私は大阪府高槻市に生まれました。ギャンブル好きの父親の元で育ったこともあり、小さい頃からよく競馬を見ており、特に騎手に強い憧れを抱くようになりました。小中学校とサッカーにも打ち込んでいたのですが、騎手への思い入れはそれ以上に強く、中学3年の秋に、競馬学校を受験しました。

ところが、業界的に身内のつながりの強い閉鎖的な時代だったということもあり、特に家族に関係者等もいなかった私は不合格に。不利な状況を覆すほどの実力もありませんでした。高校に進学してもう一度受験することも考えたのですが、普通高校に進むと周りに流されてしまう不安もあったため、中学を卒業してからは、学校に通わず厩舎で働きながら再度競馬学校を目指すことに決めました。

しかし、1年働いて迎えた2回目の受験では、165cmという身長制限をオーバーしてしまい、再び不合格になってしまったんです。元々基準ギリギリで、周りを見てもかなり大きい方だったので、仕方が無いという思いもありつつ、1年準備して臨んだこともあり、すごく悔しかったですね。

それからは、なんだか心に穴があいたような感覚でした。とりあえず地元の高校に入り直し、次の目標を考えようとしたのですが、騎手ほどに情熱を注げるものは中々見つかりませんでした。入学して最初の1ヶ月は、1つ下の学年に入ることへの気まずさも多少ありましたね。

その後、高校を卒業してからは自動車のディーラーとして働き始めました。元々人と話すことが好きだったため、営業の仕事がしたいと考えていたんです。勉強が嫌いで全くしていなかったため、大学進学は考えませんでした。

実際に働き始めると、仕事に一定の楽しさは感じつつも、「早く帰りたい」「もっと休みが多くならないかな」とあまり前向きではありませんでしたね。周りにはかなり年上の方が多かったのですが、自分も同じようにずっとこの仕事をしたいかというと、そうではない状況でした。騎手に憧れていた時のように、もっと華やかな業界で、大きなことに挑戦したいという思いがあったんです。