就職先は、大学時代スポーツクラブの受付をしていたこともあって接客業をしたいなと思っていました。そんな時にウェディングプランナーという仕事を初めて知って「これしかない!」と思い第一志望に、晴れて大手ウェディング会社へ入社しました。

最初の職場は横浜の式場。早く一人前になりたくて、研修に没頭しましたが、アシスタントを務める中で、信じられないミスも沢山しました。だけど感情的に怒るような先輩は、一人もいませんでした。「あの時」の母と同じでしたね。勿論、厳しくご指導をいただくのですが、責任者は自分だからと頭を下げてくださるような、尊敬する先輩方ばかりでした。

数年後、横浜から東京に転勤。びっくりしたことがあります。結婚適齢期が全然違うんです。新婦の年齢が30代、40代、当たり前。先輩たちもそうでしたけど、都会の大人の女性は、バリバリ仕事もされていて、自信も持っていらっしゃって、皆さんすごく綺麗でカッコよくて。心底憧れましたね。

そういった新婦たちには共通点がありました。「私は目立たなくていいから、みんなに喜んで欲しい」と言い、これまでのような結婚式とは目的が違うんです。だから既存のウェディングとはミスマッチで。私は「この人たちの理想を現実にするにはどういうウェディングがいいんだろう」と、考えるようになりました。

同時に、耐え難いことも出てきました。私、この仕事において数字で評価されることがどうしても嫌で。会社は売上を考えて当然なのですが、私はたとえお客様がお金に余裕のある方でも、何でもかんでもむやみに勧め、売り上げを上げることはしたくないんです。

ある時、そんな私の思いを決定的にすることが起きました。そのお客様はお金にかなり余裕のある方でした。新婦がブーケをどれにするか二択で悩んでいたところ、私はドレスに合うものとして、高価なほうより手頃な値段なほうを勧めたんです。お客様も「やっぱりこっちだよね」と満場一致でそちらに決まりましたが、売上を上げるチャンスを自ら棒に振っているわけで。その時会社のことを思うと少しだけ罪悪感を覚えてしまいました。

さらに、婚礼後そのお客様がお食事に誘ってくださり、そこで準備していた金額よりも安かったということをお伺いしました。私には、「思ってたより安くて良かったですね」とは思えませんでした。会社の決まり・提携内で提案できる中で、最良を提案した自負はあったのですが、結婚式の資金としてご用意されているお金を、使っていただくことができなかったのです。

もしもっと幅の広い選択肢の中から、幅広い演出を提案できていたなら、もっとご満足いただけたのかもしれない。既存の中で提案できる幅や表現の限界を感じ、私の心は無力感に包まれました。