上京して、1年間アルバイトをしながら勉強した末、上智大学理工学部に進学しました。受験勉強を終えた解放感から、大学ではとにかく新しいことをやろうと思いました。軽音サークルに入ってギターを始めるだけでなく、オールラウンドサークルやテニスサークルにも入って、さらには居酒屋でアルバイトをして、ととにかく幅広く色々な人と交流しました。その分、大学にはほとんど行かず、ダメ大学生の鏡のような生活を送りました。

高校生の時から目指していた、数学の教師になるという進路については、考えが変わりました。元々、教師に憧れていたのは、勉強を教えることへの関心や、単純に数学が好きだからということ以上に、「誰かの人生にキッカケを与えたい」という思いがあったからでした。私自身、高校の先生に人生的な部分を学びましたし、諭した後は自分に考えさせるという姿勢に憧れました。それが、大学に入ってから色々な人と出会い、「それって数学教師じゃなくてもできるんじゃないか」と感じてしまったんです。自分の中で、固定観念が崩れたような感覚でしたね。

結局、一番面白いと思っていた映画に関心が戻ってきて、趣味で映画を撮りたいと思い、映像団体を立ち上げました。大学4年の時に初めて映画を撮りました。『スタンド・バイ・ミー』にインスパイアされて撮った作品でしたが、自分の実体験を反映する部分もありました。いつも一緒に授業を受けていた友人と、何気ないことから疎遠になってしまったことがあって、その中で人間関係について感じたことを撮っていました。自分の考えや経験を形にして表現していましたね。

映画を撮っていると、簡単な映像の仕事を依頼されるようになり、映像制作でお金をいくらかは稼げるようになっていました。ぼんやりとですが、「こういう感じで、アルバイトをしながらフリーランスで映像制作をして暮らすのもいいのかもしれない」と考えるようになりました。