退職してからは少し休みたいと思い、特に何をするわけでもなく家でゴロゴロする生活を始めました。しかし、1週間ほどすると暇すぎることが逆に辛くなってしまったんです。

そして、老いた自分を考えると、一層「暇つぶし」を真剣に考えなければならないと感じました。僕の祖父は90歳で、もし自分が同じ年まで生きた場合、65歳で定年してから25年も暇な時間があるのは長すぎると。

そこで、僕は生涯現役で死ぬまで何かやり続けようと決めたんです。ただ、そのためには「定年退職」の概念がない働き方をする必要があり、選択肢は資格を取るか起業するかしかありませんでした。

どちらの道に進むべきか考えつつ、友達の会社で働いたりしていてのですが、自分に向けられる視線に、どこか痛さを感じるようになっていったんです。周りにいる人から感じるわけではないし、勝手にそう思っていただけかもしれませんが、どこかで関係が深くない知り合いに「失敗しろ」と陰口を言われているような感覚がありました。

それまでは、有名大学を出てNHKに就職するという、ある意味で王道のレールを歩んでいたわけですが、それを捨てレールから外れた人間には厳しい世の中だったんです。僕自身は納得して退職していましたが、何となく社会から冷たい視線を送られている気に、居心地の悪さを感じるようになってしまいました。

そんな周りの目も気にしつつも、自分はまだ27歳だということもあり、何かにチャレンジするなら今しかないという気持ちが湧いてきました。また、日本国内でそこまでやりたいと思える事業はなかったので、海外で起業することに決めたんです。

もし失敗したとしても「面白い奴だ」と思ってもらえる経験にはなると思ったし、日本にいたら「元NHK」の肩書は一生つきまとってくるので、抜け出したい気持ちもありました。そこで、学生時代に旅行して、唯一好きだと思えたクロアチアで起業しようと。