保育士になって最初の一年は、今まで生きてきた中で一番辛かったです。
好きじゃないとできない仕事です。でも、好きだけじゃできない仕事でもありました。
入った保育園が設立2年目だったこともあり、周りの先生も忙しくて余裕がなく、覚えることに追われる日々でした。
夜中に帰ることがほとんどでしたね。

それに輪をかけるように、他の先生の退職の影響で、5歳児のクラスを持つことになったんです。
最終学年のため求められることも多くなりますし、何より、子どもたちの保育園最後の運動会を控えた時期だったんですよ。

正直、自分が5歳のクラスの運動会を務めることにすごく大きな不安がありました。
子どもたちの最後の運動会を、自分の不甲斐なさで終わらせたら申し訳ない、という気持ちでいっぱいだったんです。

悩んだ結果、その日から、毎日運動会の練習のための日記を克明に付け、全力で準備に没頭しました。
今考えても、相当力が入っていましたね。

直前で、子ども達が「もうやだ」と疲れてしまったり、他の先生からは「だから言ったじゃない」と突き放されたりと、
もう本当にどうしたらいいかわからず限界近くまで来ていましたが、なんとか本番を子どもたちと楽しむことができたんです。

ある時、その子たちの卒業式を控えた時期に、私が階段で子どもたちのクレヨンを落としてしまったことがありました。
その時に子どもたちが、

「も〜う、一人で頑張らなくていいんだからね!」

と言ってくれたんです。
その瞬間、責任感を背負い込んで無理してきたことが、なんだか一人よがりだったことに気付いて。
あぁ、“目の前にいる子どもたちが真ん中にいないと、意味がない”って。

いつの間にか視野が狭くなっていた私にとって、いちばん大切なことを子どもたちが気付かせてくれた出来事でした。