それまでも契約社員で営業をして成果を出していたので、自分は営業に向いていると思っていました。実際、新たな就職先でも新規事業の営業を担当すると3ヶ月で全国1位になり、すぐに8人の部下を持ちながら自分の数字も管理するような立場になりました。本当に営業は得意だったので、努力している感覚はありませんでした。
このままいけば正社員にもなれるだろうと思っていた時、保険会社のプルデンシャル生命からヘッドハンティングの電話が来ました。その会社を知らなかったので先輩に相談すると、外資系の有名な会社で、普通は入りたくても入れないような会社だと教えてもらいました。
外資系という華やかな響きに惹かれて、転職を決意しました。営業には自信があったので、不安なんてありませんでしたね。
ところが、役員面接で不採用になってしまったんです。正直、面接の時の役員の迫力は凄まじく、自分自身の人間としての小ささを見抜かれていたのだろうなと、不採用に納得感はありました。
しかし、そう思ったからこそ、絶対に諦めたくないという気持ちが湧いてきて、ヘッドハントしてくれた人に、もう一度チャンスがほしいと懇願したんです。すると、数日後に「課題をクリアできたら考えます」と言われました。
課せられた宿題は、1週間の間、毎日新規の飛び込み営業をして10枚の名刺を集めることと、自己啓発本を1冊読んで感想文を書くこと。その成果物を、月曜日に持ってきてくださいと言われました。
飛び込み営業は慣れていたので、毎日10枚、5日で50枚集めるのはさほど苦でもなく、読書感想文と一緒に事務所に届けに行きました。
すると、持っていった課題には見向きもせず、「また来週の月曜日までに同じ課題をやってください」と言われてしまったんです。
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