クリエイティブな挑戦機会のために福岡へ。人の繋がりを軸とした、新しい挑戦の支援を。

【another life. × 地域 スタートアップ都市福岡】ゲーム開発・運営等のソリューション提供や、ゲーム・クリエイティブ業界に特化したHR支援を行う傍ら、福岡県福岡市にて、新しい挑戦を支援する「スタートアップカフェ」のアンバサダーコンシュルジュを務める清水さん。仲間と東京で会社を創業しながら、福岡で新たな挑戦の支援を行うようになるまでにはどのような背景があったのか?また、大切にしている「人との繋がり」への思いとは?お話を伺いました。

清水 弘一

しみず こういち|ゲーム開発・運営支援、スタートアップカフェ運営支援
ゲーム開発・運営等のソリューション提供や、ゲーム・クリエイティブ業界に特化したHR支援を行う
株式会社リンクトブレインの執行役員として、新規事業立ち上げ等に携わる傍ら、
福岡県福岡市にて、「スタートアップしたい方」や「スタートアップを応援したい方」などが気軽に集まり交流できる場である
「スタートアップカフェ」のアンバサダーコンシュルジュを務める。

株式会社リンクトブレイン
スタートアップカフェ

大学時代に芽生えた、人との繋がりへの思い


私は東京に生まれ、ファッションや音楽等「トレンド」のあるものが好きな、ある種ミーハーな少年でした。

元々、中学までは千葉県の学校に通い、高校から東京の学校に入学したのですが、そこでカルチャーショックを受けたんです。東京の学生は、同じ高校生ながら考え方も遊び方も持っている物も全然違ったんですよね。

「今まで子どもだったな」と思うと同時に、ファッションや音楽にどんどん目覚めていきました。

その後、高校を卒業してからは都内の大学の法学部に進学しました。将来のことはあまり考えておらず、父が仕事に忙しくてあまりコミュニケーションをとれなかったこともあり、漠然と、ルーティーンで忙しくなってしまうサラリーマンは嫌だなと感じていました。ただ、特別やりたいことも無かったので、つぶしが効くようなイメージの法学部に進学しました。正直、就職活動自体が売り手市場だったこともあり、どこかに入れるだろうという気持ちもありましたね。

その後、大学では接客業を中心に様々なバイトに打ち込みました。元々人とコミュニケーションをとることが好きだったことに加え、色々な仕事に携わっていくと、世の中には色々な人がいるということがとても新鮮でした。スーパーやファストフード店に始まり、ディズニーランドでも働き、出会う人の幅が広がり、自分自身の世界も広がっていきました。

また、人への関心が強かったこともあり、自分の見えている範囲で人を繋いでいくようなことも行うようになりました。例えばアルバイトを探している人に紹介したり、OB訪問の先を繋いだり、人を繋げて喜んでもらうことにやりがいを感じたんです。

そんな大学生活を経て就職活動を迎えると、元々関心のあったアパレル業界や、百貨店に就職しようと考えました。しかし、たまたま出会ったIT系の企業で、「システムエンジニアという職種は10年後に100万人足りなくなる」という話を聞いたんです。

正直、IT自体に興味は無かったものの、成長産業の担い手になりたいという気持ちや、アパレル等と比べてかなり良い条件にも惹かれ、SIerへの就職を決めました。

いつ会社を辞めてもおかしくない社会人生活


ところが、実際にエンジニアとして働き始めると、早い段階で「これは違うな」と感じてしまいました。

教育を丁寧に行う企業だったこともあり、研修が半年程あったのですが、ごりごりの数字の羅列を見て処理をして・・というサイクルに、どうしても知的生産性を感じなかったんです。

それでも、クライアントとコミュニケーションには楽しさを感じていたので、ガリガリのエンジニアではなく、セールスも行うSEとして配属してもらい、ヒアリングから提案・プレゼンテーション等を中心に行うようになりました。

しかし、それ以降も様々な壁がたくさんありましたね。仕事が受注できなかったり、目標数字が達成できなかったり、常に会社を辞めることと隣り合わせのような気持ちで働いていました。

アパレル業界の会社説明会に行ってみようかと思ったり、お世話になっている美容師さんに、「今からでも目指せますか?」と聞いてみたり、迷いながら働いていたんです。

それでも、人を大事にしてくれる会社の風土があり、特に同期に支えられて、なんとか仕事を続けていくことが出来ました。そして、ある組織編成のタイミングからは恩師にも出会い、営業として仕事自体も上手く回るようになっていきました。

苦しい時期に救ってくれた同期と、理想の仕事


ところが、逆に仕事が上手く回り始めると、社内でもかなり大きな案件を任されるようになり、とにかく仕事に忙殺される日々を過ごすようになりました。成果に対してのインセンティブもあり、待遇は良くなっていったのですが、そんな生活を続けた結果、ある時から仕事を続けられなくなってしまったんです。ハードワークがたたって、心身ともに疲れきってしまったんですよね。

そんな時、同期入社で同じ部署で働き、グループ会社に転籍をしていた岩本という社員から、そのグループ会社に来ないか、と声をかけてもらったんです。元々、彼とはどこか通じる部分がありました。だからこそ、私の状況を気遣って声をかけてくれたんですよね。

転職をしようとしていた矢先でしたが、そのありがたい誘いを受け、私はそのグループ会社に転籍し、37歳にして再スタートを切ることに決めました。

実際に入ってみると、女性誌の通販サイトやゲーム・エンタメ領域のサービス等、元々抱いていた関心に近い業務内容で、グループの中では唯一私服というような空気感もあり、うまく順応していくことができました。

その中で私は、PC向けのオンラインゲーム会社をクライアントに、課金システムの提供やカスタマーサポートの代行を行っていたのですが、製品がローンチした際に、クライアントの方が一緒に喜んでくれて、「ありがとう」と声をかけてくれたんです。

前の職場でもプロジェクトの打ち上げ等はありましたが、お客さんからこのような形で感謝の言葉をもらうことは初めてでした。ゲームやクリエイティブの業界では、「一緒に作っていく」という空気感があり、その感覚をわかちあえたことは、私にとって初めての体験でした。

気づけば、人の繋がりを体現して働くような環境に身を置くことができ、声をかけてくれた岩本には本当に感謝しました。

クリエイティブな挑戦の地、福岡へ


そんな風に恵まれた環境で仕事をしていくと、誘ってくれた岩本さんと、もう一人大変お世話になっていた藤田さんという同じ会社のメンバーで、独立を考えているという話を聞いたんです。

それまでゲーム業界で培ったリレーションや考え方を活かし、自分たちでより大きな挑戦ができるのではないかと考えていたんですよね。その話を聞き、事業の可能性はもちろん、元々自分を誘ってくれた恩返しの意味でも一緒に挑戦したいという気持ちがありました。また、新しい環境で新規事業等に携わる中で、創業に参加することで貢献できる自信もついていたんです。

そんな背景から、2012年、43歳のタイミングで、創業して半年の株式会社リンクトブレインに3人目のメンバーとして入社しました。

新しい会社では、これまでのノウハウを活かし、ゲーム会社向けのソリューションや、新しくゲーム分野に特化した人材派遣・職業紹介等のHR領域の事業も行うようになりました。すると、創業当初の早い段階から、大手ソーシャルゲーム会社のゲーム運営等を行うことができ、会社は順調に成長をしていきました。気づけば3人だった社員は30名まで増えていき、事業の幅も広がっていきました。

また、2014年には福岡市からのお声かけをいただき、福岡に新しい拠点を立ち上げることに決めました。

元々、福岡自体近年ゲーム産業が活性化していたのが、高島市長が就任し、「クリエイティブ・エンターテインメント都市づくり」という構想を打ち出して以来、専門学校やゲーム関連の会社等、若いクリエイティブ人材が学んで働く土壌が作られていたんです。

同時に、同じクリエイティブ業界でも、その地方ならではの課題感等もあり、これまでの経験を活かすことができるならばと、パートナーとして私たちも福岡のクリエイティブ都市化に対しソリューションを提供するようになりました。

また、2014年の10月からは福岡をスタートアップ都市にする試みの一環で、「スタートアップしたい方」や「スタートアップを応援したい方」などが気軽に集まり交流できる場である「スタートアップカフェ」が設立され、そのアンバサダーコンシュルジュも務めることになりました。

実際に、福岡でクリエイティブの会社に進みたいという方の悩みを聞いたり、バックオフィス機能を提供することによる起業支援のような取り組みも行っています。他にも、独立だけでなく転職に困った人の支援も行っており、クリエイティブな人材が福岡で活躍できるようなサポートを全面的に行い始めました。

人の繋がりを軸に、新たな挑戦の支援を


苦しい時期を経ながらも、仲間に恵まれ、会社の創業に参加し、現在は挑戦する人を繋いでいくような、自分が元々したかったことに携われている感覚があります。

これまではゲーム業界に特化したソリューション・HR事業が中心でしたが、積み重ねて来た基盤は強固になって来たので、これからは、そのノウハウを他の社会課題にも転用していきたいと考えています。

まず直近では、福岡市含め今後の日本の大きなテーマとなる女性の活躍推進の分野で新規事業を行っていく予定です。スキルのマッチングや相性が重要なゲーム業界の人事課題を見てきたからこそ、特定の業種に必要なスキル等を教育するようなプラットフォームを展開していき、女性に新しいクリエイティブな働き方の提案をするような事業をしていきたいです。まずはモデル業等の領域から始め、美容師や介護士など、様々な業界に展開していきたいですね。

人の繋がりに支えられた人生なので、同じく人の繋がりを活かすことで、新しい挑戦を支援していければと思います。

2015.04.09

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