神森 真理子さんストーリーのトップへ
真に国際的であるためには、まず自国の文化について理解することが重要
高校卒業後は慶應大学文学部に進学しました。大学3年生になると、ベルギーでやり残した「他国の人と対等な関係を築く」ための挑戦をしつつ、将来の仕事につながる経験を積むため文化芸術・映画について学びたいと考えるようになり、フランス留学を決めました。
フランスでの生活はベルギーと異なり、親日的な人が多くすぐに周りと仲良くなることができました。一方で、自分自身の日本文化への理解の浅さに問題を感じるようになりました。
周りから見れば私は日本の代表者ですので、日本という国や文化全般について様々な質問を日々受けるのですが、相手が求めているレベルでは答えることができませんでした。彼らは自国の文化を深く理解した上で、同じレベルで日本文化を知りたいと思い質問しているのに、私は彼らと同等のレベルで日本という国や文化について語ることができなかったのです。
対等な関係を築くには、お互いが同じレベルで相手を理解しようと歩みよることから始まるのに、自国の文化を深く知らないと、相手からの質問にも答えることができない上に、相手の文化も本当の意味で深く知ろうとすることができない。これでは、異国の人と本質的な人間関係を築くことができず、真の意味での国際人になることはできないと強く感じたのです。そこで、日本文化を海外の人に発信するだけではなく、日本人自身が自国の文化を深く知る機会・土壌を作らねばと考えるようになりました。
また、そのための進路をどうすべきか、フランスにいる間に考えていました。日本の同学年の友人たちは就職活動をする中、自分は一歩遅れをとっているのではという焦りもありました。
しかし、フランスの学生たちは、「どこの会社に入りたいか」ではなく「どう生きたいか」の観点から人生を見つめていました。また、新卒一括採用がないこともあり、年齢に関係なく自分の道に進み挑戦している人ばかり。そんな友人たちと話すことで私の視野も広がり、人と比較することは無意味で、「人生は自分自身で創るものだし、納得のいく生き方をしたい」と改めて実感できたのです。
そして、やはり文化的な活動、日本と海外の架け橋になるような仕事がしたいと、人生のミッションが定まりました。その実現手段として、まずは就職して力をつけながら会社でできる限りの挑戦をしつつ、自分自身が社会に対しどのような貢献をできるのか、可能性を模索しようと考え、歌舞伎や日本映画など、日本の文化に関わる事業を展開する松竹に入社しました。