ところが、実際に働き始めると、面接時とは話が違い、地下の倉庫に籠って在庫整理をする日々が1か月も続きました。仕事が終わって地上に出るととても眩しく、まるで幽閉されているようでしたね。(笑)それでも、真面目に働いて、なんとか店内のレジ横の免税手続き担当に昇格し、最終的には販売員の経験もさせてもらえました。

そんな風に働く中で一番驚いたのは、グッチの社員がブランドに強烈なプライドを持っていることでした。

最初は、短パンで来る外国人観光客に、ある種傲慢な態度をとる店員を見て、「なぜこんな接客をするの?」と衝撃を受けたんですが、その背景には、モノづくりに対するプライドがあることを知って、妙に納得したんです。

同時に、日本にはそのようなプライドがないな…と。だから日本では接客文化が育ったのかもしれないし、良い面と悪い面があるのも事実。

しかし、世界では下請け工場が一流のブランドになっているという現実や背景を目の当たりにして、ブランドにならないまま消え去りそうな日本の工場のことを考え、すごくもったいないと感じたんです。

そんな風に考えていたこともあり、ある日、グッチの仲間と会話をする中で、「日本でグッチのような誇れるブランドを作る」と自然に口にしてしまったんです。

売り言葉に買い言葉、そんな感覚で出た言葉でしたが、ものづくりにプライドを持った、Made in JAPAN のブランドを作りたい、という思いがありました。