本心からしたいことを見つけて欲しい!目標を言葉にするから感じる違和感とは?

千葉県で2店舗の居酒屋を経営する阿部さん。飲食店経営者を目指すも、高校卒業後に入ったレストランの現場で料理を嫌いになってしまったそうです。そんな阿部さんが、再び飲食の道に進んだ背景とは?お話を伺いました。

阿部 玄武

あべ ひろむ|居酒屋の経営
千葉県にて「居酒屋 晴家~hareruya~」「居酒屋うたげ」の2店舗を経営する。

早く自立するために経営者を目指す


私は東京で生まれました。父は日本食の料理人で、小さな頃から週末は色々なお店に足を運び、一流の料理を食べさせてもらいました。美味しい物の味を覚えれば、将来貧乏になっても、「もう一度あの味を食べたい」と努力する源泉になるだろうと考えていたそうです。

ただ、両親の夫婦仲は険悪。しょっちゅう喧嘩していて、小学校2年生の時、ついに離婚してしまったんです。そして、私と姉は母に連れられ、千葉県に引っ越しました。

しかし、母はすぐに新しい男を作り、家に帰ってくるのは週に一度くらいになりました。1週間分のご飯を作り置きすると、男の家に行ってしまうんです。そんな状況に姉はやさぐれて家に帰らないようになり、一人ぼっちで過ごしていましたね。

その後母は再婚し、家に戻ってきて一緒に住むようになりましたが、私は新しい父との揉め事や言い争いが絶えませんでした。一方、別れた父も再婚していたので、「大人はみんな自分勝手だ」と思い、私も自由に生きるようになっていきました。学校にはほとんど行かず、やんちゃなことばかりするようになっていったんです。

また、とにかく家を出たい、自立したいと思っていましたね。一方、辛い思いをして働きたくないとも思っていたので、中卒で働くのは避けるため、高校には行こうと考えるようにもなりました。そして、高校生になってからは祖父母の家で暮らすようになりました。

通っていたのは工業高校でしたが、授業の内容にはさっぱり興味がありませんでしたね。ただ、漠然と早く自立するためには経営者になりたいと思っていて、実の父の影響もあり飲食店の経営者にはなれそうだと考え、卒業後は地元の飲食店に弟子入りでもしようかと考えていました。正直、それ以外の選択を思い浮かばなかったのもあります。

すると、高校3年生になったある日、友人のお母さんに「あんたは将来何になりたいの?」と言われることがありました。「飲食店の経営者」と答えると、銀座にあるフランス料理店に連れて行かれることになりました。私は単純にご飯を食べに来たつもりだったのですが、「いつから研修するんだ?」と言われ、夏休みには研修をすることになり、さらに研修中には「いつから働くんだ?」と言われ、高校卒業後は、その銀座のフランス料理店で働くことにしたんです。

お金を回すビジネスを知る


銀座のお店、それもフランス料理という響きに、純粋にかっこいいと思いつつも、一人で上京することに不安もありました。ただ、「ここでやるしかない」と気持ちを切り替えてからは、くよくよすることはありませんでした。

しかし、そのお店は非常に忙しく、また厳しい環境で、働いていくうちにすっかり料理は嫌いになってしまいました。新しい人が入っても数日と持たずに辞めていく環境。それでも私は1年は働こうと決めていたので、怒られながらも続けていきました。

そして、実際に1年ほど経ち、辞めると伝えた頃、初めてビジネス書を読む機会がありました。この時「不労所得」だったり、「お金がお金を稼ぐ世界」があると知って、惹かれていきました。

そこで、フランス料理店を辞めてからはフリーターになり、アルバイトをしながら、ひたすら経営者に会いに行くことにしました。飲食の世界には戻りたくないし、かといって地元に戻っても仕事はない。それならば仕事を作り出す人間になりたい、いつか経営者になろうと考えていたんです。

ただ、具体的なことは決めず、とにかく色々な人と会って見識を広めていこうと思っていました。お金がなく、電気や水道も泊められ、月の光でビジネス書を読みながらも、とにかくたくさんの人に会っていきました。

また、多くの人に会っていたので、自分で交流会も開くようになりました。その時、仕事がほしい大学生と、人の手を借りたい経営者をマッチングするビジネスもするようになり、その場で現金が入ってくる商売の面白さを実感しましたね。

そして、会う経営者の人たちがみな「営業力」は大切だという話をしてくれたので、何をするにもまずは営業を身につけようと考え、回線販売の営業会社で拾ってもらうことにしたんです。

口に出して語り続けたことで感じた「夢」への違和感


会社では電話や飛び込みの営業の仕事をしつつ、個人的には自分の内面を見つめるためのカウンセリングにも通い、豊かな人生とは何か考えるようになりました。そして、「幸せ」になるためには、トラウマと向き合うことの大切さを学びました。私にとっては、親と向き合うことでした。

そこで、ある時母にメールで「生んでくれてありがとう」と送りました。それまでは、親に対しては「親は選べない」とか「育児放棄だ」とネガティブに思うことばかりでした。しかし、自分をこの世に生んでくれたことは事実であり、それはやはり感謝するべきことだと思えたんです。感謝の気持ちを伝えてからは、自分の中で憑き物がとれたような感覚がありましたね。

また、会社の社長は、朝礼で有名な「居酒屋てっぺん」出身者でした。そのため、私たちも毎朝朝礼の時に自分の夢、目標を声に出して宣言していました。私の夢は、人材紹介業で起業することでした。フリーター時代に人をマッチングする楽しさを覚えていたし、正直、他のビジネスモデルをそこまで知らなかったんです。

ただ、毎日口に出して宣言しているのですが、どうにも違和感が拭えませんでした。「本当にこれがやりたいんだっけ?」と感じていたんです。

また、以前、研修で居酒屋てっぺんに行った時に、お客さんに直接喜んでもらえることに嬉しさを感じ、その時から、心のどこかで居酒屋を経営したい気持ちもありました。そして、人材紹介業を目指す違和感と相まって、ある時、「自分のやりたいことは居酒屋だ」と腑に落ちる瞬間があり、次の日から突然、「居酒屋を開きたい」と言うようになったんです。

失敗しても将来の自分のためになると確信があった


それまでと違い、本心から夢を語れるようになると、ものごとは一気に進んでいきました。ついには、実の父から、「千葉県の市川にいい物件がある」と連絡をもらうことができたんです。父が働く東京のお店にご飯を食べに行ったことがあり、その時に酔っ払った私が「絶対に居酒屋をやる」と話していたそうです。

また、その少し前に東日本大震災があり、自分の人生を改めて考えていたところでした。そして、30歳までに2回失敗していいとルールを決めていたこともあり、挑戦しない理由はありませんでした。もし失敗しても、それすら将来の自分を作る経験になる。今まで家庭のことや仕事のことなど色々なことがありながらも、結果的には今の自分に繋がっていることを実感していたので、確信を持てたんです。

そして、21歳の時、千葉県市川市に居酒屋を開くことにしたんです。料理は父に修行させてもらいました。不思議なことに、幼い頃は感じることができなかった母性と父性、どちらも大人になってから感じられるようになったんです。

さらに、2013年には千葉県富津市に、2店舗目の居酒屋を出店しました。1店舗目も安定しているとは言い難い状態でしたが、物件を紹介された時にピンときて出店を決めたんです。そして、絶好のタイミングで新しく店長となる人と出会い、私は2店舗目に移ったんです。

そして、現在は、1店舗目では父が料理人として働いてくれ、私は2店舗目で調理を担当しています。満席になっても全ての人の顔と名前が一致するくらいの規模のお店で、その雰囲気を大切にしたいと考えています。

全ての人が本当の夢を見つけて欲しい


今後は、自分の会社として何店舗も増やしていくのではなく、開業支援に力をいれていきたいと考えています。居酒屋を経営して私自身が感じた喜びを、多くの人に感じてもらいたんです。そのために、店舗を作りたいと思っている人が目標達成できるように、自分が経験したことを伝え、包括的に支援していけたらと思っています。

ただ、根底にある私の理念は「したい事をやれる世の中に」というものなので、居酒屋には縛らずに様々な活動をしていきたいと考えています。昔の私のように、何かをしたいけど、何をしたらいいか分からない人が、「したいこと」を見つけるための手助けをしたいんです。

また、経営者に会いに行っていたフリーター時代にも、「この人は本当にやりたいことをやっているのか?」と疑問に思うこともあったんです。みんな同じようなポジティブな言葉ばかり使っていて、「本心か?」と。そういう人にも心の底から取り組みたいと思うことを見つけて欲しいですね。

私自身が経験したように、本心から沸き立つようなものが見つかると、ものごとが急激に進んでいく。そんな経験を多くの人に体験して欲しいと考えています。

そのための1つの方法として、同世代の仲間と「他力本願定例会」という会を企画しています。この場では、みんな「5年後の夢」を宣言します。そして、その夢を周りのみんなは絶対に否定せずに、応援します。すると、恐らく多くの人が「自分は本当にこれがやりたいのか」と違和感を持つと思うんです。そして、自分で考えていくことで、心から自分がしたいことが見つかると。また、「自分の人生に意味が無いとしたら、何をやりたいか」という質問も、自分の好きなことを見つけるのに有効だと考えています。

これからは、自分の理念を達成するために、居酒屋に縛られずに様々なことに挑戦していきたいと考えています。

2015.07.02

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