全てのことを楽しみながら生きていきたい!出張バーテンダーの僕が、大切にしたい思い。

出張バーテンダーとして、全国各地の様々な場所に出張をする活動をされている溝江さん。 「あらゆることを全力で楽しんでしまう」と語る溝江さんが現在に至るまでには、一体どのようなキッカケや思いがあったのでしょうか?

溝江 雅美

みぞえ まさみ|日本一ご縁を結ぶ出張バーテンダー
「日本一ご縁を結ぶ出張バーテンダー」として、全国各地様々な場所に出張する傍ら、
「アマチュアバーテンダースクール」「楽市」などのイベントオーガナイザーとしても活動している。

ご縁を結ぶ、出張バーテンダーまちゃの日々

人に何かを与えるような仕事がしたい!


幼い頃から自分で何かを想像すること、それによって人を喜ばせることが好きでした。僕は青森県で生まれ育ったのですが、田舎だったためあまり娯楽は多くありませんでした。そんな中、家に小説が沢山おいてあったので、自然とハマっていったんです。

また、小学4年生の時はファミコンの「ドラクエ3」にすごくハマってしまい、学校にいる間もドラクエがやりたくてたまりませんでした。そこで、ノートに自分でドラクエの様なダンジョンを描いて、「マサクエ」(名前が雅美なので)を作ってみたら、友達から大好評だったんです。結局、小学6年生までずっと好評で「マサクエ3」まで続きました。

最初は自分のために作ったものだったのですが、周りの友達が喜んでいる様子がとにかく嬉しくて、将来は「人に何かを与えられるような仕事がしたい!」と思うようになりました。

ところが、その後高校生になり、具体的に「人に何かを与えられる仕事」ってなんだろうと考えてみると、先生や医者・弁護士の様に、頭とお金が必要なものばかりでした。元々勉強は得意じゃありませんでしたし、大学に行くために勉強をする気にもなれず、どうしたものかと考えた結果、卒業後にとにかく東京に行くことに決めました。生まれ育った地元の青森には、以前から何もないと感じていましたし、なんとなく、東京に出なければいけない気がしたんですよね。

かといって、東京で1人暮らしをするお金など無かったので、住む場所と貯金を作るために、寮がある大手スーパーのお総菜売り場の仕事をすることだけを決めて、高校を卒業後に上京しました。

東京の洗礼


上京後は、とにかく100万円を貯めることを目標に設定し、毎日朝早くから夜遅くまで必死に働いていました。決してスーパーで働くために上京した訳ではなかったですし、あくまで夢を見つけるためのステップだと思っていたので、少しでも早く目標の金額を貯めて、すぐにスーパーを辞めようと考えていました。

しかし、一方で目の前のことはしっかりと大切にして、やることは楽しみたい性格なので、そうは言いながらも、一つ一つの仕事は楽しみながらやっていましたね。

そんな風にがむしゃらに働いた結果、1年で目標の金額の貯金ができ、そこでスーパーの仕事を辞めて、役者の専門学校に半年間通った後、劇団に入りました。「人に何かを与える仕事」という点で、役者になんとなく憧れを抱いていたんですよね。

ところが、劇団に入ったことで役者としての第一歩を踏み出したつもりが、やらせてもらえるのは音響と証明の担当ばかりで、ほとんど役をもらえませんでした。ただ、その音響・照明がこれまた楽しいんですよ。舞台や会場の空間を作る雰囲気がオーケストラの指揮者みたい気持ちよかったですし、とにかく学んでいく過程が堪りませんでした。

そんな風に充実した毎日を送っていたのですが、ある時プライベートで騙されかけて、精神的にかなり追い詰められる状況になってしまい、持病のアトピーが一気に悪化して、倒れてしまったんです。人の目が気になるから外にも出れないですし、普通の日常生活を送ることすら難しいので、劇団も辞めざるを得ず、生活費は借金で賄うしかありませんでした。

「バーテンダー」という仕事との出会い


アトピーは1年経った頃に何とか働けるまでに回復しましたが、療養生活でお金が無くなってしまったので、再びアルバイトを始めました。そこで、どうせ稼ぐなら色々と経験をしてみたかったので、引っ越しや焼却炉の洗浄作業、人材派遣など、様々な仕事をしましたね。

そんな折、たくさんの仕事を経験する中で、「包丁のスキルを身につければ食いっぱぐれなかろう」と思いつき、募集していた新宿・靖国通りのダイニングバーのオープニングスタッフに応募し、キッチンスタッフとして働き始めることにしたんです。

料理は全くの未経験でしたが、から揚げや湯葉巻きの作り方を知ったり、作業をいかに効率的に終わらせるかを考えたりしながら働くことが楽しかったです。肝心の包丁は手先が器用じゃなかったのでかなり苦労しましたけど・・・。(笑)

するとある時、「接客の人数が足りないので、バーテンダースタッフとして働いてほしい」と頼まれ、言われた通りにやってみることにしたんです。

最初はとにかく、お客さんと面と向かって話す状況に戸惑い、何を話せばいいか全くわかりませんでした。「ならば相手の話を聞こう!」と思い、真剣にお客さの話を聞いているうちに、少しずつ自分の引き出しが出来てきて、会話が弾むようになっていきました。

会話のことだけでなく、お酒についても覚えなければいけないことは山ほどありましたが、「これを覚えればお客さんが喜んでくれる!」と思うと、覚えることを楽しみながら勉強できましたね。

その後は、以前ダイニングバーで一緒に働いていた先輩の紹介で、歌舞伎町のお店でより本格的なバーテンダーとして働いたり、更に高いレベルを求めて銀座の高級バーで修行をさせてもらったり、徹底的にバーテンダーとしてスキルと知識を叩き込みました。

そもそも、何でやっているんだろう?


すると、少しずつ「いつか自分の店を出したい」という気持ちが強くなっていき、具体的にどこにお店を出そうか考えてみることにしたんです。いくつか候補は出たのですが、最終的に、僕が一番長く働いていた町で、また、僕自身に会いに来てくれるお客さんも沢山いた新宿に的を絞ることにしました。その方が、いざお店を出した際にスタートダッシュが切れると思ったんですよね。

それからは、更に自分の能力を高めるために、新宿にオープンする新店でチーフバーテンダーを担当させていただいたり、知り合いの方がオーナーを務める、阿佐ヶ谷にある曜日ごとに店長が変わるダイニングバーで、あえて、普通はあまりお客さんが来ない火曜日の店長を担当させてもらったりと、独立のための下準備を進めていきました。

そんなある時、風邪を引いて家で寝込んでしまうことがあったのですが、「こんな時にお酒作りに来てくれる人がいたらいいなー」と思い、「じゃあ実際に自分でやってみよう!」ということで、仕事の合間を縫って2010年の5月に出張バーテンダーの活動を始めることにしてみました。

ところが、mixiで宣伝をしたりお店のお客さんに話してみたりすると、「面白そう、頑張ってね!」と応援してもらえるものの、ほとんど使ってもらえませんでした。そこで、より本格的にしていこうと思い、料金体系を考え、積極的に宣伝をしてみても、全く使ってもらうことができなかったんです。

最終的には、「この状況を何とかしなければいけない」と考えることが精神的に負担になってしまい、次第に、人に会うことすら怖くなっていき、人がたくさんいる場所に行こうとすると、動悸が起こるようになってしまったんです。

そこで、このままではいけないと思い、1週間ほど休みを取って、朝から晩までカフェに籠って自分の思考をゆっくりすることにしてみたんです。すると、ふと「なんで俺バーテンダーやってんだ?」という疑問が出てきて、その答えを導くために自分の価値観を掘り起こして行った結果、「目の前にいる人を喜ばせることで、自分がハッピーになれてるから」という思いが、自分の原点だと気づいたんです

それを機に一気に気持ちが晴れて、もう一度自分の価値観に基づいて、宣伝方法や料金体系ではなくコンセプトから考え始めることにしました。

一つ一つを大切に、全てを楽しんでいきたい


その後、自分の根底にある思いに基づき、肩書を「日本一ご縁を結ぶ出張バーテンダー」として、ただ、お酒を創りにいくだけではない、自分なりのコンセプトをふたつ、設けました。

ひとつは、「幹事様を絶対赤字にはさせない」ということで、正直、僕が赤字になることもありました。しかし、まずは、役割を与えていただけることがありがたいことであるし、そして、予算の中で最大限、出来ることをやり切る、ということが求められてることなんだ、と感じました。

そして、もうひとつのコンセプトが、「いかにその会を日本一盛り上げるか」。いらしてくださる多数のゲストの名前を率先して覚えたり、お酒をツールとして、会話の糸口を創ってあげたり。また、バーテンダーの仕事だけでなく、時には料理を運んだり、司会をしたり、企画の段階からお手伝いをしたり。呼んでくれた人の要望に合わせて、なんでもやることにしてみたんです

すると、不思議なことに仕事がどんどん回りだしていき、2年ほど前からは、勤めていた新宿・阿佐ヶ谷のお店を辞めて、出張バーテンダー一本で活動をしています。出張先は企業のパーティー、懇親会、ホームパーティだけでなく、バーベキューやお寺、街おこしなど様々で、場所も東京に限らず全国各地へ出張させていただいていますまた、最近は身の回りの方のご要望に応えて、みんなでお酒の勉強をする「アマチュアバーテンダースクール」等の運営も行っています。

現在は出張バーテンダーが僕のメインではあるのですが、あくまで最大の目標は「目の前の人を喜ばせる」ことなので、正直、バーテンダーという仕事自体にこだわり続ける必要もないと思っています。僕は昔から、色々なものに対して、とりあえず「面白そう!」と興味を持つタイプなので、これから先も今までと変わらず、自分の興味に正直に、一つ一つのことを大切にしながら、仕事で遊ぶことを全力で楽しんで生きていきたいですね。

2015.01.03

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