人間の永遠のテーマ、健康と美を追求。時代に求められる、未来の美容を。

ふかひれコラーゲン、バラプラセンタ、フィトエンブリオンなど、美容と健康に効く原料の開発を行う、銀座トマトを経営する勝見さん。秘書として活躍した後、どのようにして美容研究家としての道を歩むようになったのか、またその発想と原動力の源はどこにあるのか、お話を伺いました。

勝見 地映子

かつみ ちえこ|美容・健康を追求する経営者
美容研究家、コスメクリエイター。真珠食研究家。株式会社銀座・トマト、株式会社クレオパトラ、株式会社ヴァイタル・ローズの三社を経営する。2011年、明治大学大学院グローバルビジネス研究科卒業(還暦での卒業は、女性最高齢記録)。現在は三つの美容・健康食品会社を経営する傍ら、女性にとって永遠のテーマであるアンチエイジングを中心に、東京大学・徳島大学と共同研究し、新素材の開発に取り組んでいる。

産後も女性に美しくいてほしい


福島県いわき市小名浜で生まれました。父は小名浜漁業組合長。漁師の娘です。

中学生の頃、それまで暮らしていた家を離れ、別の家庭で暮らすことになりました。一人っ子から突然きょうだいが増え、習慣もがらりと変わりました。新しい環境に慣れず、思うようにいかないことが増えて、そこからどんどんおとなしい性格になりました。

おまけに顔はそばかすだらけで、コンプレックスも強かったです。そばかすが嫌で仕方がなくて、運動会でわざと顔から転んで、泥でそばかすをごまかすこともありました。いつも自信がなくて、地味で暗い少女時代でした。

高校に入ってからは、少しずつ明るくなりました。仲良くなりたいと思った女の子に、「ちーちゃんは暗いから友達になりたくない」と言われたのがきっかけでした。単純だったので、その子の友達になるため、明るくよく喋るようになったんです。

高校卒業後は、東京の大学に進学。その後、東京の銀行に勤めました。秘書課で、お茶くみや書類整理などをしました。遅刻癖があってよく怒られつつも、仕事は丁寧に完璧にこなしていましたので、その甲斐あってか全国の支店の婦人部を率いる、婦人部長にまでなりました。

3年ほど働き、不動産会社に転職。ここでも秘書として働き、3年ほどで結婚して仕事を辞めました。嫁ぎ先は医者の家庭で、産婦人科を経営していました。夫の家族は全員医師でした。

産婦人科を手伝うようになっても、私は医師でないので、医療行為はできません。自分にできることを探して、入院患者さんが少しでも過ごしやすいようにと、病院内にエステを入れてみたり、シャンプーをしてくれる人を入れたり、食事のメニューを管理したり、様々な工夫をしました。

ただ、家族中が医師の仕事について楽しそうに話している時は私だけ会話に入れず、ひとりぽつんと取り残されたように感じました。子育ても落ち着くと、私も何か楽しい仕事がしたいと思うようになり、私は一体何が好きなんだろうかと考えました。出た答えは「女性を綺麗にする仕事」でした。

出産後の女性って、身体が傷ついているような状態で、綺麗じゃないんですよ。男性は身体に変化はありませんが、女性は妊娠・出産によって身体が大きく変わります。でも、女性はいくつになっても美容が好きな生き物。出産後の女性がいつまでも綺麗でいられるように、美容に関わる仕事がしたいと思いました。

肌を保湿するふかひれコラーゲンの力


美容をやろうと決めた背景には、妊娠中の鮭を見た影響もありました。ある時、鮭を頂いたので、まな板の上に置いて切ってみると、中からいくらがぼろっと出てきました。メスだったんです。身は白くてパサパサしていました。鮭って普通は赤いのに、白くてパサパサ。人間でいうと、保湿感がないんです。

身が白いメスの鮭は、加工食品にされます。パサパサしているので、油で煮て、瓶詰めすることが多いんです。もしくはムニエルにするくらい。ところが、オスの鮭は、いつでも身がプリプリしています。

その事実を知った時、愕然としました。この差は一体何なんだと思ったんですよ。人間の女性の身体も、鮭と同じ状態だと感じました。妊娠中や出産後の女性の身体の潤いを保ちたい。それが私の使命だと思ったんですよ。

女性の肌の保湿感を保つにはどうしたらいいのか学会で医師に聞くと「コラーゲン」がいいとのこと。しかし、コラーゲンは、世の中ではほとんど知られていませんでした。医療に関わっていたので名前くらいは知っていましたが、本当の働きは知りませんでした。

長寿の人が多い国では、大ネズミのコラーゲンを摂る習慣があるそうですね。ただ、私はいくらなんでも、ネズミを食べたいとは思いませんでした。

色々な文献を読んでいくと、コラーゲンにも色々な種類があることや、昔から長生きの秘訣として重宝されてきたものだと分かりました。どんなコラーゲンが一番いいのか医師や学会に尋ねると「それはふかひれでしょう」と言われました。ただ、コストが高くて世の中にほとんど出回っていないとのことでした。

女性を美しくするふかひれを飲んでみたい。そう思い、ふかひれの工場に足を運びました。父はふかひれ産地の気仙沼出身でしたので、その人脈をたどりました。

工場で目にした、サメを切っている人の手は綺麗でしたし、ふかひれを蒸している人の顔は小じわがないんですよね。また、ふかひれの煮汁を、結婚式を控えた女性が美容のために飲んだり、高齢者の方が腰痛緩和のために飲んだり、癌予防のために飲んだりすると知りました。

ここでヨシキリザメの煮汁をもらい、病院の患者さんにも飲んでもらいました。ふかひれの煮汁を飲んだ患者さんは、すぐに綺麗になりました。産後の女性は、爪がささくれたり、肌がカサカサになったりするのですが、改善されるんですよ。患者さんから「ふかひれの煮汁を飲み始めてから肌がしっとりした」「入院する前よりも、肌の調子が良くなった」と言われました。

特に、二人目三人目を産んだ方からは「前にお産をした時より、肌の調子が明らかにいいわ」と言われました。ふかひれは女性の美容に効果があることを、確信しました。

ふかひれを商売に


初めは患者さんに無料で配っていたんですが、飲んでいた方々から「すごくいいから、販売してみたら?」と言われました。効果には自信があったのでその気になり、商品化することにしました。私自身は商売人の家系で育ったので、商売を始めるのに不安はありませんでした。

ふかひれコラーゲンをチューブ状にしたサプリメントを、1万箱生産しました。売れると信じていましたし、正直なところ商売は初めてだったので、どれくらいの量を発注するべきか、よく分かっていなかったんです。

1万箱の商品を販売するため、500名の方を招いて、商品の発表会を行いました。ふかひれカレーやふかひれステーキ作ってフカヒレの魅力を伝え、その上でサプリメントを買ってもらおうと考えていました。

ところが、ふかひれ料理は好評だったたものの、サプリメントは全く売れませんでした。500人の中で、買ってくださったのは3人だけでした。

この時のふかひれサプリメントは、生臭かったんです。無料でもらう分には良かったんでしょうが、いくら美容に効くといっても、自分でお金を出して生臭いものを買うのは、抵抗があったんだと思います。

余っった在庫は、全て家に持ち帰りました。家中がふかひれまみれでした。廊下の半分以上は埋まりましたし、箱が天井まで積み上がっているのでカーテンがいらないほどでした。途方にくれましたが、泣くこともできませんでしたね。

それから、どうしたら臭いがなくなるか、研究を重ねました。色々試した中で、大根おろしを入れたら臭いが取れました。さらに試行錯誤を繰り返すうちに、ふかひれやサメについて、臭い以外にも色々なことが分かりました。熟成や冷凍保存による臭い・質の変化、時期ごとにどの地方で獲るといいかといったことなど。それでも、サプリメントはほとんど売れませんでした。

諦めずに、どうしたら買ってもらえるか考え続けました。ある時、家でものを書いていたら、紙の上に黒いカスがポロポロと落ちてきました。なんだろうと思って、顔をパタパタと叩くと、また黒いカスが落ちてきました。何回やっても落ちてくるんです。不思議だと思い鏡を見ると、そばかすが浮き上がって落ちてきていたんです。

これには驚きました。小さい頃から何をしても落ちなかったそばかすが取れているなんて、考えられませんでした。ふかひれコラーゲンを飲み続けていた効果でした。ふかひれには、古い色素や老廃物を排出する力もあったんです。その時、ふかひれは絶対に世の中の人のためになると、改めて確信しました。

変なプライドは捨てて、とにかく多くの方に知ってもらえるように、知人にふかひれコラーゲンを格安で買ってもらいました。すると、口コミが一気に広がり、飛ぶように売れ始めました。あっという間に在庫がなくなり、さらに、テレビで紹介されると、爆発的な人気を得ました。

古来から続く、美容のための真珠食


ふかひれのこと、サメのことを勉強しているうちに、真珠と出会いました。真珠にも、サメと同じく健康食として重宝されてきた歴史がありました。中国の大昔の書物では、サメと並んで真珠が健康や美の源だと書かれていました。

そこで昔の綺麗な人は何を食べていたのか知りたいと思い、世界三大美女について調べると、楊貴妃とクレオパトラは真珠を食べていたことが解りました。昔は、現代ほど美容技術が発展していないので、肌も髪の毛の美しさも、全て本人が食べたもので作られていたんです。

楊貴妃は、真珠を酢に溶かして飲むことで美白を保っていました。ところが、試してみても、真珠は酢に溶けません。楊貴妃が生まれた年代や地域、どこで活躍していたのか紐解いていくと、「山西老陳酢」というお酢にたどり着きました。山西老陳酢の中でも、熟成させ過ぎたものではなく、ある一定期間熟成させ、有機酸が一番含まれた状態の時にだけ真珠が溶けました。クレオパトラも、同じく有機酸が一番高い状態のワインに真珠を溶かしていたようです。

さらに、不純物を取り除くため、真珠の核などは取り除き、真珠層のみを取り出し微粉末化する技術を開発しました。そうして、日本が世界に誇る「アコヤ貝本真珠」のみを使用した「本真珠粉末」を商品化することができたんです。これをふかひれコラーゲンに混ぜたサプリメントにし、また、粉末をそのまま健康食品の原料として販売しました。

真珠食の功績が認められ、フランスやモナコなどで、様々な勲章を授章しました。フランスには昔から真珠を食べる習慣があり、王族は真珠で病気を治したと言われていました。ドレスに真珠が装飾されていて、病気になった時はその真珠を食べていたそうです。そうした逸話があったこともあり、真珠を食べられるようにする技術が、大きく評価されたのです。

安全性の高い植物プラセンタ


真珠の次に目をつけたのは、植物プラセンタでした。プラセンタとは、胎盤のことです。コラーゲンに出会う前から、プラセンタを美容に活かしたいとは考えていました。産婦人科で手伝いをしている時、私は出産した患者さんの出血量や胎盤の重さを測ったり、胎盤の片付けをしていました。胎盤を触っていると手がすべすべになり、美容に効果があることを実感していました。

当時、動物プラセンタを医薬品として使うのが流行っていたんですが、私はこれは飲みたくありませんでした。胎盤と一口に言っても、若い人の胎盤と、子どもをたくさん産んだ人や高齢者の胎盤では、大きな違いがあるんです。また、出産をした後の胎盤には、新生児の老廃物が付着していて、実際あまり綺麗ではないんです。だからそれを医薬品として飲むことには抵抗がありました。それに、動物プラセンタは、病原体や残留ホルモンが付着している懸念もありました。

植物のプラセンタなら、動物プラセンタにあるような心配は不要です。ただ、植物には胎盤がないので、胎座という部分からエキスを抽出するのですが、それがすごく大変です。ふかひれコラーゲンや本真珠粉末の販売で得た利益の大部分を、植物プラセンタからエキスを抽出する技術の研究に投資しました。

最初はライ麦のプラセンタからサプリメントを作りました。そのうち、植物の中でも、バラに狙いをつけました。バラやにんにくなど、匂いが強い植物の方が生命力があると言われているのですが、何と言ってもバラには美しいイメージがあります。女性の美容品として使うには最適だと思いました。

バラの中でも、ダマスクローズはバラの女王と呼ばれる存在。その中でも一番香りが強い、ブルガリアのダマスクローズを培養しました。研究の末、2011年に、バラの胎座から抽出した、世界初のバラプラセンタの開発に成功し、翌年にはサプリメントと化粧品として商品化できました。

水のように変われる女でいたい


現在、株式会社銀座・トマト、株式会社クレオパトラ、株式会社ヴァイタル・ローズの3つの会社を経営して、美容・健康食品の素材開発、原料の販売、商品の開発などを行っています。

企業の最終目的は利益だと言われますが、人間の最終目的は、健康でいることだと思います。私は、人間として、健康に徹したものを作り続けたいです。美容は、健康の先にあるもの。健康があっての美容ですから、まずは健康を、さらにはその先にある美容をも追求していきたいんです。

私が常にこだわっているのは、原料の最初から関わること。ふかひれも、真珠も、プラセンタもそうでしたが、原料がどのような状況で生まれるものか、しっかりと知った上でお客様に提供したい。同じ原料でも、環境、時期などによって全然違うので、それらもきちんと把握した上で提供したいんです。今でこそトレーサビリティー と言う言葉が出てきましたが、これは私が20年前から意識し続けてきたことです。

今一番力を入れている原料は、「フィトエンブリオン」という原料です。これは、植物プラセンタエキスと、植物幹細胞エキスから抽出します。幹細胞は、身体のどの部分にもなることができる細胞です。

これまでの化粧品は、年齢とともに状態が悪くなる肌を補う効果をもたらしていましたが、フィトエンブリオンは、補うのではなく、肌自体の老化を止め、再生させるような効果を持ちます。通常のプラセンタは、身体にプラセンタのエキスがある若い人にはそこまで大きな効果がありませんが、フィトエンブリオンは、どの世代の人にも効果を感じてもらえると思います。

フィトエンブリオンの功績が認められ、「聖マウリツィオ・ラザロ勲章」という勲章を頂くことになりました。日本では過去に明治天皇や伊藤博文初代内閣総理大臣、野球の長嶋茂雄さんなども受賞した、名誉のある勲章が頂けて、とても光栄です。

これからも、時代に求められる次の健康・美容を追求したいですね。私は、常に水のように生きたいと思っています。水は、入る容器によって姿形が変わります。時代ごとに「世の中が求める器」はどんどん変わりますが、その変化に合わせて、私も様々な形に変わりたいんです。時代にマッチングする、固定観念を持たない人間。どうにでも変れる女。世の中に求められる10年先の美容を作り続ける。そんな生き方をしたいんです。

仕事をしていて一番楽しい瞬間は、夢を共有できる仲間と語り合っている時です。同じ価値観を持っているファミリーと話して、ワクワク・ハラハラ・ドキドキする瞬間。そういったファミリーと一緒にお酒飲んで喋っている時が、最高に幸せです。

人がどんな道を歩んできたかは、後ろ姿に表れると考えています。後ろ姿には、その人の品性や信用が全て現れます。私は、自分に恥じないように、後ろ姿が綺麗な女でありたい。これからも、後ろ姿が綺麗であり続けるような生き方をしていきます。

2016.05.13

ライフストーリーをさがす
fbtw

お気に入りを利用するにはログインしてください

another life.にログイン(無料)すると、お気に入りの記事を保存して、マイページからいつでも見ることができます。

※携帯電話キャリアのアドレスの場合メールが届かない場合がございます

感想メッセージはanother life.編集部で確認いたします。掲載者の方に内容をお伝えする場合もございます。誹謗中傷や営業、勧誘、個人への問い合わせ等はお送りいたしませんのでご了承ください。また、返信をお約束するものでもございません。

共感や応援の気持ちをSNSでシェアしませんか?