ところが、美容師になって5年経った頃、店をクビになってしまったんです。

後輩をギャンブルに連れて行っていたことが悪影響だと思われたんですよね。会社から電話がかかってきた時点で悪い予感はあったのですが、実際に伝えられると、

「ついに言われたか」

とショックでしたね。ちょうど日韓ワールドカップの日本対ブラジルの試合の日、僕は元美容師の友達の家で泣き疲れて寝てしまい、目が覚めてから、すぐ知り合いのサロンに電話したんです。

「すぐ仕事をしなきゃ」という危機感がありました。幸いにも、その方の繋がりで青山の有名店に拾ってもらうことができ、無事、美容師を続けることができました。

2店舗目は、最初の店と全く違う環境でした。技術力が高いのはもちろん、遊びも仕事も一流という店で、憧れの先輩に触発されながら、「うまくなりたい」という強いマインドは変わらず、メディアの方とのつながり作りなど、地道な行動を積み重ねていました。

そんな折、そのお店に誘ってくれた先輩が、『air』というサロンに移っており、新しく青山店を立ち上げるタイミングで、僕も誘ってもらったんです。

今の店で続けようという気持ちがあり悩んだものの、最終的には、よりチャレンジができる環境として、『air』を選ぶことに決めました。元々サロン自体は知っていたのですが、急激にメディアの露出が増え、雑誌等で見るデザインも好きで、可能性を感じていたことも大きかったですね。

実際立ち上げに携わってみると、サロンとしての文化にセンセーショナルな衝撃を受けました。美容室から会社に移ったような感覚で、しっかりした組織文化はすごく新鮮に感じましたね。

その後、大型の渋谷店の立ち上げにも副店長として携わる機会をいただき、売り上げも調子が良く、個人としても雑誌の出演オファーをもらえるようになっていったんです。以前のサロン時代からの積み重ねが実っていき、そのまま渋谷店の店長を務めることになりました。