、みんなはゆったりとしたテンポの方に手を挙げていたんですが、僕はアップテンポな曲調の方に手を挙げました。そしたら、シューベルトの方に挙手したのは僕だけで、挙句の果てに、音楽教師から「シューベルトなんかダメだよね」と言われてしまったんです。完全否定。この時、自分はおかしいんだなって、強烈に思いました。


それ以外のシーンでも、ありとあらゆることで周りと感じ方や考え方が違う。いくら努力してもみんなと同じようにはできない。集団行動も苦手。なんでダメなのか、理由は全く分かりません。中学生時代には社会のせいだと考え、家を飛び出すようなこともありましたが、基本的には「自分の努力が足りないからだ」と思っていましたね。自分の努力次第で周りと馴染めるようになるのではないかと思っていました。そうして何にでも愚直に取り組むようになった性格は、今も変わりません。


最近分かったのですが、僕はどうやら自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)らしいです。アスペルガー症候群は学習障がいのひとつで、コミュニケーション能力や社会性、想像力が乏しく、対人関係がうまくいきづらい障がいです。明確な原因は現在も分かっていないのですが、脳の機能障がいと考えられています。


それを知って、だいぶ楽になりましたね。他人の気持ちに共感できなかったり、人に合わせることが苦手だった理由は、脳の機能障がいなんですから。努力の問題じゃなかったんです。長年苛まされた、人の気持がとっさには分かりづらいのは、「自分の努力が足りないからだ」という悩みなどから、やっと解放されたように思います。と同時に、脳の機能障がいを自覚し、それについての新たな悩みがでてきたことも事実です。

僕が没頭してきたもの