エンジニアは、週3日働くのがちょうどいい。激務続きの中に見いだした「余裕」の可能性。
エンジニア向けに、週2日から働ける仕事を紹介サービスの開発を担当する大野さん。サラリーマン、ベンチャー立ち上げへの参加、フリーランスと様々な環境でエンジニアを務めた大野さんが目指す、「面白い人やものが生まれるような働き方」とはどういったものなのでしょうか?
大野 兼司
おおの けんじ|エンジニア向け、週2日から働ける仕事紹介サービス運営
週2日からのエンジニア向けお仕事紹介サービス『PROsheet』を運営する、
株式会社シェアゼロにてCTOを務める。
PROsheet
シェアゼロ株式会社
「履歴書持ってきたか?ここでいいよな?」
愛媛県に生まれ、中学高校と地元の学校に進学しました。
高校は大学に進学する人が多い学校だったこともあり、
自分も社会に出るまでの猶予期間がほしかったので、地元の大学に進学することに決めました。
大学では合気道部に所属しながら、日雇いで色々なバイトをしてみたり、好きなゲームをしてみたり、
わりと遊んでばかりでしたね。
しかし、大学にはインターネット環境があり、何かの授業でメールの送受信の方法を教えてもらう機会があったため、
インターネットを面白いと感じ、興味を抱いたんです。
それ以来、自分でホームページを作ってみたり、音楽データの仕込みをしたり、
趣味としてインターネットをいじるようになっていきました。
そんな大学生活を過ごし、結局遊びすぎて留年をしてしまい、
その上、就職については、特に何も考えていませんでしたね。
ただ、6年目の卒業前に、先に卒業し就職していた友人が働くIT系の企業でアルバイトをさせてもらっていて、
そのバイト先のつながりの会社に遊びにいった時に、代表の方に、
「お前、履歴書持ってきたか?うちでいいよな?」
と言われ、
「あ、ここでいいかな」
と思ったんです。
バイトの時にお世話になっていたし、技術力もある方だし、
ここで勉強をしようと思ったんですよね。
そうして、初めての就職が決まりました。
落ち込む自分を救った友人の縁
就職後はインフラエンジニアとして働き始めました。
主にサーバー構築の仕事に携わったのですが、知識も経験もないため、
家に帰っても勉強をしており、しんどかったですね。
その後大手のSIerに出向し、新しくJavaの勉強も始めたのですが、
出向先の環境に寂しさや将来への不安を感じたこともあり、退職することにしたんです。
その後、大学時代にバイトをしていたIT企業の仲間に相談したところ、
「うちにおいでよ」
と言ってもらったんですよね。
その会社は香川にあったのですが、讃岐うどんを食べたいなという気持ちもあり、
転職を決め、香川に引っ越すことにしました。(笑)
実際に香川の社宅で初めての一人暮らしを始めるようになってからは、
ツーリングをしたりうどんを食べたり、自由な生活がとても良かったですね。
ただ、仕事自体は受託業務を中心としていたため、
新しい技術を学べないかもしれないという不安や、自社サービスに関わってみたいというモヤモヤはありましたね。
また、既に私が転職した時には、学生時代に私をバイトに誘ってくれた菊池さんという友人は退職していたのですが、
彼の転職先である、成長中のベンチャー企業から受託で仕事を受け、一緒に働くことになったんです。
そして、その仕事を担当するうちに、そのベンチャー企業がある東京で受託の仕事をしてくれと言われ、
東京の社宅に引っ越すことになりました。
仕事がかなり忙しくなっていたこともあり、それでいいかなという感覚でしたね。
ところが、自分の能力不足もあり、担当したプロジェクトが上手く行かなかったんです。
仕切るような立場にいたこともあり、大分辛かったですね。
「もう俺、ダメだ」
と思いましたし、
仕事で出てきた東京の地で、この先どうしようかが全く浮かびませんでした。
そんな折、友人の菊池さんが会社を退職して自ら独立することになり、
エンジニアとして創業メンバーに誘ってもらえたんです。
まるで光が見えたような気がしましたね。
そのまま、迷わず参画をすることに決めました。
週3日くらいがちょうどいいかもしれない
創業期に参加した会社のメンバーのうち、エンジニアは自分1人だったため、
サービスの設計・開発・運用となんでもやりました。
それでも、初めて自社サービスに携わり、利用者の声を直接聞き、それをシステムに反映させる環境はすごく楽しかったですね。
しかし、2年ほど働くと、さすがに繰り返していた激務の影響で疲れを感じてしまったんです。
ちょうど、事業は成長をしてエンジニアが増えてきたこともあり、
一息つきたいと思い、一旦会社を離れることに決めました。
それからは、付き合いのあった知人から仕事をいただき、フリーランスとして仕事を始めたのですが、
ふたを開けてみると、それまでと忙しさとしては変わりませんでした。
逆に、家で仕事をしていた分、24時間働くことになってしまったり、
食事に時間をかけないために、出前を頼んだりするようになったんですよね。
「あれ、こっちも忙しいのか」
という感じでしたね。
また、比較的に手が空いたタイミングで前職の仕事を受けてみたのですが、
やっぱり、現場に入り口頭でやりとりをしながら働くのはいいな、と感じたんです。
それでも、週5だとこれまでと同じでキツいので、週3くらいならいいかな、とぼんやりと考えていたところ、
興味を持ったサービスを運営するベンチャー企業で、週3勤務でOKをもらったんですよね。
話をする中で、その会社の方と一緒に働きたいという気持ちも重なり、
実際に3日だけ仕事をして、残り2日を自分の勉強や投資等に回す生活を始めたのですが、
生活が安定し、余裕が生まれるのを感じました。
自分だけでなく、エンジニアは激務で身体を壊す人も多く、
周りにも、疲れて実家に帰ってしまったり、精神を病んでしまった人もいました。
でも、その人たちがもし週3日で働いていたら、
きっとそんなことは起こらなかったんじゃないかと感じるようになったんです。
やりたいことを出来る人が増えていくと思うんです
そんな風に考えていた時に、
以前から知り合いだった株式会社シェアゼロの代表の中川さんから、
「エンジニアが週2・3日働くためのプラットフォームを作りたいから手伝ってくれ」
という話をされたんです。
昔から会社には誘われていたのですが、自分自身まさにそのような働き方を増やしたいと考えていたこともあり、
これはちょうどいいと思い、その立ち上げに参加することに決めました。
現在は、エンジニア向けに週2日から働けるお仕事を紹介する『PROsheet』というサービスの開発に携わっています。
今は週3で仕事をするのがエンジニアにとってバランスが良いのではないかと考えているため、
週3の仕事を増やしていきたいと考えていますね。
最終的には働き方のバリエーションを増やすことを目的としていて、
働き方の幅が広がることで、自分の時間が増え、やりたいことが出来る人がもっと増えるはずだし、
日本からもっと面白い人やサービスが出てくることにもつながると思うんです。
もちろん、私自身も週3日で勤務をしていて、
残りの2日について、最近はロボットの分野に関心を持っています。
もしかしたら来年は違う分野に関心を抱いているかもしれないですが、
技術者として、自分が面白いと思うものに携わりながら新しい技術に触れることで、
自分自身の価値も高めていきたいですね。
2015.02.08