日本から新しい価値が生まれる土壌を。世界地図から日本を見て抱いた「使命感」。

新しい挑戦が生まれる社会のインフラとなるような、クラウドファンディングサービスの運営に取り組む中山さん。ビジネスのロジックだけでなく、日本から新しい価値を生み出すことに「使命感」があった、という背景にはどんなエピソードがあるのか、お話を伺いました。

中山 亮太郎

なかやま りょうたろう|クラウドファンディングサービス運営
プロジェクトを実行するために必要な資金を、インターネットを通じてから支援して頂くことで、
プロジェクトの実現までサポートするクラウドファンディングサービス『Makuake(マクアケ)』を運営する
株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディングの代表取締役を務める。

Makuake(マクアケ)

サッカー選手から弁護士へ


幼稚園の頃からサッカーを始めました。
『キャプテン翼』に憧れたのがキッカケで、小中高とずっとサッカー部に所属していました。
小学校の卒業アルバムでは、

「サッカーのキャプテンになる」

と書いていましたね。(笑)

その後、中学からは中高一貫校に進学したのですが、
そこまで強いチームでは無かったものの、個人としては東京都の選抜に選ばれたんです。
自分自身、サッカーに自信がありましたし、将来はプロとして食べていこうと思っていました。

ところが、高校生になると、名門高校との差が如実にでてきてしまったんですよね。
練習試合でぼろ負けをして、思っていたよりもずっと大きなレベルの違いに、
「あれ?」という感覚がありました。

そんな現実に直面した高校2年生の時、僕はサッカー選手を目指すことを諦めました。
しかし、ただ単純に諦めるのはすごくカッコわるい気がして、その代わりに何か別のものを目指そうと思うようになったんです。

ちょうど進路選択の時期も重なっていたため、自分は何が向いているだろう?何がカッコいいだろう?と考えた結果、
口が上手いから、という理由で弁護士を目指すことに決めました。
正直、ドラマで見る程度の知識で、「異議あり!」くらいしか知りませんでしたね。(笑)

しかし、そう決めてからはサッカー部を辞めて、法学部に進学するための勉強を始め、
一浪を経て、都内の私大の法学部に進学することに決まりました。

事業作りへの関心から、ベンチャーへ


大学に入学すると、法学部ということもあり、周りは1年生から資格学校に通う学生ばかりでした。
誰に聞いても皆弁護士を目指すような環境だったのですが、不思議なことに、皆弁護士がどんな職業か知らなかったんですよね。
自分自身もよく分からなかったのですが、「なんでよく知らずに目指すのだろう?」という違和感から、
知り合いの弁護士事務所で、実際にアルバイトをさせてもらうことにしたんです。

実際の仕事といえば、郵便物管理やお茶くみ等の雑務だったのですが、
弁護士の先生方がすごく優秀でカッコよく、

「社会で活躍する本物はこういう人なんだ」

という感覚を持ちました。
ところが、実際に接していると、尊敬を通り越して、「すごいな」という畏怖から、
自分には向いていないかもしれないと感じるようになったんですよね。

また、父親が20年以上会社経営を行っていたこともあり、働いていた弁護士事務所に相談に来るような、
企業の経営者の方に関心を持つようになったんです。
それからは、「事業作り」に面白さを感じるようになり、まずはビジネスを学ぼうと、
法曹の世界ではなく、一般企業に就職することに決めました。

その中でも、ただ漠然と就職するのではなく、事業を作る能力をつけたいと思い、
コンサルや広告代理店や商社等を見て回りました。
ところが、事業の主体者として仕事ができ、かつ一番成長の角度が大きい20代のうちから裁量を持てるような環境が見つからなかったんですよね。

そんな折、たまたま会社説明会でサイバーエージェントに出会いました。
IT起業家ブームだったこともあり、藤田さん自体は有名だったものの、会社自体は、まだ数百名規模のベンチャー企業で、
何より自分が軸としていた環境に全て一致しており、迷わずに入社を決めたんです。

実際に会社に入ってからはまさに期待通りの環境でした。
社長室事業戦略部という部署を自ら志望し、投資子会社にて企業投資の見習いをしたり、
大手企業と提携したメディアの立ち上げに携わったり、
早々と大きな仕事に関わることで、ビジネス感覚を養うチャンスを得ることができました。

また、業務の一つとして、朝は藤田社長のお迎え運転手という仕事も担当していました。
大切な親分の命を背負って運転するということで、事故るんじゃないかというくらい緊張していましたが、
携わっている事業にアドバイスをもらったり、逆に個人的なダメ出しをしていただいたり、
数十分という時間ながら、すごく貴重な経験でした。

社会に対して大きなインパクトを残したい


その後、大手企業との提携メディアが順調に成長していったこともあり、
そのまま部署ごと独立し、事業自体が収益化していくフェーズまで携わることができました。

元々、入社した時はいつかは独立するんだろうな、という気持ちがあったのですが、
いつ独立しても成功するんじゃないかと思える程尊敬する先輩と、なぜ会社に居続けるかという話になった際に、

「大きな会社の強みを活かして、どこまで大きなことをなし得るかに興味がある」

と仰っていたんですよね。
そこで、自分の中にパラダイムシフトが起きた気がしました。

それまでは、ただ社長になりたいという考えだったのが、社会に対して大きなインパクトを残せることをやりたいと考えるようになったんです。

そんなことを考え始めるようになった頃、投資子会社のベトナム投資担当の役職が空いたという話で、
ベトナムに行ってみないか?という誘いをいただきました。

自分自身、まさに世界的にも価値が出せるような事業をやりたいという思いを抱くようになっていた矢先だったため、
大きなチャンスを感じ、ベトナムに向かうことに決めたんです。

正直、ベトナムに行ったことが無いこともあり、
不安なポイントもわからないまま飛び込む、というような状況でした。

実際に現地で投資業務に携わるようになってからは、本当に1つの産業を作っているというエキサイティングさがありました。
もともと、一部の農業を除いて、ベトナムではぱっと思い浮かぶような産業が無く、
自分たちの使うものを自分たちが作っていない、という状況だったんですよね。

そんな中、オフショア開発の拠点になることも多く、エンジニアも多いため、インターネットにはまだ自分たちで取り組む余地があったんです。
そんな背景もあり、「ベトナム人はベトナム人が作ったサービスを使う」という状況を目指し、
現地のパートナーと二人三脚で投資を進めていきました。

日本から新しいものが生まれる土壌作りへの使命感


また、「世界地図の上で日本を見る」という視点を得られたのは大きな収穫でした。
仕事やプライベートで東南アジア諸国を回る中で、その国における日本製品の状況で国としてのプレゼンスを感じ取っていたのですが、
日に日に、海外での日本のプレゼンスが下がってきているような感覚を持つようになったんです。

そんなこともあり、仕事では、海外の産業発展の支援をしながらも、
もっと日本から何か生み出すことができないか、というような危機感を抱くようになっていったんですよね。

そんなタイミングで日本からの電話があり、会社として参入することに決まった「クラウドファンディング」の新規子会社の代表にならないか?という誘いをいただいたんです。

ちょうど、ベトナムの理髪店で髪を切っていたのですが、
「クラウドファンディングって知ってる?」
と聞かれた際に、「ん、これはもしや・・・」と思いましたね。

以前から社長をやりたいというのは言い続けていたことでもあったため、
すぐに「やらせてください」と即答しました。
ちょうど31歳の誕生日を迎えるタイミングで、満を持してチャレンジができる、というタイミングでした。

また、海外に住んでいたからこそ日本への思いも強く、
クラウドファンディング自体がアメリカにあって、日本に根付かなかったら、
「新しいものが生まれる土壌」について、さらに差がつくと感じたんです。

そんなの嫌だったんですよ。

海外で見聞きした現状への危機感から、強い使命感がありました。

新しいプロジェクトを生み出す、社会のインフラに


実際にクラウドファンディングサービス『Makuake(マクアケ)』を立ち上げてから半年は、手探り状態で進んでいきました。
ぶつかりながら、見えないものを見ていこうという思いもあり、全てを爆速で進めていきましたね。

元々想定していた仮説通りに行かないこともあり、資金を募る側のニーズが無いのではないか?と迷うこともあったのですが、
「クラウドファンディング」自体の知名度が低いこともあり、
そこが理解されれば、仕組みを欲している人がたくさんいることが段々分かってきたんです。
他の事例の効果もあり、キッカケを掴んでからは加速度的にサービスが広がっていきました。

現在は、ちょうどサービスを初めて1年というタイミングですが、
『Makuake』が社会のインフラになることに自信を持っています。

新規の中小規模のプロジェクトについて、資金ニーズはあるものの、
銀行はお金を貸しにくく、ベンチャーキャピタル等のリスクマネーが入るほどの規模でもなく、
ぽっかり空いてしまっているニーズがあり、その規模は、掘れば掘るほど大きいと思うんです。

だからこそ、そんなプロジェクトが生み出される際のインフラとして、
サービスを拡大していきたいという思いがあります。
いずれは、『Makuake』から生まれたものが世界中で使われるような状態を目指したいです。

そうなったら、僕も資金を募って映画でも撮ってみたいですね。(笑)

2014.08.19

ライフストーリーをさがす
fbtw

お気に入りを利用するにはログインしてください

another life.にログイン(無料)すると、お気に入りの記事を保存して、マイページからいつでも見ることができます。

※携帯電話キャリアのアドレスの場合メールが届かない場合がございます

感想メッセージはanother life.編集部で確認いたします。掲載者の方に内容をお伝えする場合もございます。誹謗中傷や営業、勧誘、個人への問い合わせ等はお送りいたしませんのでご了承ください。また、返信をお約束するものでもございません。

共感や応援の気持ちをSNSでシェアしませんか?