絶望した自分を変えた様々な出会い。元美容師が創る「人がつながれるコミュニティ」

「人がつながれるコミュニティづくり」というコンセプトのもと、飲食店やシェアハウス、イベントのプロデュースを行っている中島さん。「美容師で1番を目指す」という夢を追っていた中島さんに訪れた転機とはどのようなものだったのでしょうか?

中島 庸彰

なかじま のぶあき|飲食店・シェアハウス・イベントのプロデュース
「出会いを通じて、目の前の人の人生を変える」という理念のもと、
飲食店経営、イベント企画・運営、シェアハウス運営等を行う、
株式会社socia’L CORE(ソーシャル・コア)の代表取締役を務める。

株式会社socia’L CORE(ソーシャル・コア)

1番を目指して決めた進路


高校生の頃から、夢もなければ秀でたものもなく、ぱっとしない自分にコンプレックスがありました。

中学の時は、姉の影響でテニスを始め、練習に打ち込むことで群馬県で3位をとることができたのですが、
1、2位の選手は小さい頃からテニスを始めていて、どうしても勝てない壁を感じていたんです。

その後、高校に入ると友達と遊ぶことが楽しくなり、テニス部での活動は中途半端になっていき、
高校3年生になって、やっと進路を考え出すと、
勉強もスポーツも中途半端なことへの課題感から、

「何か成し遂げたい、1番になりたい」

という思いが出てきました。

そこで、テニスの時に感じた、スタートから既に差がついているものではなく、
18歳からスタートできるものってなんだろう?と考える中で思いついたのが、美容師でした。

元々、地元の美容室では満足する髪型にならず、自分で髪の毛を切っていたのですが、
ある時、それを知った友人に頼まれて髪を切ったことがありました。

そこで初めて他人の髪を切ることになったのですが、
その友人に「そこらへんの美容室に行くより良い」言われ、すごく嬉しかったんですよね。

そんな背景もあり、僕は美容師を目指すことを決めました。

また、漠然と、まだ若いと言われる25歳までに自分で生活を送れるようになりたいという思いがありました。

そこで、まずは専門学校で1番になり、大手サロンに入ろうと思い、
どうせだったら東京に出よう!という気持ちも重なり、
少数精鋭で教えてもらえる、人数の少ない東京の専門学校に進学することに決めました。

日本一の美容師を目指した専門時代


それから希望の専門学校に入学し、
「一番になって有名なサロンに入るぞ」という意気込みを持って学生生活がスタートしました。

しかし、最初の実技のテストで、最低評価を取ってしまったんです。

気合が入っていた分、ひどく落ち込みました。
すごく練習していたのに、まったく練習していない人よりもヘタで、自分は美容師に向いていないのかとも思いました。

しかし、地元の友達に「1番になって帰ってくる」と言っていたこともあり、帰るわけにもいかず、
成績の良い人たちの横に行って技術を見たり、見よう見まねでとにかく練習をしたんです。
それからは「わからないことは上手くいっている人に聞く」というのが習慣の一つになっていきました。

また、元々人前に出ることがすごく苦手で、授業で先生から指名されないように祈るようなタイプだったのですが、
お客様とのトークが欠かせないプロの美容師になるためには、このままではだめだと考え、
授業中に挙手したり自分から発言をしたりするようにしました。
休みの日にアパレルへ行って、店員さんと無理やり会話をしてみたこともありました。
とにかく専門学校では真面目に努力をしていましたね。

そんなひたすらな努力の成果もあり、
学校の最終総合成績では1位になり、志望していた表参道の有名サロンへの就職も決まりました。
努力が実り、地元の友達にも胸を張れると思い、とても嬉しかったですね。

夢だった美容師を辞め、新たな一歩


そんな風に自信を持ってスタートした美容師生活は、とても厳しいものでした。

朝から夜遅くまで出勤し、休みの日はモデルハントに費やす生活を送っていて、
専門学校で身に付けた技術も全然通用しなかったんです。
初めに持っていた自信も粉々になりましたね。
ただ、そんな状況でも、1番になるという目標のため、必死に働き続けました。

ところが、そんな生活を送っていた22歳のある朝、突然ベッドから起き上がれなくなったんです。
病院に行ってみると、診断結果は、ヘルニアでした。

最初は病院に行けばどうにか治るだろうと考え、リハビリに励みました。
しかし、回復して職場に復活したものの、1週間くらいでまた同じ状態に戻ってしまったんです。
その後も先輩が気を使って仕事の配置を変えてくれたりしたのですが、申し訳なさばかりが増し、
こんな状態で続けることは難しいな、と考えて美容師を辞める決意をしました。

1番になりたいと思って歩んできた道を諦めることは辛く苦しく、
これまでの努力が報われなかった感覚に打ちひしがれ、絶望を感じました。

それでも、25歳までに自分で生活をできるようになる、という自分の目標の期限が迫っていたこともあり、
何か始めなければという思いがありました。

とはいえ、ずっと美容師だけを目指して生活していたので、
それ以外の世界がわからなかったんですよね。

そこで、とにかく色んな人に会い、独立のヒントになる情報を得ようと動き始めることにしました。
まずは友人に、「20代で独立している人を紹介してほしい」とお願いすることで
人づてに色んな人を紹介してもらっていったんです。

そんなある時、独立されている方とお会いした時に、
「目上の人にお願いをして会うときは、スーツを来た方がいいよ」という言葉をいただいたんです。

その時は美容師を辞めたばかりで、ラフな普段着に明るい髪の毛でした。
ただ、スーツを持っていなかったうえに、買えるほどのお金も持ちあわせていなかったので、
家にあるものを売りとばして捻出した3万円でスーツを購入しました。

髪の毛も黒髪にし、今までの自分を捨てる一歩でした。
当時は何かやりたい、何かやってる人の話が聞きたい、という一心でしたね。

25歳、目標だった独立


お金を稼ぐためにも、日中は派遣社員として座り仕事ができる事務、
多い時は夜にも週3回アルバイトをしました。
それ以外の時間で、独立に繋がるような人に出会うために交流会やセミナーにいったり、
自分自身でイベントを開催したり、という生活を送っていました。

そんな生活をして美容師を辞めて1年半経った頃、ついにお金がなくなってしまいました。
人に会い続けたため、交際費は月15万円以上かかっており、お金を借りれるだけ借りて、
ついにはこれ以上借りれないという所まで来てしまったんです。

いよいよ動きを止めるのかと思ったのですが、
動きが止まったら今までの意味がなくなると思い、人には会い続けました。

そんな時、お会いしたある経営者に、

「人が喜ぶことに、値段をつけたものが仕事になるんだよ」

という言葉を貰ったんです。

以前から近い話は聞いたことがあったものの、
追い込まれた状態で、お金を稼ぐことに必死だった自分の心にその言葉が強烈に響きました。
イベントをつくることや、人に会うことを自分中心の視点でしか考えていないことに気づかされたんですよね。

それからは、参加者はどういう企画だったら喜ぶんだろうとか、
会場はどの時間や曜日だったら、値段を下げて使ってもうれしいのだろうかとか。
スタッフの子たちはどうやったら喜んで運営してくれるのだろうといった点を考えるようになりました。
実際に、そうやって企画したイベントは、来てくれる人たちもそれまで以上に楽しそうだし、
何より、自分自身もそんな人の顔を見ることが楽しく嬉しかったんです。
結果的に、それまで赤字続きだったイベントに10万円の利益を出すことができました。

もっとたくさんの人が来るにはどうしたらいいかと、
実際にイベントをたくさんやっている人に聞いたり、自分で調べて工夫したところ、
月に500人以上の人が集まるようになり、
200万円にまで膨れ上がっていた借金も、3ヶ月で返済することができたんです。

そんな風に過ごしていくうちに、目標にしていた25歳が近づいてきたこともあり、
24歳の4月、収益化し軌道にのっていたイベント事業で独立することを決めました。

一度は諦めかけた目標を、なんとか達成することができたんです。

人がつながれるコミュニティづくり


ただ、25歳までに独立、という目標を達成させてからは次の目標が見つからず、
これからどうしようかと思い悩んでしまうようになりました。

そんな時、ふと自分のこれまでを振り返ってみると、
様々な方々との出会いがあったからこそ自分の人生は大きく変わり、
目標を達成できたんだと感じたんです。

そして、それならば今度は、昔の自分と同じように、
なにかやりたいという想いはありながら、迷ったり悩んでいる人が、人に出会えるような環境を創ろう、
という気持ちを抱くようになったんですよね。

それ以来、イベントの主旨も少しずつ変えていき、何かやりたい人がどんどん集まってくるようになりました。

現在は、「人がつながれるコミュニティづくり」をテーマに
イベントだけでなく、カフェやBARを5店舗、シェアハウス3軒を運営しています。

イベントから飲食・住居と広げていったように、コミュニティの作り方はまだまだバリエーションがあると思うので、
色々な切り口から、「人の人生が変わるような環境」を創っていこうと考えています。

自分自身、色々なコミュニティで人と出会っていく中で、
何かをやりたいと思ったときにできる力を付けられるよう、
仲間もお金も能力も、常に磨き続けようと思います。

2014.08.13

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