丁度その頃、突然お見合いの話がきて、がんじがらめの家から早く逃げ出したいと思っていた矢先だったので、すぐその人と結婚しました。但し「結婚しても働きたい」という条件で。

彼は家事万端滞りなくやるなら許すということで、私は張り切って頑張り、彼もずっとその約束を守ってくれました。しかし、女性が結婚しても働き続けるための法制度も社会環境もなかったので、それはそれは大変な、苦難の道でした。

産休補助法といった母子を守る法律などないので、お産をするにも休みは取れません。むしろ、子どもをほっておいて母親が外へ出るなんてとんでもないと非難轟々。大きな御腹を抱えて、お産の直前まで、自分が休む間の教材つくりのためガリ版を暗くなるまで作り、同僚には「旦那の顔が見たい」とあざ笑われていました。「妻子を養うのは男の甲斐性」というのが普通でしたから。

そんな中私は子どもを生んでからも仕事を続けたのです。保育所もなく預かってくれる人を探しまわる毎日、仕事と家庭を両立させるのは、とても大変なことでした。

学生の頃から、「女性には不要だから」と授業内容も男性とは差別され、「女は子どもを生むための道具」という社会的な空気があり、私はそれが悔しかったのです。女性も自立して生きていけることを証明したいと思っていました。

ただ現実としては、給料体制に男女差があって、いくら私が働いても給料は高くないし、夫も扶養家族なしということで、給料は周りに比べて半分に減らされていました。何のことはない、自立していると思ったのは私の独りよがりに過ぎなかったのです。制度、法律が整備されなければ駄目だったんです。(苦笑)