戦争のない平和な世界を創る。そのヒントは、日本文化にあり。

幼い頃から正義感に溢れ、世界平和について考えていたと語る浜村さん。 戦争のない平和な世界を創ることをコンセプトに3年前にユニバーサルピース株式会社を立ち上げ、飲食を中心に多角的に事業を手がけています。どのような背景があって今の会社を立ち上げることにしたのか。お話をお伺いしました。

浜村 知成

はまむら ともなり|平和ビジネス、飲食店「士心」を運営
戦争のない平和な世界を創ることを目標に、ユニバーサルピース株式会社を立ち上げ、
飲食事業「志心」、文化事業、教育事業と多角的な事業に取り組んでいる。

ユニバーサルピース株式会社HP
 

変わらない志


私は島根県出雲市出身で、祖父と父は経営者という家系に生まれました。小学生の頃から「戦争のない世界を創る」という志を持っていて、正義感が強い子供だったんです。

中学校、高校もずっとその志を持っていて、高校では平和について論文を書いて弁論大会に出場していたりしました。その論文では「今の国連では不十分で、世界をひとつにしなければならない」と書いていましたね。

そんな高校生時代に社会では環境問題が注目を浴びていて、私も環境問題に興味を持つようになったんです。そこで、大学では環境経済学が専攻できる京都の大学に進学して、戦争と環境経済という視点で卒業論文を書きました。

大学では人間が侵す環境破壊の中で、戦争が及ぼす影響はものすごく大きいことを学んだんです。例えば軍事活動なんて全く環境問題を考えない分野で、戦闘機が1時間飛んだだけで一人の人間の一生分の二酸化炭素がでるんですよ。

環境の面でも、人間の努力を一切無駄にするような戦争はやはりなくさねばならないと思い、戦争のない世界を創るという想いがより強くなったんです。

そう考えていた時に、イギリスの大学に、元国連職員の方やイラク兵の方など様々な人が集まり平和について考える「平和学部」があることを知ったんです。これは行くしかないと思い、大学卒業後は、平和学部があるイギリスの大学院に進学することにしました。

根本的な解決ができない


大学院では、戦争をなくす根本的な仕組みを創るための研究をしました。もともと高校の時から国連を超える組織を創りたいと思っていたんですが、世界では昔から著名人によって世界を1つの連邦国家として捉える、「世界連邦」という思想が提唱されていたことを知ったんです。

最終的には世界連邦を創る事が理想だと実感できるようになったのですが、実際そのために活動をしている人はほとんどいないと感じたので、私は将来その世界連邦を実現するための活動をしたいと思ったんです。

そこで国連を内部から変えることはできないのかと思い、最初は国連職員になることも考えていたのですが、元国連職員の方の話を聞いてそれはやめたんです。というのも、国連はあくまで国が取り決めたこと同士を話しあう場で、その国でどんな意思決定がされるかには干渉できないんですよね。これでは取り組める課題の範囲が狭く、自分のやりたいことはできないと思い、国連職員ではない道を選ぶことにしたんです。

その後、進路には迷っていたのですが、大学院を卒業してビザが切れるタイミングで日本に帰る必要がありました。ただ、普通に帰っても面白くないと思い、陸路で帰ることにしたんです。

民間企業の可能性


その旅の途中、ネパールからチベットに入る時、チベットへは外国人は個人では入国できないことを知り、現地の旅行会社に頼んで色んな国の人と一緒に、ジープで1週間くらいかけて通過しました。

その時に乗ったのがトヨタのジープで、日本の民間企業の車が多国籍の人を乗せて平和的に国境をまたいだという事実に感動して、民間企業って素晴らしいなと思ったんです。

また、国の組織やNGOと違って自分たちで予算を作り、いかに無駄を省いて効率的にお金を動かすかを考えている民間企業は、組織と体制としても素晴らしいなと思ったんです。

そんな考えから民間企業で働きたいと思うようになり、帰国してから総合商社で働くことにしました。世界的に見てもレベルの高い日本の環境技術を世界に輸出していけば、石油など、天然資源を根端とする戦争抑止にも繋がると思い、電力系の部門に入ったんです。

ところが、私はバブル真っ只中のドバイ担当になり、富豪たちのプライベートアイランドへの電力供給のための海底ケーブルを通す仕事などをすることになりました。3年ほど働いたのですが、自分のやりたかった平和や環境とは関係の薄い仕事への違和感に耐えられなくなり、辞めることにしたんです。

そんな時にソーシャルビジネスに出会い、グラミン銀行で2ヶ月程ソーシャルビジネスの仕組みを学ぶトレーニングプログラムに行きました。

そうしていく中で、民間企業が社会に影響を与えられる可能性は大きいけれど、そこに社会性や道徳性がなければ、逆に社会を悪くするなと思ったんです。そう考えている時に戦争をすればするほど儲かる「戦争ビジネス」はあるけど、その逆ってないなと思うようになったんです。

ビジネスが回れば回るほど平和になる「平和ビジネス」を創りたいと思い、3年前に今の会社を始めたんです。

志を広めていく場所


今は、京都に構えた「士心」という飲食店を中心に事業を手がけ、戦争のない平和な世界を創るための活動を多角的に取り組んでいます。

「士心」には三つの意味を込めているんですが、一つ目はまさに「食」です。

戦争の起源は「食」の争いだと言われているんです。今世界では人口がどんどん増えていて、同時に砂漠化も進んでいて、そうなると世界は食糧不足に陥り、また「食」を原因とした戦争が起きると危惧しているんです。

そこで色々な国の食糧自給率を上げなければと考えているのですが、日本は自給率が低いだけでなく世界最大の食糧廃棄国で、世界の食糧援助量の約4倍もの食糧を捨てている一面も持っています。「士心」は日本の食糧自給率を上げるため、最大限国産の野菜を使うことにこだわりをもっています。

二つ目は「文化」です。

文化にはソフトパワーとして戦争を抑止する力があるんです。京都は、広島・長崎と同じくアメリカの原爆投下の候補地だったんですが、日本の1000年以上続く文化があるこの地に原爆を落とすと、日本人はアメリカを怨み、多くのテロリストを生む可能性があると考え、候補地から外されたという説があります。

日本中で過疎化が進み各地の伝統文化が絶滅している現状から、ソフトパワーである文化で、まずは日本を平和にしたいと考え、大学生や外国人が多く、日本文化の中心地である京都から日本各地の伝統文化を国内外へ発信する店を構える事にしました。

最後に「武士道」です。

武士道の究極の理想は平和だと言われているんです。武士の「武」は「矛止(ほこどめ)」、「士」は「極める」を意味しています。日本の武道は相手を殺すというより、いかに相手を止めるかということを大切にしていて、これを矛止めの精神と言うのですが、「武士道」はまさにこの矛止を極める道なんです。これが武士道の究極の理想は平和だと言われる所以なんです。

今の日本に武士はいませんが、同時にこの「矛止」の精神である武士道をも失ってしまった人が多く、 「士心」は今一度この武士道を日本人に思い出してもらい、世界に発信する場としたいんです。

戦争の起源である「食」・戦争を抑止する「文化」・平和を理想とする「武士道」この三つを世に広めていくその場所として「士心」という飲食店の運営をしています。

また、今は「薫風新生社」という教育事業も立ち上げ始めています。教育と事業が一体になった「挑戦の場」を創るため、何かを実現させたいと考える若者がプロジェクトを立ち上げ、経営者や大学の教授など様々な実績と経験を持たれている人が支援につき、プロジェクトを一緒に実現させていく、そんなことをしています。

“人づくりと人もうけ”


今後は「士心」を軸に、戦争のない世界のため、さらに色々なことをしていきたいと思います。私の中では二つの言葉がキーワードになっていて、それは同じ志をもった人達を育てていく「人づくり」と、ことを成すために同じ志をもつ人達をつなげていく「人もうけ」です。

これからの時代、人は「日本人」「アメリカ人」といった国籍で分断された意識を持っていては、グローバルな問題を解決できないと思うんです。そのため「人づくり」として、国の枠を超え、地球に住む一人の人間であるという感覚を持つ「地球人」を増やす必要があると考えています。

そして、今生きている人を地球人にするための手段として「士心」を世界中につくろうと考えています。世界中の若い人に、各地に作る「士心」の海外拠点を周る世界一周の旅を経験してもらうことで、「国境なんて存在しない」という感覚を持って欲しいんです。

それは私がユーラシア大陸を横断した時に実感したことですが、国境の関所でパスポートにスタンプを押されて、「はい、ここから別の国です」と言われても、景色も人も変わらず、国境なんて作られた錯覚でしかなかったんですよね。

国境なんかで分断されていない、みんな同じ地球に住んでいるという地球人としての感覚を持って欲しいんです。

また、今後生まれてくる人には、教育事業を通じて地球人になって欲しいと考えています。構想としては、生まれた国の教育を受ける前の子ども達を集めて、様々な文化や言語や宗教、歴史などを、どこかの国の思想が反映されない教育を施したいと考えています。国の教育は大小あれ国益に基いたものになっていますが、その国益にとらわれないフラットな教育をすることで、「地球益」を考えられる子どもたちを育てたいんです。

そして、そんな地球人が何十年後、何百年後には各国のリーダーになっていくことで、国ではなく地球全体のことを考えようと、横で繋がる「人もうけ」ができると考えています。

そうすることで、地球が一つの共同体になっていく流れが生まれ、国連を越える組織「地球政府」ができ、戦争のない世界を実現できると考えています。その実現のため、まずは目の前の一歩目から歩んでいきます。

2014.09.14

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